エルメスが経験した「降りて行く」ことの大切さ
こんにちは。
牧 菜々子です。
高級ブランドの代名詞、エルメス。
その歴史を見ると、意外な事実もあります。
「格を下げる」というターニングポイントを、何度も経験しているのです。
格を下げて「二流」を採用
エルメスは、馬具の製造・販売店からスタートしています。
最初からきらびやかな服飾品を作っていたわけではありません。
手間暇をかけることがステータスである上流階級に、手軽なジップ(ファスナー)を提案しました。
ステータスを多少犠牲にして、利便性を採ったのです。
上流階級の人々は、困惑しながらも、重厚な錠がいらなくなって軽くなったことに、感謝したと言います。
また、ショッピングバッグに「二流の色」と言われたオレンジ色を採用しました。
当時、ゴールドの素材が手に入らずに、苦肉の策でわずかに残っていたオレンジ色を採用した歴史があるのです。
たしかに、オレンジ色は、「大衆性」や「リラックス感」、「団らん」、「お手軽価格」を象徴する色。
紫や、金色のように、格調高い色ではありません。
あのエルメスでさえも、時代に順応して、オレンジ色を採用したり、ジップを取り入れたり、格を下げて「降りて行く」ようなターニングポイントを、何度も経験しているのです。
「降りて行く」のはなかなかできることではない
何も、高級ブランドでなくても、「降りて行く」のはなかなかできないものです。
よくよく考えれば、格を下げて利便性を採ることは、決して悪いことではないことは、私たちにだってわかります。
時代の変化に順応するというだけであって、未来を考えれば必要なことなのです。
わかってはいるのですが、葛藤もあり、勇気がいる。
だから、なかなかできないのです。
多くの人が実践し始めている
身近なところにも、似たような場面があります。
年下の人に、お願いをしたり、教えてもらったりすること。
自身のサービスの対象を、低価格帯にまで広げること。
高すぎるレベルを下げて、初心者にもわかりやすくすること。
謙虚になって、コミュニティに参加すること…。
時代の変化に順応して、今、多くの人が実践し始めたことでもあります。
一見、「降りて行く」ように見えることでも、ブランドのこれまでとこれからを考えると、必要なこと。
個人でも、高級ブランドでも、同じなのです。
なかなかできないことをやる
たとえ、なかなかできないことであっても…。
エルメスでさえ、経験してきていることなのです。
なかなかできないことを、やってきたからこそ、今があり、これからがある。
それを思えば、私たちにだって、できないことはないのです。