マガジンのカバー画像

教育あれこれ

47
教育について、思うことを徒然に書いた記事を集めています。
運営しているクリエイター

記事一覧

『質的研究の考え方 研究方法論からSCATによる分析まで』を読む

#ツンドク部 #積読 大学院の質的外国語教育勉強会に参加しはじめて3年が経つ。今日で勉強会は49回目になった。今年度の後期から課題図書として読んでいるのがこちら。 大谷尚(2019)『質的研究の考え方 研究方法論からSCATによる分析まで』.名古屋大学出版会 前回の勉強会にて、先生の発言で心に残ったのはこのことば。 今回は、p77-104を読みました。 質的研究の一般化可能性 こちらの続きとして、第1章第1部にて、「質的研究の一般化可能性」について、このように書か

質的研究とは何か

質的研究の本について、気づきを投稿しようとしたら、同じ筆者の論文について下書きしていたものを発見。先にこちらを投稿しちゃお。えいっ。 この問い、半期に一度は投稿しているかもしれない。わりといつも考えている、質的研究とは何か、と。(聞かれたりするし) 今回は、大谷尚(2008)質的研究とは何か-教育テクノロジー研究のいっそうの拡充を目指してという論文を題材にした、とある質的研究の勉強会で印象に残ったことなどから考えたことを記しておく。 教育とはなんだ 今は、教育テクノロ

メンターとメンターテキスト - 『国語の未来は「本づくり」』より

最近、ライティング・カンファランス の本を読んでいる。 メンターやメンターテキストの存在がライティング指導に有効という文脈において、リンクしていると思い起こされたのが、こちらの本、『国語の未来は「本づくり」』だ。 P.ジョンストン、K.シャンボー、A.ハートウィグ、S.へるまー、M.コマール、T.クルーガー、L.マカーシー作 マーク・クリスチャンセン、吉田新一郎訳.(2021)『国語の未来は「本づくり」』.新評論 端的にいうと、日本の教育において言えば「国語教育」のなか

『揃わない前提の授業とクラス』を読む

#note100本ノック Day 91 友人から薦められ、 オーダーしていた本が届いた。 ネットワーク編集委員会編(2024)『揃わない前提の授業とクラス』.学事出版 ちょっと読み始めたんだけど…。 わたしは「子どもたちに、揃えることをわりと強いないタイプ」と自覚しているが、そもそも自分自身、揃えることが苦手な教員なのである。 この本、 そんなわたしにヒットする視点がいっぱい載ってるのでは…? 「揃わない」ということが出版に値するくらい価値ある概念ってこと。 斬新

書き手として

#note100本ノック Day 93 最近、 よく思い出すことばがある。 大学院で学術論文を書いていたころ、論文のデータ分析がうまくいかずに悩んでいたわたしへの、先生からの厳しいことばだ。 そう、わかっているつもりだった。 でも、わかっていなかったのだ。 書くことが「自分ごと」になっていなかった。 どこかで逃げていた。 先生たちは、たしかに親身になって 相談に乗ってくれる。 でも…書くのは先生じゃない。 そう、強く思ったことを 昨日のことのように思い出す。

SEE Learning 教育者向けワークショップ

#note100本ノック Day 88 先週末、慶應義塾大学日吉キャンパスにて開催されたSEE Learning 教育者向けワークショップに参加。 日々の生活のなかで筋トレをするように、感情のコントロールもトレーニングするべきではないか?と問われ、確かに!と全力で肯く。 自分の感情がコントロールできないがために、パフォーマンスが落ちることってあるよね。 日本ではSELになじみがある方が多いかと思うが、SEEはSEL 2.0とも称されており、注意と気づきのトレーニングや

ドリルと日記

#note100本ノック Day 76 小学生の頃、毎日日記を書いていた。 自由に取り組む家庭学習は、「自分のやりたいことをなんでも」やってよい。なので毎日日記を書いて、週に一度、先生に提出していた。 先生、あのね わたしは担任の先生に伝えるために、自分の日常から楽しいことを切り取っていた。先生からのお返事も楽しみにしていた。 漢字ドリルや計算ドリルの宿題は全く楽しくなかったけれど、日記を書くのはとても楽しくて、ちっとも苦ではなかった。 あるとき でもあるとき、

大根✖️英語レポート

#note100本ノック Day 74 今日、生まれて初めて 自分で育てた大根を収穫した。 お味噌汁に入れたけど、 柔らかくて美味しかったな〜 レポート課題 今年度の学生の英語レポート、 農学系の学生への選択肢はこれらだったんだけど。 来年度の後期に、 って、入れようかな。 いつも、学生に本気で相談してる笑 彼らが相手意識を持って書いてくるレポート、 読んでて楽しいのです。

今日、借りた本たち

#note100本ノック Day 65 今日は母校の大学院へ。 春と夏にいつも、お話ししたい先生方に会いに行く。 まずは、IB教育でお世話になった先生の研究室へ。こちらに伺う時に楽しみにしていることのひとつは、研究室の本棚をのぞかせていただくことだ。 先生の本を選ぶ視点は、わたしの興味と重なることが多い。 例えていうならば、「わたしの好みを知り尽くした本屋さんの店員が、わたしのためだけにセレクトした本のコーナーを作っている」くらいの形容があてはまるレベルだ。(もちろん

『ラチとらいおん』

#note100本ノック Day 45 小学校教諭だった頃、「先生のおすすめの本」を推薦する機会があった。 わたしが薦める本はいつも、低学年には『ラチとらいおん』、中・高学年には『窓ぎわのトットちゃん』だった。 今回は、『ラチとらいおん』をご紹介しようかと思う。 『ラチとらいおん』 マレーク・ベロニカ さく、とくながやすもと え(1965)『ラチとらいおん』.福音館書店 わたしの息子が小さい頃にとても好きだった絵本だ。ちょっと『ドラえもん』を思い起こさせるストーリ

インタビューでわかること

#note100本ノック Day 41 母校の大学院の質的外国語教育研究勉強会に参加しました。 こちらの本を読んでいます。 太田裕子(2019)『はじめて「質的研究」を「書く」あなたへー研究計画から論文作成までー』.東京書籍 今回は、5章「インタビューで何が分かるのか」と6章の観察することと「書く」ことでした。 この本は質的研究を「書く」あなたへ、と題されていますが、実践の場にいらっしゃる方々にも示唆に富んだ本だと感じています。 5章の「インタビューでわかること」

トットちゃん

#note100本ノック Day 42 先日、友人からもらった本。 黒柳徹子(2023)『続・窓ぎわのトットちゃん』.講談社 嬉しすぎて震えた…。実はわたし、元祖『窓ぎわのトットちゃん』の大ファンなのだ。 黒柳徹子(1981)『窓ぎわのトットちゃん』.講談社 こちらが出版されたのはわたしが小学生のとき。いやあ、面白かった。何度も何度も読み返した。小学生の頃だけじゃなく、先生になってからも何度も読み返した。 いまだに手放していない児童書はこれくらいかもしれない。(い

レアリアということば

#note100本ノック Day 33 先日、レアリアということばに出会った。初めて聞くことばだった。それは、Platyさんにいただいたこちらの記事へのコメントにあった。 学生が洋楽Dictationから、(わたしの意図など関係なく勝手に)言葉選びの感性を発見しているというこの視点に「わああ、ほんまや!」とうなるのと同時に。 となったので、調べてみた。 レアリアとは そうなんだ!知らなかった!なんて素敵なことば!と釘づけになってしまった。 英語教育では「オーセンテ

『読むとはどういうことか』 ①

#note100本ノック Day 29 あるSNSで、「MAKIさんは効果的に読む方法について、何か工夫されていますか」と質問を受けました。また、関わっているプロジェクトで最近、「読むこと」について考える機会もあったので「読むとは」について、考えてみます。 『読むとはどういうことか』 教育書の翻訳や学びに関わるプロジェクト活動に長年携わられている吉田新一郎さんから『読むとはどういうことか』というヒントをいただきました。 吉田さんからいただいた「優れた読み手が使っている