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#哲学

薔薇の色は

薔薇の色は

昨夜贈られた
一輪の薔薇
この連なる花弁が
その目には何色に映るか

あなたも知っているはずだ
必ずしも薔薇が
望まれた色をもって咲かないことを

聖堂でひとり
ぼくは祈った

願わくばそれが
白薔薇であるようにと
#詩 #散文詩 #文学 #哲学

北極星

北極星

砂粒の混じる風が頬を強く打ち、熱の籠もる痛みが唇を震わせた。草木の萌える土はなく、乾いた地の裂け目は暗く深い。とうの昔に枯れ果てた灌木にとまる黒々とした鴉(からす)の群れの、虚しい笑い声だけが残響するさまは、しかし現である。
果てない荒野を歩みながら、わたしは外套の内にかくす青い星の存在を常に想った。「この仄青くかよわい光を、守ってゆかねばならないのだ。」唯一残された使命の断片と、傍若無人な風だけ

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飴色の目

飴色の目

真夏の日暮れ
夕立の前に似た
張り詰めた気配

或る少女が
ひとり空を見上げ
鈍色の髪を
濡れた空気に浸す

雨雲の狭間
遠くで稲光が
見えたような
それとも幻か

振り返りざま
少女の目が
わたしを捉えて閃いた

其れは
飴色の目であった

誰も彼もが
少女の緊迫した挙動
指し示す方角から
目を逸らせない

飴色の目は
胸の奥底に沈む
革命への憧憬
知的昂奮への欲望

掻き立てられた

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静謐

静謐

石灰岩と曇り空の
曖昧な境界は
水彩筆によって
暈されて滲む

鈍色の水辺に
揺れる葦のさきが
冷たく柔い風を受け
小刻みに震えた

静かに流れる水が
ただよう躰の白い肌を
溶かすように
やさしく包みこむ

水面を透かし見る空は
遠く 広く
のばした腕を
雫が伝い落ちた

薄曇りが映る川は
櫃を海へと運ぶが
ゆるやかな流れは
午睡のように物憂く

聖櫃に納められた
乳白色の蕾は
今か今

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白き路

白き路

雪原と紛う
白妙の砂漠
砂粒はすべて
諦念の化石である

氷河のように
永い時をかけ
生の淵へむけ
悠然と流れ往く

空と地平線の狭間
一羽の鳥が
白い翼を瞬かせ
光の線を引いた

逃げ水を追い
虹の都を夢見
少女たちは旅を続ける

この世界が
巨大な砂時計であると
知りながら
#詩 #散文詩 #自由詩 #文学 #哲学 #小説