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「カメさんに手紙きた―童話ー#ウミネコ文庫応募作品」

ことりの ゆうびんやさんの
ハクセキレイさんが
お池の カメさんに
手紙(てがみ)を とどけました

カメさん 鳥語(とりご)の
手紙(てがみ)が
よめないので
アタフタ 大あわて

となりにすんでる
カニさんも 困って
ブクブク あわふいては
うでぐみ してる

そこへ
お節介(せっかい) 雀がやってきて
「カメさん 私が 読んであげるよ」

雀は 引き受けてはみたけれど
ことり小学校は 中途(ちゅうと)で退学(たいがく)してたので
ことり文字は ほんの少ししか
わからない

カメは 困って
川の岸に 佇(たたず)んでる
シロサギさんに 手紙を見せた
シロサギは じっと
一本足で 動かずに
手紙を みてる

30分経っても 無口(むくち)
1時間たっても 首をかしげるだけ
ノロノロカメさんも
これには あきれ顔

最後(さいご)には こわごわ
年取った 白へびさんの
家の扉(とびら)を たたく

白へびは 昼寝(ひるね)を 
妨(さまた)げられて
不機嫌顔(ふきげんがお)

赤い目を ギラっとさせて
「読んでやってもいいが
お礼が いるよ」と
赤い舌を ぺロペロ

カメさん 宝物(たからもの)にしていた
人間の子供が おとした
青い まあるいアメを 
こわごわ さし出す

へびは 大きな口で
一口(ひとくち)で ノミこんでしまう
へびの 体(からだ)が 途中(とちゅう)だけ
飴玉(アメダマ)の形に ふくらんだ

「う---ん この手紙はだな
ハクセキレイの所で
赤ちゃんが 生まれたから
その 誕生祝(たんじょういわい)のパーティを
今日 2時から 開(ひら)くから
是非(ぜひ) カメさんも来てください!
と書いてあるぞ」

これを聞いて
かめさん 服(ふく)もきかえずに
いそぎ足で 出かけた
時計(とけい)は もう 1時50分過ぎ

カメさんは 急いだ
生まれてこのかた
こんなに早く 
走ったことがないほど
猛(もう)スピードで 走った

でも 到着したころには
ハクセキレイの家では
約束の2時は とっくに
過ぎており
もう 夕ご飯の時間に
なっていた

丸い 夕食のテーブルを囲んで
カメさんは おいしい スープを
ごちそうになった

そして 赤ちゃんの 
すやすや顔を
秋の 月明かりで
あきるまで 眺めて
自分も 疲れて
眠って しまった

どこかで 急ぎ足で
歩くカメさんを みたら
きっと また
誕生日会に 行く所なのかも
知れませんね

おわり
(約1260字)

ウミネコ制作委員会様へ

初めての応募ですが、
まだ 締め切りはされていなければと
願いつつ応募させて いただきました。
この企画の募集要項は次のとおりです

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立山 剣
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