怒りー秋の夜長にー
秋の夜長
貴方を追いかけた午後7時過ぎと少し早めに眠りについて目が覚めてしまった深夜1時20分が同じ1夜と表現されることに、違和感を覚えた。
そうだ。違和感を覚えるくらい、夜が長い。
目が覚めたときに魔が覚めたように我に帰り、自分が致したことの罪の重さを知った。寒くなってきたせいで厚着になった布団が重く感じられ、喉が枯れるほど渇き、ただ、苦しい。
外の空気が欲しい。
窓を開けるとそこにはひんやりとした空気と静寂があった。虚しい。遠くからどこかの誰かが車を駐車している音が聞こえて来る。そこで初めて今この夜の世界を生きているのは私だけではないことを知り、幾ばくか安心するのである。
怒りは何も生まない。ただそう思う。怒りによって相手を傷つけそれと同等にもしくはそれ以上に自分の心を痛めつける。痛みとともに孤独を感じる。
ひんやりとした風が鼻にツーンとくるのもまた厄介だ。
寒いのに寒いのに窓を閉めたら苦しい。
気持ちよくまた眠りにつきたい。
ただそう思う。
ラジオをつけて人の肉声を聴けば良いのだろうか。
きっとそんなことをしても気持ちよくは眠れないのだろう。今日は。
怒りの感情に腹が立つ。すべて怒りに身を委ねてしまった私の責任である。どうか、どうかこれから先死ぬまでに怒りに身を委ねる回数が1回でも少なくなりますように。強く、冷静に、怒りをコントロールできる、そんな人になりたい。
思い出されるのは貴方と過ごした遠い日の記憶。
すべてが貴い思い出だ。
大事にしたい。
そんな風に思っていた貴方とは2ヶ月後にお別れをした。
あれから1年半近く経った今、新しい恋人がいる。
また同じように彼を大切にしたいと願っては傷つけるのだろうか。
そんなことを思うと恐ろしい。
そんなことしたくない。
もう怒りの感情に振り回されたくない。