小説/予備席の男《#夜行バスに乗って》
僕は、兄さんが託してくれた手紙を再度開いて読み返した。
「自分に何かあったときに読んで実行して欲しい」と言って手渡されていた手紙。
間違いないと思う。
夜の籠、新しき宿、そして、春。
帳面駅に貼ってあったポスターを見た時ピンと来たんだ。手紙はこの夜行バスのことを言っているに違いないって。
「予備ニ坐スラバ」って言っても小学校の時の遠足みたいに夜行バスに補助席なんてない。予備ってなんだよと思ったけど予約サイトを見てはっとした。
「4B」の席だ。
キャンセルが出たのか直前にな