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story (小説)

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小説やショートショートはこちらにまとめます。
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#小説

小説/ハートに画鋲が刺さるとき《#シロクマ文芸部》

「恋猫と書いて『らぶね』って名前、かわいいですよね?」 新人の莉子は、自分のお腹を愛おし…

豆島  圭
2週間前
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小説/Sweety sweety House《#シロクマ文芸部》

甘いものは控えたほうがいい。 7年前、最初にそう伝えた時の君の表情を、僕はまだ覚えている…

豆島  圭
11日前
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小説/神視点の物語

仄暗い谷底に、ガードレールを破って転落した一台の自家用車。 運転席の男が目覚める。 男の体…

豆島  圭
1か月前
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小説/花とピアス

◆ テレビの二時間サスペンスでよく見るアレ。本当に使うんだ。 私は「KEEP OUT」と連続で書…

豆島  圭
4か月前
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レモンとオレンジの間で 《#シロクマ文芸部》

「レモンから映せよ。なんでアイツのアップからなんだよ」 「スポットCMなんて商品とナレーシ…

豆島  圭
5か月前
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小説/2枚目のメッセージ《#ピリカ文庫》

『東京』『ヲ爆』『破する。』 8月30日午前 0 時。3枚のファックスが県内の複数マスコミ会…

豆島  圭
6か月前
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小説/桜色のマニキュアとハチワレの空

桜色のマニキュアだった。 ター子の汗ばんだ手のひらの上に置かれたそれは、今の季節にピッタリの、お化粧なんかしたことない私たちにピッタリの、小さな瓶にめいっぱい詰まった、薄いピンクのマニキュア。 「かわいい。どうしたの、これ」 笑顔で聞く私と対照的にター子は怒ったような真っ赤な顔で私に言う。 「どうしたのって! ボンちゃんが言ったんじゃん!」 「私が? なんて言った?」 そんな顔で怒るから男子にター子じゃなくてタコって呼ばれちゃうんだよって言おうかと思ったけど様子がおかしか

小説/予備席の男《#夜行バスに乗って》

僕は、兄さんが託してくれた手紙を再度開いて読み返した。 「自分に何かあったときに読んで実…

豆島  圭
11か月前
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小説/おめでとう。卒業と、《#夜行バスに乗って》《#シロクマ文芸部》

卒業の季節、イコール絶望。 卒業式って何だろう。結局一度も参加してないから分かんない。た…

豆島  圭
11か月前
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カバー小説/逝化粧

椎名ピザさんの企画に参加しています。 トガシテツヤ様の掌編をカバーいたしました。ぜひオリ…

豆島  圭
1年前
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カバー小説/雪の道 《#シロクマ文芸部》

椎名ピザさんの企画により、yuhiさんの超短話「アパート」をカバーいたしました。 (カバー小…

豆島  圭
1年前
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カバー小説/ポロロッカ

まずは、以下のふた作品をお読みください。 この「流れていくもの」に「浮かんでいる」の素材…

豆島  圭
1年前
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小説/汐喰シーサイドホテル704号室

「お願いだよ、この通り。な、な?」 父さんは  汐喰シーサイドホテルのフロントカウンターで…

豆島  圭
1年前
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冬色シチューの待つ家へ《#シロクマ文芸部》

冬の色になったね。もう安心だよ。 そう先生に言われて、隣に立つ母がほっと胸を撫で下ろしたのが僕にまで伝わった。 僕はと言えば、急に来た自分の身体の変化に戸惑いと恥ずかしさが纏わりつくばかりで、家族や先生の喜ぶ顔もまともに見れない。でも 「テルマくん。明日から一人で学校まで来られるね」 そう言われて、やっと嬉しさもこみ上げてきた。 僕は家族から守られるだけの対象ではなく、自分で自由に出歩いていい存在ってことなんだ。 大人になるってこういうことなのか。 先生にさようならの挨