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歴史の空間概念 〜歴史理解の奥義〜

九條です。

歴史理解のための奥義をご説明したいと思います。^_^

(以下 約1,200文字)

歴史というものは、単に「何年に何があった」とか「誰が何をした」とか、どこそこにどんな遺跡(遺構)があるとか、このモノ(遺物)は何時代のものだ、何年前のものだ…。

そういった平面的(年表的)な理解では全く理解したことにはなりません。それでは高校生までの学習内容であり、また受験勉強のための道具としての知識といったレベルでしかありません。

「学問」の研究対象として見るひとつひとつの歴史的事象は、その時間的経緯とともに地理的・文化的・政治的・思想的…といった様々な空間概念によって構成されています。

さらに人間的な空間概念(人間関係)も。これらを総合的かつ立体的に理解しなければ、歴史を理解したことにはならないと思います。

こうした立体的な「空間概念」(歴史的空間概念)という目には見えない形而上学的な現象は、言葉(文字)で表現し説明し尽くすことは至難の業で、私の実感としてはほぼ不可能だと感じています。この部分に私はいつも人間の表現技法の限界(言葉・文字の限界)を感じています。

では、どのようにしてそういった立体的な空間概念を理解して行くのかと申しますと…。

足繁く現場へ通うこと。現場の立地からその環境をよく理解すること。たくさんの遺構や遺物をよく観察すること。残されたたくさんの文献資料(原典資料)や、たくさんの専門家(研究者)の見解(報告書や論文など)を繰り返し読み込むこと…など。

そのようにして、ひとつひとつの事象の断片(平面的断片すなわち事象の一側面)を理解して行き、それを自身の頭の中で整合性をもって組み合わせて立体的概念としての「歴史的空間」を再構築して行くしかないと思います。

ひとつの歴史的事象において報告されるひとつひとつの平面的な断片(事象の一側面)については、各専門分野の専門家(研究者)がその分野における科学的な視点で報告し、論じています(とうぜん報告をしている各々の研究者の頭の中では歴史的空間が再構築されているものと思われます)。

専門家(研究者)というのは、そうしたひとつの歴史的事象を構成している無数の平面的な断片(事象の一側面)をひとつひとつ自身の頭の中で整合性をもって立体的に再構築して行くことができる人だと思います。

その過程で、いままで問題にされなかった課題が明らかになったり、新たな発見があったりします。

そうした膨大な量の平面的な断片(事象の一側面)を自身の頭の中で立体的に再構築して行くための訓練というのは、大学へ入った時点で受けはじめ、生涯にわたって学び続けて行かなければならないものです。

これは歴史学に限らず、あらゆる学問分野の基本中の基本であり、その傾向はとりわけ歴史学(日本史・世界史ともに)をはじめとした人文科学系の分野では極めて重要かつ基本となる方法論だと思います。^_^

©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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