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03.21 "相棒探しに"
相棒探し
ランニングシューズがだめになった。
幸いにもその日は休みだったので、せっかくだからハーフマラソンに向けて新しいランニングシューズという名の相棒を見つけにいくことにした。
とりあえず向かったのは地元の大型のイオンモールの中に入っているスポーツオーソリティだ。
せっかくの休みだから神戸とか都会にある専門店に向かってみるのも悪くないとも思ったけれど、人混みがやはり苦手な僕にとってはきついというのと、なにもかもがありすぎる都会に行ったとしても結局何もせずに帰ってくるのがいつものパターンだったから、とりあえずイオンモールに向かうことにしたのだ。
あとは、イオンモールに行けばなんでも揃ってるし、購買意欲がそこそこなかったとしてもなにか美味しいものとか雑貨とか見れるかなと期待してしまっていたというのも大きい。
車を走らせること20分で目的地に到着。
スポーツオーソリティに入ってそのままランニングシューズコーナーに向かったはいいが、棚一面に並ぶありすぎる靴に小さな絶望を抱き立ち尽くす。
そうしたら店員さんが救いの手を差し伸べてくれる。
「どんな靴をお探しですか?」
「初めての一足がダメになったので、二足目を探しにきたんです。」
「いまの靴のメーカーはお分かりですか?」
「adidasなんですけど、その時は特に何も考えずに買ってしまった感が強いので、二足目はしっかり選ぼうと思ってるのでメーカーはどこでもいいかなと思ってます。」
いやいや、よくしゃべるな自分と驚く。
でも相棒のためだ。仕方ない。
「じゃあ、せっかくなのでまず足のサイズから測定してみましょうか。」
「お願いします。」
てっきり試着用のベンチの下から足のサイズがわかるプレートが出てくるのだと思ったらそうじゃなかった。
「こちらへどうぞ。」
そう案内されたのは、パソコンが設置してあるなかなか大型の測定機だった。おそらくここに足を乗せるだけで僕の足の特徴がコンピューターを通してはっきりとわかるらしかった。
おもわず「WOW」とつぶやいてしまう。
そしていざ計測。
面白いことに僕の足というのは左が24.5㎝、右が25㎝と左右で足の長さが違うらしかった。この場合、足が大きい方(つまり右足の25㎝)にプラス1㎝が適切であるらしく、従って僕の靴のサイズは26㎝が適切であるということだった。いやぁ、すごいなぁ。
そしてその結果をもとに店員さんと主戦場に舞い戻る。足のサイズがはっきりしたなら次は靴のどの種類を選ぶかになった。
「ハーフマラソン目指して走り込んでてできれば長距離はしれる靴を探してます。」
「であれば、クッションタイプがおすすめですね。」
ランニングシューズにはスピードタイプとクッションタイプというのがあるらしいかった。
スピードタイプはソールが狭く作られていておそらく地面に足裏が接地した際にダイレクトに蹴り出すことができるのでその分短距離はじめスピードレースに向いている。
それに対してクッションタイプはソールが厚めに作られているので、クッションを利用した蹴り出し、つまり足の裏にバネがついているようなものだ。というのも長距離を走る上では、どれだけ足を疲れさせずに走ることができるかにかかっているから、やっぱりこの厚さのクッションというのはとても助かるんだろうなと思う。
つまりだ、今僕が選ぶべき靴は"クッションタイプ"だということがわかった!
なんか論理立てて靴を選んでいる感が強くなってきていてこの時点で僕のなかのウキウキ感は爆発してしまっていた。
そしておすすめされたのは
①adidasのジョグシューズ 5.000円
②HOKAのランニングシューズ 13.000円
③onのcloud go 15.000円
の3足だった。
まず試してみたのは③のon社のクラウドゴーだった。(なぜ製品名がこの靴だけはっきりしているのかは勘のいい人ならもうわかるだろうと思う。)
ソールに穴が開いているのが特徴のこの靴。
じつはこの穴が異次元のクッション性を実現させているらしかった。
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そして履いてみる。
「あぁ、すごい……。」
「笑」
いや、ほんとにすごかった。クッションの存在感が足の裏でとてつもなかった。
「これ、日常でも履いてみたくなりますよね。」
「普段履きでも大丈夫ですよ!ほら!」
そういって店員さんが足を差し出す。
目を見開いた。
ソールに穴が開いている…!
そしてその形状…!
彼だった!!
「ただ、私の靴はクラウドモンスターといって一番新しい靴なんですけどね。ただ、実はめちゃくちゃ人気なんですよ、これ。」
「モンスターですか……」
お値段も名前の通りモンスターなんだろうかと思ったけれどそんなことはなかった。
ただ、いまはお勧めされたこのクラウドゴーを存分に味わい尽くすことに命をかけた。
その場で跳ねてみたり、少し歩いてみたり。
いままでの靴と全然違っていたから、もう脱ぐ時にはすっかり虜になってしまっていた。
だから、次以降に案内されたadidasとHOKAの靴はほぼほぼ印象に残っていないのが正直なところだ。
いや、HOKAも物凄く良かったんだよ。
ただ、初めに履いたon社のクラウドゴーが僕の基準となってしまっていたし、履いたあの時の衝撃を超えることがなかったので気持ちがそちらに向かなかった。
「これにします!クラウドゴー!」
「ありがとうございます!」
そしてレジに行ってさらにびっくり。
今日限定で10%オフでさらにアプリを取ってもらうともう5%も引いてもらえるようだ。
す、すごいな!ビズリーチ!
いや、スポーツオーソリティ!!
そしてスマホを音速で取り出し、アプリをインストールし、15%の割引を適用していただく。
結果13.000円ほどで購入できた。
興奮冷めやらぬうちに履いて走ってみたいと思い、スポーツオーソリティをダッシュであとにすると車に音速で乗り込む。
そして、家に帰って早速履いた。
そして、ランニングウェアに着替えて早速履いて走った。
1kmのタイムが30秒ほど縮んでいた。
これからもよろしくね、相棒!
終わりに
以前実は靴を売る仕事をしていたことがある。
その際には必ず靴だけはいいものを買ってくださいとお客様に言い続けてきてほんとにいいものを買ってもらっていた。
というのも僕自身の中で靴だけはいいものを買った方がいいというのを経験で学んだというのか大きかった。
その仕事を離れて3年くらいになるだろうか。
正直2足目は5.000円くらいのものでいいかなとある種の妥協で選びに行っていたところがあることに気づいていた。
その時に店員さんから、
「靴だけはいいものを選んでもらった方がいいです。」
とあの時の自分と同じことを言われてハッとした。あれだけ靴はいいものをと言っていた僕が妥協で選ぼうとしてしまっていることに気づいた。
だからそれ以降の店員さんとのやりとりはものすごく楽しかったし、正直高い買い物ではあったけれどまったく後悔はしていない。
これからながくお付き合いしていく靴なんだし、値段で足元をみるべきじゃないよねと走り終わって二日目の今はそう思っている。
(靴だけに。)
ありがとうございました。
スポーツオーソリティの店員さん。