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【読書感想】『文豪と感染症 〜100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか〜』

九條です。

今日(11月7日)は「立冬」。暦の上ではもう冬ですね。ここ大阪(近畿地方)では今日「木枯らし1号」が吹きました。

インフルエンザが流行りだす時期でもあります。皆さま、気をつけてくださいね。

最近はインフルエンザのことを「流感」(流行性感冒の略)とは言わなくなりましたね。私が小さかった頃(昭和40年代)には普通に「流感」という言葉を使っていました(風邪は「感冒」と言っていました)。

さて、いまから100年ほど前。世界中で猛威を振るったスペイン風邪(スペイン・インフルエンザ)。

我が国においても1918(大正7)年から1921(大正10)年にかけて大流行し、当時の我が国の人口約5,500万人のうち約2,380万人が感染し、そのうち約39万人が命を落としたと言われています。


【参考資料】我が国におけるスペイン風邪流行時の政府啓発ポスター(2021年12月11日/大阪歴史倶楽部 掲載)


当時の作家たちも、このスペイン風邪についての記録を(なかには自分が罹ってしまったという体験談を)書き残しています。

本書はそのような作家たちが書き残したスペイン風邪についての文章を紹介しているものです。本書が抜粋・引用している作家とその作品名は以下の通り。

◎芥川龍之介の書簡
◎秋田雨雀『秋田雨雀日記』
◎与謝野晶子『感冒の床から』
◎与謝野晶子『死の恐怖』
◎斎藤茂吉 歌集『つゆじも』
◎永井荷風『断腸亭日乗』
◎志賀直哉『十一月三日午後の事』
◎志賀直哉『流行感冒』
◎谷崎潤一郎『途上』
◎菊池寛『神の如く弱し』
◎菊池寛『マスク』
◎宮本百合子『伸子』
◎佐々木邦「くしゃみ」(『女婿』より)
◎岸田國士『風邪一束』

(本書目次より)

各作品の末尾に付けられている編者による短い解説文はとても分かりやすく、また巻末の岩田健太郎氏(医師/神戸大学感染症内科教授)による解説文も分かりやすくて読み応えがあります。

文庫本ということもあり、全体的にとても分かりやすくコンパクトに纏められています。高校生以上の人なら容易に(中学生でも少し頑張れば)理解できる内容となっていると思います。私は本書を休日(11月3日=文化の日)の1日で読了しました。^_^

【書誌情報】
著者:永江朗(編)
書名:文豪と感染症 〜100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか〜
発行:朝日新聞出版(朝日文庫)2021年
本文:272頁
定価:680円(+税)


ちなみに、我が国にスペイン風邪の第一波が襲った1918(大正7)年は、私の祖母が生まれた年でした。

では皆さま。秋もだいぶ深まってまいりましたので、風邪などひかれませんよう、インフルエンザなどに罹られませんよう、気をつけて、心も身体も温かくしてお過ごしくださいね。^_^


©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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