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story (小説)

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小説やショートショートはこちらにまとめます。
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記事一覧

小説/ハートに画鋲が刺さるとき《#シロクマ文芸部》

「恋猫と書いて『らぶね』って名前、かわいいですよね?」 新人の莉子は、自分のお腹を愛おし…

豆島  圭
2週間前
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小説/Sweety sweety House《#シロクマ文芸部》

甘いものは控えたほうがいい。 7年前、最初にそう伝えた時の君の表情を、僕はまだ覚えている…

豆島  圭
11日前
40

小説/神視点の物語

仄暗い谷底に、ガードレールを破って転落した一台の自家用車。 運転席の男が目覚める。 男の体…

豆島  圭
1か月前
54

小説/静かな空

君は、空がどんな場所か説明できるか? 昼間は青くて眩しかったり、夜は満天の星が輝いていた…

豆島  圭
3か月前
77

小説/花とピアス

◆ テレビの二時間サスペンスでよく見るアレ。本当に使うんだ。 私は「KEEP OUT」と連続で書…

豆島  圭
4か月前
65

レモンとオレンジの間で 《#シロクマ文芸部》

「レモンから映せよ。なんでアイツのアップからなんだよ」 「スポットCMなんて商品とナレーシ…

豆島  圭
5か月前
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小説/2枚目のメッセージ《#ピリカ文庫》

『東京』『ヲ爆』『破する。』 8月30日午前 0 時。3枚のファックスが県内の複数マスコミ会社に送信された。正確に言えば、最初の『東京』が 0 時ちょうど。次の『ヲ爆』が 0 時10分。次の『破する。』が  0 時15分。 爆破予告が届いたとすぐに判明したのは、MHK前崎、テレビぐんま、群馬中央新聞、前崎タイムス。いずれも一般市民が知り得る代表番号宛にインターネット経由で一斉送信されたとみられる。 県警記者クラブに詰めている記者から、雑談としてそれを聞かされた県警の広

小説/桃男(ももおとこ)《#白4企画》

お断り:一部グロテスクな表現があります 直径わずか数センチの丸い覗き窓から外をうかがう。…

豆島  圭
6か月前
58

小説/桜色のマニキュアとハチワレの空

桜色のマニキュアだった。 ター子の汗ばんだ手のひらの上に置かれたそれは、今の季節にピッタ…

豆島  圭
11か月前
69

小説/予備席の男《#夜行バスに乗って》

僕は、兄さんが託してくれた手紙を再度開いて読み返した。 「自分に何かあったときに読んで実…

豆島  圭
11か月前
50

小説/おめでとう。卒業と、《#夜行バスに乗って》《#シロクマ文芸部》

卒業の季節、イコール絶望。 卒業式って何だろう。結局一度も参加してないから分かんない。た…

豆島  圭
11か月前
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カバー小説/逝化粧

椎名ピザさんの企画に参加しています。 トガシテツヤ様の掌編をカバーいたしました。ぜひオリ…

豆島  圭
1年前
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カバー小説/雪の道 《#シロクマ文芸部》

椎名ピザさんの企画により、yuhiさんの超短話「アパート」をカバーいたしました。 (カバー小…

豆島  圭
1年前
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カバー小説/ポロロッカ

まずは、以下のふた作品をお読みください。 この「流れていくもの」に「浮かんでいる」の素材をトッピングしてカバー小説を書きました。 ******************************* あれは私が10歳の頃の話だ。 父は小説家だったらしいが執筆している姿は一度も見たことがない。 母が朝から晩まで働きに出ている間、使われなくなった父の書斎で私と父はよく時を一緒に過ごしていた。 ガタガタと硝子の震える木枠の窓を父が少し開けるとツンとした匂いが鼻を刺す。 窓のすぐ