元芸能人:Kとブルンネンが経営する登戸の弁当屋「おべんとうのK」の思い出。
結婚してずいぶん経ってから気づくこともある
私も結婚して6年目を迎えた。
比較的遅い部類だと思うが、毎日生活していると妻のことについて色々と発見がある。
最近興味深かったのは、彼女がステーキをウェルダンでなければ食べられないということだった。知っているようで案外知らないもので、ふとした時にこのように新たな一面が明らかになることがある。
逆に妻から見ると私のちょっとした発見とはどのようなものなのか?今聞いてみたところ「ドラマの最終回は見なくてもいい」という回答が返ってきた。確かに私の中ではドラマで一番面白いのは最終回の手前の回なのではあるが・・・。
閑話休題。
ステーキをウェルダンでしか食べないという話が出た時、私は学生時代のとあるアルバイトの話を思い出していた。
元芸能人:「Kとブルンネン」が経営する癖の強い弁当屋
20歳くらいの頃のことだ。
当時のアルバイト先のセブンイレブンがあまりにも居心地が良すぎたため別のどこかで自分を鍛えたいという青臭い想いを抱いた私は、友人から近所の弁当屋である「おべんとうのK(通称:おべK)」を紹介してもらった。
ここがかなり癖の強い職場で、個人経営なのだが店長とは別に経営者の社長が居て、実はこの人がその昔「Kとブルンネン」という外国人女性と日本人男性のデュオとして芸能活動をしていたのだという。
私の両親の世代ではかなりメジャーな存在だったらしく、父と母にその話をすると二人とも存在を知っていたことには驚かされた。母に至っては歌詞を諳んじることさえできたのだ。ちなみにWikipediaも存在するようだが「芸能界引退後の消息は不明」とされている。
しかし歌手をしていた頃の面影はほぼ無く、見た目も普通だし、本人からの申告が無ければ昔ヒット曲がある元:芸能人であることなど全く想像も出来ない。ただ芸能界に居たからかどうかは知らないが、奇妙なエピソードには事欠かない。
「コーヒー」は「ヒーコー」!?
例えば、一昔前の芸能界的なしゃべり方をしてくることがあった。
「西尾、ヒーコー飲むか?ヒーコー」
肩にカーディガンを掛けている例の人のそれだ。大概の人はこの喋り方でああ本当にこういう人が存在するんだと衝撃を受けることだろう。ただ、ここで怯んではいけないと私は特にその言葉には無反応で店頭でほとんど売れることのないヒーコーをいただく。
ただ、不思議とこの口調になるときに使うのは「ヒーコー」だけだったように思う。例えばコロッケのことを「ケロッコ」とか言ったら文脈から相手が反応できないからだったのではないだろうか。
スーパーウェルダンの「ゴジラくん弁当」
メニューもかなり独特だった。
2000年辺りでまだ日本が元気のある時代だったせいか、単価の高い弁当が多く、1000円近いメニューがよく売れていた。商売というのは分からないものだと当時は思ったものだが、最高価格の弁当の中に、冒頭に触れたステーキの弁当が存在していた。
かなりボリュームのあるステーキで、普通は弁当屋でみることが無いものだと思う。私は少なくともこのようなものは「おべんとうのK(通称:おべK)」でしか見たことが無いのだが、この弁当には驚くべき特徴がある。
それは、ウェルダンでしか出せないということだ。
社長曰く過去に火が通ってないという理由でクレームを受けて以来絶対に火を通しすぎるほど通すという方針になったそうで、肉が泣くほど火を入れる羽目になった。
一度試食したことがあるが、タイヤのような触感であった。これで逆にクレームが来ないのかが不安なのだが社長の方針とあっては仕方がない。私は来る日も来る日もタイヤを量産することになった。
そしてこのステーキの弁当にはまだ続きがある。
このメニューの名前が「ゴジラくん弁当」というのだ。
恐らくだがゴジラという響きでボリューム感とワクワク感を表現したかったのだろう。そしてゴージャス感を演出し、1000円近い価格設定に説得感を持たせることが目的だったと思うし、事実目を引くものだったとも思う。
ただ、これを読んでいる皆様も恐らく疑問に感じているはずだ。著作権的にこれは問題ないのか?ということである。
おべんとうのK(通称おべK)は登戸にあるので、ゴジラのおひざ元である東宝スタジオからの距離も近く、下手をすると関係者に睨まれる可能性もある。なんてリスキーなことをするのだろうかと思いながらタイヤを焼き続けていた私ではあったが、恐る恐るそのあたりのことを尋ねると
「あー、ゴジラじゃなくて「ゴジラくん」だから問題ないんだよ!」
と顔をくしゃくしゃにしながら笑顔で答えてくれた。満面の笑みが逆に疚しさを感じるところではあるが、経営者としてその考え方で売っているのだからアルバイトの立場としては返す言葉がない。
おべんとうのKは今…。
最大で4店舗を出していたおべんとうのKグループだったのだが、高額路線が時代とマッチしなくなったかはわからないが今では宿河原の「ファミリー弁当(通称:ファミ弁)」を残すのみとなった。
あの社長は今どこにいるのかは明確ではないが、ファミ弁の食べログを見ると「人のよさそうなおじいさん」が居るそうなので、恐らく宿河原に居るのではないかと思う。
残念ながらこの店にはゴジラくん弁当は存在しないようだが、人のよさそうなおじいさんにコーヒーではなくヒーコーを注文すると昔話をしてくれるかもしれないので、宿河原付近の方は時間があるとファミ弁に足を運ぶことをお勧めしたい。
次回予告:ほとんどアマチュアのライターが120000字の本を25日で書いた信じがたい話
3000字の記事しか書いたことが無かったアマチュア同然のライターに本の執筆の話が舞い込んできた!しかも、誰もが知ってる大手出版社。
これは絶対成功させたい!
でも、本を書くには100000字は書かないといけない。
そんな経験なんて勿論ない!
その時西尾克洋が取った行動とは?
是非お読みください!
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