独り占め電車

電車にて。

普段は行かない遠くの駅に今日は行った。

帰り、その駅から乗る人はとても少なく、加えて先頭列車のせいか私の周りに座る人は誰もいなかった。

そこから自宅の最寄り駅まで向かう途中、乗る人も多いとある中心的な駅を通った。

次にその駅に停まるというところで──あれ、今日は人が少ないな、日曜だからかな……と思っていたとき、一人のサラリーマンらしき人が見えた。

黒のコートを着てシュッとした身なり。この格好の人を見かけると、コンビニでバイトしていたときにいた常連のサラリーマンを思い出してしまう。

この人も今まで仕事をしていたのだろうか。それもこの休日に。
そう思うとなんだか切なくなってきた。

日曜日なのに出勤なんて凄いなぁ。
けど、それも上の人に日曜出勤してこいよとでも言われたのだろうか。それとも、元から日曜日に出勤するスタイルだったのだろうか。

けれど、そんなことに考えを巡らしていたのも束の間、電車がスピードを落として前に進んでいく中、なんと続々と人が見えてきたではないか。
彼らは街中で休日を満喫していたように見える。

やっぱりこの駅では人がいっぱい乗るよなぁ……と思いながら、あと少しの独り占め電車を噛み締めることにした。

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