1on1ヘタクソ社長の反省文・・結局お前がしゃべんのかよ!スペシャル~組織開発日記#8
のっけから30年前のバラエティ特番のタイトル風ですみません。1周回って今、意外にイケてるんじゃないかって、甘い考えです。
傾聴の天敵
突然ですが、元来、僕は人の話を聞くのが苦手です。
小学校の通知表には、毎回「落ち着きがありません」と書かれ、授業中もスキをみては笑いをとりにいったりするので先生から怒られ(ごくたまに先生にもウケたりした)、小学校高学年の授業の3分の1は廊下に出されておりました。
これ、本当の話です。
そんな性分ですから、本当は1on1に向いている訳がありません。なんせ1on1は「傾聴」できてナンボっていうじゃないですか。
当社も2021年に1on1(部下との1対1ミーティング)を全社で始め、皆で研修も受けました。
「役員から率先垂範で、全社に浸透させましょう。オー!」
といざ実践フェーズです。社長の私は自分以外の7人の役員が相手。みんな同じ研修を受け、改めて1on1で教わったとおり向き合うのもやたら照れくさかったりしたのですが、
「俺も傾聴がんばって相手を内発的動機づけするような、良い1on1するぞ!」
と張り切ったのもつかの間。最初の相手は、シュウさんという役員でした。
後で思えば彼女は、「聞き上手、引き出し上手、そしてリアクション最高」の3拍子そろった逸材なわけですが、「自分がしゃべるのを我慢して傾聴するぞ」と努力していた私にとっては、ある意味それをさまたげる「天敵」のような相手。
僕の方が話を引き出され、傾聴され、そして爆笑されるので調子にのってまたしゃべるという魔のループに陥り、終わってみれば1時間の1on1のうちほとんどは僕がしゃべるという大惨事。
「これじゃダメだ」と最後にそう言うと、「なにいってんですか社長。メチャメチャ楽しかったです!」とかうまいこといわれて、それはそれでまんざらでもないという、実にやっかいな習性が頭をもたげるのでした。
「全員集合」の掟
ということで、良い1on1をするために反省しきりなわけですが、「自分は本当に話を聞くのが苦手なのか?」ということについて考えてみました。すると、必ずしもそうではないのでは?とも思ったりする訳です。
そもそも、入社して最初に配属された番組のプロデューサーからは、「ADは全身耳にしろ」と、叩き込まれました。
配属された「8時だョ!全員集合」という番組のネタづくりでは、長い沈黙のあと、加藤茶さんや志村けんさんがボソボソっとしゃべり始めることからネタが膨らんでいくのが常でした。スタッフにとって、これを聞き漏らすことはその後の番組のクオリティにもかかわり致命的です。
また、現場以外の場所でも、ディレクターや作家などが話していることを、全神経を集中させて聞き、そのあとどういう動きをするべきかを自分で判断し、先回りして実行できるのが優秀なADとされてきました。
自分で言うのもなんですが、その後ディレクターとなって「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」という番組が終了するまで8年間、まがりなりにもやれてこれたわけですから、その意味では「話を聞くのが苦手」ってことは少なくともないんじゃないか、とも思う訳です。
しかしながら、数年前より行っている360度フィードバックでは、「興味のない話の時は表情に出ます」とか「貧乏揺すりされることがあります」など、これは未だに指摘されます。
自分でも、「大勢が出席する会議で、すでに一度報告をうけたことのある議題」だったりする時に、あきらかに違うことを妄想していることは今だにあって、やっぱ「話を聞くのが苦手」かなとも思うのです。
そこまで考えて出た自己分析は以下のようなことです。
① 退屈な授業、退屈な会議、退屈なトークは苦手。
(退屈なほうが悪い!と開き直ったりして。)
② その気になれば「全身耳」にして、集中して聞ける。
(こちとらプロとして20年やってきた。だから自信をもて。)
③ 1on1で、「傾聴」できないのは、「聞けない」のではなく、「自分がしゃべりたい」から。
(あれ。気づいちゃった。)
1on1の始祖?
その後もいろいろと反省しながら、時には外部のコーチングの研修も受けたりして、少しでも良い 1on1 をしようと自分なりに努力をしています。なぜかといえば、組織開発の実践をやればやるほど、1on1 の大切さが身にしみるから。
僕が尊敬する元インテルのCEO、アンドリュー・グローブも、著書「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」(小林薫訳、日経BP)の中でこう語っています。
さらに、アンディ・グローブはあるワン・オン・ワンで部下から聞いたある具体的情報を元に、慎重に検討した結果、その事柄を全社で実行した事例をあげ、こう続けています。
因みにこの本には、「部下とのワン・オン・ワンを定例的にやっている会社は、インテル以外ではほとんど見ることができない」旨の記載があります。この本の初版が発行されたのは1984年。アンディ師匠(と勝手に呼ぶ)の先見性はやはりスゴいです。
アジェンダを決めておく
「1on1はメンバーのための時間なので、内容はすべてメンバーが決める」
そういうやり方を聞いて、僕もしばらく実行していたことがあります。しかしながら、大きなデメリットに気づき、今ではやめています。それは、「上長が準備をしなくなる」ということです。
次の1on1で、何を引き出し、何を伝えておくべきか?などを考えるには、普段からの部下の観察が欠かせないのです。
ということで、基本はメンバーの話したい事に時間は割きますが、以下のようなこと(これらすべてを一度にやる訳ではない)をアジェンダとして、常に準備をしています。
「目標」の共有、課題に対する「進捗」の確認
個別案件について課題やその対応の情報共有など、具体的な業務に関連した諸々のことです。フィードバック
お互いに、良かったことや改善すべきところなど、、フィードバックする。特に、上位役職者からしつこくフィードバックをもとめることは大事です。
僕の場合は「なにかこちらが改善すべきことはない?」とか、「僕の言動で気になることがあったら言ってほしい」などとお願いしています。
おかげでこれまで「顔がコワい」とか「あの局面ではイジられたくなかったです」他、とても有意義で(でも本当はキズついたりしてるのよ)貴重なフィードバックをもらっています。会社全体の方向性や他のセクションに対する考えを引き出す
皆、自分の権限の範囲外のことにはなかなか口が出しづらいものです。ここで疑問や意見、不満を引き出していきます。これが、埋もれた課題の発見や改善につながることもあります。将来のキャリアプラン
僕の1on1の相手は年長者が多いので、若干ナマナマしい話になったりもしますが、特に言いにくいことは1on1の場で伝えるようにしています。学びのシェア
話すことが尽きた時など、お互いに最近読んだ本や研修で学んだことなどを共有します。
心がけていること
最後に、今現在、僕が1on1で心がけていることをご紹介します。あくまで心がけです。
仕事以外の話をする
1on1はもちろん仕事上の具体的なことを話すのですが、若い社員や初めてのマネージャーの時は、まずは相互理解に努めます。まずやるべきことは、関係性の構築。ちゃんとやろうと思えば、「ライフラインチャート」のシェアなどが効果的です。
話を聞く。聞いているという姿勢を見せる
「話を聞く」ことが本来苦手な訳ですが、できるだけ相手が話しやすいようにリアクションしながら、相手に集中し、すぐにこちらが喋らないように、できるだけ頑張っています。話を引き出し、質問をする
主体的に考えてもらうために、最初から答えを与えず、「あなたはどうしたい?」などと問う。このあたりは当然意識して実践しています。
ただし「社長」というポジションは特殊で、「考え」を聞かれることがよくあります。その場合は、あまりもったいぶらずに「僕はこう思う」と、自分の考えは共有するようにしています。
最近は特に「問題の本質」を考えて欲しく、できるだけそういった問いかけをするようにしています。
ということで、1on1を初めて4年。当社でも、丁寧な1on1を実践できているマネージャーが、エンゲージメントを向上させ、チームのパフォーマンスを上げる傾向があることが、明らかになってきています。
だからこそ少しでも巧くなろうと、「人のトークには、すぐには被せない」など、日々の自主トレに勤しんでるわけです。
でも「すぐには被せない」って言ってる時点で、「被せるタイミングを見計らってる」ってことにはなるわけですけどね・・。
結局オマエがしゃべんのかよ。
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