海辺の

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ピンクを着る私に思ったこと

 好きな色は、なんと言ってもピンク。ピンクを身につけるのも大好き。ピンクのスカート、ピンクのニット、ピンクのバッグ。ピンクのマフラー。ピンクゴールドのアクセサリー。各アイテムひとつはピンクのものを持っていて、黒、グレー、ネイビーなど落ち着いた色と合わせてよく着ている。今日も黒のタートルネックに黒のシャギーベストを重ねた下に、優しいピンク色をしたスエードのタイトスカートを合わせた。胸元はピンクゴールドのネックレス。バッグはグレーの革のもの。靴は黒い大きなリボンがついた、シルバー

    • しめやかな夜のひとり歩き

      10.13  傷心の傷がひときわ深いときにどうするかと言うと、ひとりで一泊旅行をするのだ。ちょっとだけ良いホテルを取って。感情というのは煮詰めて煮詰めて煮詰め切ったら全て消えると思っている、またはそう思い込みたいタイプだから、ひたすらかなしみの根源について考える時間を設けるのだ。人によっては絶対にやめろと言うけれど、考えないでおこうと思っても考え続けてしまう頭のつくりゆえ、とことん考えてやろうと思うのだ。  こういうときは、いつも京都に行く。東山駅、三条駅あたりが特に好き

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        (前回の投稿の続き。文章整えて書く余裕がありません、すみません。タイトルは私の心臓停止音ですピーーーー) 気持ちの浮き沈みが激しい。そのまま上下に引きちぎれて乖離するのではないかと思う。 仕事をしているときは、にこにこ話すことができて、雑談も持ちかけられたら普通に(内容を楽しみながら)するし、子どもはなんだか普段に輪をかけて寄ってくる感じすらして、でもそれにもいつも通りに対応できている、と思う。 でも誰もいない廊下を一人で歩いたり、お手洗いなどで個室に入ったり、職場を

        • 悲しみ書き殴りごめんなさい許して

           今日は、私のとぼしい人生ではまだ経験したことがないくらいの、かなしいできごとがあった。かなしみも大きすぎると、はじめそれとも認識できないほどなんだなぁと、空っぽになってしまった心は置き去りに理性が考えていた。何か、大きなかたまりに打たれたようなのだ。それが感情だと、悲しみだと気づくのにかなりの時間がかかった。それに、悲しみっていうのはてっきり胸の中に水みたいにぱんぱんに溜まって涙として溢れ出すようなものだと認識していたけど、あまりに大きいと、逆で、胸を内側へと食っていくよう

        ピンクを着る私に思ったこと

          海が静かな日に

           海は、いつもより濃い青色だった。光っていない、ただただ青い青色。秋の薄いすじ雲が太陽を包んでいるから、反射がなく、そんな静かな色をしているのだった。私はそれを見て、これが海の本当に近い色なのではないかと思う。晴れた日の明るくきらめいた海も心ときめくけれど、深さを思わせる、その中に抱きとめているものの大きさを思わせる、こんな海の方が私は好きだ。  空がこうして明るすぎず暗すぎず、海も凪いで落ち着いた色をしていると、私の心もごく緩慢に拍を打つ。17時過ぎの、海を望む丘の住宅路

          海が静かな日に

          もう会えない人を思う

          2024.9.14  朝目がさめたら、悲しかった。夢を見ていた。疎遠になってしまった人が、記憶と同じ顔で笑っていた。まぶたの裏に・・・という表現は白々しいので今まで好きでなかったが、本当に、まぶたを閉じればもう一度そこにある気がするのだった。  さめた夢ほど甘やかで切ないものはない。私は夢の中の笑い声や華やぎ全てを内包するぬくもりをまぶたの縁に感じながら思った。そのぬくもりから悲しさや切なさが生まれているのは、なんという欺瞞だろう。  昔あったものが無いことだけが悲しいので

          もう会えない人を思う

          古い眼科にて、あたたかな話

           朝起きたら左目が重たく感じ、鏡を見たらあわれなほどに腫れていたのでたまげた。あまりにブサイクで目が覚めた。どうぶつの森のはち刺されの顔みたいになっていて、これはこれは世間に向けられる顔でないと賢明にも判断した私は、半休を取って眼科へ行くことにした。  眼科とは縁遠いためどこに行こうか困ったが、家の近くに良い眼科があることを知った。古いようだったが、口コミは「腕の良さに長年通い続けています」とのことで、そこに決めた。診療時間は9時からだったから2時間ほど二度寝してから行くこ

          古い眼科にて、あたたかな話

          ありがたき日のこと

           何だかハマらない日ってあって、昨日は朝からそうだった。電車の時間を勘違いしていて急ぐ必要がないのに急いでしまったり、電車で手鏡を見たらマスカラを塗り忘れたことに気付いたり、私が座る横に来た女の人の香水の趣味がとっても悪いとか、朝イチの職場の洗面台に羽虫の死骸がいくつも落ちているとか、コピー機を使用したいときに限って誰かが使っている、みたいに、なんだか日常の中で拍打っているリズムとか音とかがことごとくズレていた。  ちょっとずつのことがちょっとずつ後ろにズレるそんなとき、私は

          ありがたき日のこと

          映画『きみの色』

           昨日の夜、何か映画が見たくなり、今やっているものを検索したところいちばん気になった『きみの色』のチケットを取った。どうやら公開されたところらしい。  今日の午前中は雨の予報だし人も少ないだろう、どうせなら朝活して人のいないのを楽しもうと、いちばん早い9:00の回を選んだ。  予報通り雨で、風も強い中、濡れながら、施したメイクとセットした髪をそばから崩しながら、駅併設の商業施設内にある映画館へ行った。  「人の色が見える」という共感覚を持つ女子高校生の主人公と、悩みを抱える

          映画『きみの色』

          ZARD

           この間ZARDを聴いていたとき、ふと「痛さが良い」という言葉が浮かんでから、ZARDについて考えていた。  私はZARDが大好きなのだが、大学の頃になんとなく、世代でもないのに、本当になんとなくZARDを聴いたとき、これだ、みたいな感覚があった。音楽は好きなのに好きなアーティストがいなかった私はその出会いが嬉しかった。以来私の日常には、特に感情の揺れるシーンには、いつもZARDが掛かっている。  ZARDの曲は、とにかくまっすぐで素直だ。あまりにもまっすぐに、素直に、前

          ある月曜日(2024.8.19)

          朝起きたときに「今日は曇りだな」と思った日は大体当たる。起き抜けから不快になった。私は天気の中で曇りがいちばん嫌いだ。特に今日みたいな、雨が降りそうで降らない、どっちつかずな、暗い、おどおどした、陰気な日はほんと大嫌い、快晴かどしゃ降りが好きだ。ちなみにどしゃ降りの方が好きだ。 曇りなんて今日はついてないなぁと思いそうになって、最近そういう系統の本で知った「アファメーション」という言葉を思い出し「今日はつ」くらいで踏みとどまった。宣言すること、「今日はいい日になる」と思うこと

          ある月曜日(2024.8.19)

          京都・月ヶ瀬の梅氷(2024.8.15)

           いつものことだけど、日中の河原町は暑くて暑くて、涼しいものが食べたくなったので、高島屋京都店5階の甘味処「月ヶ瀬」に行くことにした。  まだ13時過ぎとおやつ時ではないのに、もう5組ほど待っていた。20分ほど椅子に座ってのんびりしていると名前を呼ばれ、店内に通された。  私は京都の甘味処でおすすめを聞かれたら、迷わず「紫野和久傳」と、この「月ヶ瀬」を挙げる。どちらも素材の味の生きた丁寧な甘味を提供してくれるのだが、月ヶ瀬さんは特にあんみつが美味しい。かすかな甘さが涼やかな寒

          京都・月ヶ瀬の梅氷(2024.8.15)

          ある月曜日、下鴨神社(2024.8.12)

           8時10分に目覚ましを合わせていたというのに、起きたのは9時だった。下鴨神社の古本市に行く予定だった。10時半に家を出るべく、私はいつも準備に時間がかかるけれども、なんとか1時間半で出かける準備を整える。世間がまだ夏の間に、暑い時期しかできない格好をしようと、まだ1度しか着ていないサックスブルーのワンピースに麦わら帽子を被った。メイクは淡いピンクを基調に。イヤリングは、エメラルドグリーンの石。出かける前鏡を見ると、夏のモチーフやカラーが沢山で、気分も海の底からぶくぶくわき上

          ある月曜日、下鴨神社(2024.8.12)

          ある何も予定の無い日(2024.8.9)

           10:08に目が覚めた。今日から10連休である。目はぱっちりしていたが、起き上がって一階まで降りていくのはまだ面倒で、仰向けに寝転がったまま枕元に腕を伸ばして薄めの文庫本を掴みぺらぺらめくった。田辺聖子の『孤独な夜のココア』という「実家暮らしの朝」の対極にあるようなタイトルのものだ。恋愛小説なのだけど書いた人が当時80歳を超えていたから感覚のずれがかなりあり共感しきれないが、刺激のない内容かつさらさらした文章で書かれていてお菓子をつまむ感覚で読めるので勝手がいい。2編さくっ

          ある何も予定の無い日(2024.8.9)

          ある木曜日、秋の気配(2024.8.8)

           朝の匂いが秋のもので、家を出てあっと思った。自転車で突っ込んでいく前方の空を見ると晴れた運動会の日みたいな空で、とんぼもたくさん飛んでいる。いつのまにか秋が来ていると私はびっくりした。ついこの間、7月の終わりあたりにようやく夏を感じたのに、もう秋だとは、今年の私の感覚は本当にめちゃくちゃだと思う。やっぱり気持ちによるのだろうか。昨日の夜読んでいた文章が、世界は感情的で人間も世界の一部としてそれを反映しているみたいな内容だったので、自然にそういうことを考えた。自転車をこぎなが

          ある木曜日、秋の気配(2024.8.8)

          図書室にて、昔読んだ本の話(2024.7)

           華金、図書室の一角にて、敬愛する国語部長と2学期の授業の打ち合わせという名目で様々な話(たいてい教育・教科指導について)に耽っていたとき、掛け時計に目をやり定時が近づくのを認めた先生は私に、「恋愛に悩む青少年に勧めるべき小説は何だと思いますか」と聞かれた。生徒の発達段階に応じて必要と思われる教材を自分で用意し授業を作ることもあるという話の続きである。  私は恋愛小説を恋愛小説と意識してあまり読まないから特に印象に残っているものも無くとても困ったが、ようやく一つ「……海が聞

          図書室にて、昔読んだ本の話(2024.7)