田口敦子

さいたまを拠点に活動するフリーの編集者・ライター。ご縁をいただけましたら幸いです。https://mademo.amebaownd.com/

田口敦子

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マガジン

  • エッセイ『36歳、いつまでもどこまでも』(仮題)

  • #演劇の灯は消さない

    観劇後、余韻に浸るライターの独り言です。演劇ってこんなにおもしろい!

  • Recommended books

最近の記事

やっぱり、まるいものが好き

まるいものに触れるとき、どうしてあんなに胸がきゅうんとするんだろう。 いとしくてたまらない10のこと。 渋谷の器◯▢(うつわまるかく)さんで一目惚れした、コロンとまるいマグカップ。小代焼というらしい。日本酒も、珈琲も、味のトゲをとって、まるくしてくれる。 まだちいさい娘の、ふくらんだほっぺ。 いつか大人になって、そのまるみを失ってしまうと思うと、余計にいとしい。 梅仕事の季節、梅酒にひたる前の梅。そのまろやかな香りもまるい。 寿命が来て、おつかれさまの電球。新顔にはな

    • 「あ」が言えない敦子は、今日も自分の名前を呪う

      「あ」から逃げる私の人生私は、どもる。 どもるっていってもね…… 某番組の滑舌悪い芸人さんみたいなレベルじゃなくて(あれはちゃんと言葉が出てるじゃん!) 最初の言葉が、というか音が、出ないときがある! 特に苦手なのは、 あ行! 日本語のはじまりの音であり、英語の一人称も「I」。 私はその絶対的な存在から逃げてきた。 どうしたって逃れることはできないのに。 問題の答えって、どうしていつも「あいうえお」なんだろう 吃音を自覚したのは、小学校5年生。 国語の時間、順番に音読をして

      • 妊活経験者が書く「コロナ禍の家族」の物語 ~僕の大好きな お母さんの笑顔~

        僕の大好きな お母さんの笑顔 サクッ。  台所にいるお母さんがクラッカーをかじる音がここまで響いてくるのは、家が静まりかえっているから。お母さんが突然、テレビを捨ててしまったあの日から、うちではあらゆる物音が存在感をアピールしている。  僕はリビングのはじっこにある僕の机で、宿題と格闘している。お母さんは、ソファーに腰かけて、何かを見ているのかいないのか、ぼーっとクラッカーを食べている。父さんは、2階の自分の部屋で、パソコンをいじっているのだろう。  こんな毎日がずっと続いて

        • 今日はおでん、というシアワセ

          夕方、娘を迎えに行こうと外に出ると、肌寒さに身を震わせた。 9月ってこんなに秋らしかったかしら。 例年では、残暑の厳しさにうめいている頃だ。 温かいものをお腹に入れたくなって、娘と二人、スーパーマーケットでおでんの種を選んで、帰途についた。 キッチンカウンターに具材を並べると、こんもりとした小山ができる。 「これ、全部鍋に入るかしら?」といつも思う。それでも毎度収まってしまうのだから不思議だ。 わが家の上位打線の顔ぶれはいつも同じ。 私の推し・はんぺん 夫の推し・ちくわぶ

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        • エッセイ『36歳、いつまでもどこまでも』(仮題)
          4本
        • #演劇の灯は消さない
          1本
        • Recommended books
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        記事

          【#演劇の灯は消さない】蜷川幸雄さんの志、遂に完結『終わりよければすべてよし』

          コロナ禍になってから1年間、観劇から離れていたが、シス・カンパニーの代表取締役であり、演劇プロデューサーとして演劇界を支える北村明子さんへのインタビューをきっかけに、演劇にかかわる方々の抱える苦しみや、お客さんが待っている限り、コロナと闘いながら演劇という文化を守り続ける想いに触れ、自分も応援したい、また劇場に足を運ぼうと決意。体調管理と感染症対策に気をつけながら、観劇を再開することにした。 どうせなら、観劇に行くのをためらっている方にも、劇場の雰囲気を少しでも味わっていた

          【#演劇の灯は消さない】蜷川幸雄さんの志、遂に完結『終わりよければすべてよし』

          ルック書店と星野源さんが教えてくれた大切なこと

          汚い話をする。私と娘のうんちのタイミングが同じだ。朝イチでも、昼過ぎでも、夕方にずれこんでも。同じリズムでごはんを食べているのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。 私がトイレに言ってコトを済ませ、出てくると、娘が必ず力んでいる。 「いま、がんばってるの」 壁の角や、ソファの肘掛けにつかまって、ぷるぷる震えている姿は、なんともかわいい。 話は変わるが、星野源さんと新垣結衣さんがご結婚されるというニュースが飛び込んできた。 星野さんのことを知ったのは、2011年のテレビド

          ルック書店と星野源さんが教えてくれた大切なこと

          おいしい珈琲屋さんは考えることをやめない

          苦くない珈琲なんて、ないと思っていた。 白金台の路地裏にある珈琲屋さんで、私はそんな珈琲を知った。仕事の打ち合わせでお店を初めて訪れたのは、未知のウイルスによるステイホーム期間が明けた、2020年の夏のことだった。 商店街の紹介冊子を作る企画にメインライターとして参加することになった私。店長さんが商店街の広報担当とあって、自然とその珈琲屋さんが打ち合わせ場所として選ばれた。 うさぎの名前を冠したそのお店の扉を開けて、真っ先に目が合ったのは、学究肌の人特有の雰囲気を備えた

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          雨の日の誘惑

          私には3歳になる娘がいる。彼女は家から3㎞ほどの幼稚園に通っているため、通園は幼稚園バスだ。 私は彼女を毎朝、同じ時間に指定のバス停まで送っていくのだが、その道すがら通り過ぎる顔ぶれはいつも違う。家を出る時間はほんの1、2分か数十秒違うだけなのに、不思議である。 きっとみんなが、それぞれ「あ、腕時計忘れた」とか(最近は「スマホ忘れた」のほうが多いだろうか)、テレビの占いの結果が気になったとか(自分の星座が最下位だとその分、長く足止めされる)、そんなありふれた事情で、少しず

          雨の日の誘惑