ココロをなくすな
115本目。施設介護の経験が長いぼくですが、
じっくり関われないというジレンマ
を感じることも、少なくありませんでした。
例えば認知症の方。
認知症の方は、現状の理解、場所の理解、時間の理解
などが難しくなり、うまく適応できず、
・攻撃的な言動になってしまう。
・他の方にとって迷惑な行動をしてしまう。
・転倒するリスクがあるけど歩き回ってしまう。
・なかなか寝ない。
・オムツを外すなど不潔な行動を取ってしまう。
など「問題行動」と言われる行動をしてしまうことがあります。
それらに対して現場では、どう対処するのか、、、
1、本人を管理する
2、本人に合わせる
1の例としては、
・監視する。側で見守る。
・行動を制限する。
2の例としては、
・いま”したいこと”をしてもらい、落ち着くのを待つ
・どうしたいのか、感じているのか探る
ん?
介護って、困っている人を支援する仕事でないの??
2の一択では??
と思うと思います。
ではなぜ、介護現場では、
このことに”モヤモヤ”するのでしょうか。。。
”大勢”を管理する施設介護
まず、施設介護の実態を知る必要がありそうです。
施設介護の介護職たちは、大勢の利用者さんを観ています。
ひとり、ひとりに向き合えない
物理的に、介護職側が少ないということは、
マンツーマンで、一人一人にじっくり寄り添うことができない。
これは施設介護の宿命かもしれません。
お話をゆっくり聴いたり、のんびり過ごしたり、
じいさんばあさん達は、そんな時間を過ごしたい。
しかし、大勢の方をケアしないといけないし、
お風呂や食事や、やることも沢山あります。
そんな中で、認知症の方などが「想定外」の動きをされると、、、
忙しいのに勘弁して、、、
って気持ちになりやすい。。。
温かいケアをしたい。
そんな人にとっては、ジレンマを感じやすい環境なのかもしれません。
認知症の人=ニンチ
ひとりひとりに向き合えば、認知症の人といっても
バラエティー豊かで「色んな人がいる」と理解できると思います。
しかし、向き合わなければ、
理解できないので、「ニンチ」というラベルを貼って、
”そういう人として”知っておく。
実は、その人のこと知っていないのに、、、
な状態になる。
ここで問題になるのは、
・最初から理解しようとしていない
・理解したいけど、忙しくて理解できていない
どちらなのかが、とても大きな問題。
この背景も考えてみましょう。
バラエティ豊かな介護人材
介護職には、色んな背景を持った人がいます。
・介護の仕事をやりたい、人
・とりあえず介護の仕事でいいや、な人
介護の仕事に対してのモチベーションには、
なかなかの個人差があります
単にやる気、というより
介護という”仕事に対する”、意識の差が大きい。
介護職にたどり着くまでの経歴も様々。
・他の職種、業種を経験してきて転職してくる人
・社会人の最初から、介護や福祉一筋の人
・主婦などされていて、介護を始める人
介護に対する意識
に個人差がある、として、
意識とは、本人の中にある価値観や姿勢と関係があると思います。
様々な背景の人がいるということは、
様々な価値観の人が集まっているということ。
これほどバラエティー豊かな人材がいる業界って少ないかも。
一般企業と比べると、言葉遣いやマナー、態度などの
接遇には、特に大きな個人差があります。
現場の空気を作るのは職員
施設の現場の雰囲気で、誰が出勤かわかる時ってありませんか?
・穏やかで落ち着いた空気
認知症の方も落ち着きがある♬
・バタバタ慌ただしい空気
認知症の方が不穏になってる。。。
職員が落ち着いた仕事をして、
忙しくても、穏やかに認知症の方とも関われば、
現場の空気を穏やかにもできます。
もちろん、どうしようもなく混乱されている時
などもあるとは思いますが、、
自分たち次第
な部分も少なくないかな、とは思います。
忙しい介護施設。
そんな中でも、心を亡くさず
できる範囲で、
・利用者さんと話をする時間を取る
・どう感じてるかな、と関心を向けてみる
これだけで、
温かい介護ができなくもない。
完全なマンツーマンや、本人に寄り添うことは難しいかもしれない。
それでも
できる範囲でも、関わろうという姿勢や態度があれば、
相手にも伝わります。
利用者のじいさん、ばあさん達は、
職員のことをよく観ています。
そんな利用者さんに信頼されるようになれば、
認知症の方はじめ、利用者さんが不穏になることも少なくなる。
現場の空気が違ってくる。
職員が誰かによって、現場の空気が違う
のは、そんな理由。
まず、自分にできることをやってみる。
それは間違っても、
相手をコントロールしたり、管理しようとしたり、
こちらの都合を押し付けることではない。
相手がどう感じているのか
それを考えるのが介護の仕事。
認知症ケアも、理論や方法論の前に、
この基本。
基本姿勢が間違っていれば、
立派なテクニックや理論も役には立ちませんから。
基本は、大事。