【随想】文体について
三島由紀夫は文字が宝石のように硬い
理知的でカチカチである
人工物に対する美意識
谷崎潤一郎の場合
人間の自然美への執着
直情的な文章で大変流麗ではあるが艶かしくはない
美でいえば
よほど坂口安吾の方が妖しく艶かしい
夏目漱石は観念と道徳
一文は短く、一切の無駄がない
厳選された文字の連なりが格式高い
江戸川乱歩も研ぎ澄まされた
無駄のない文章
しかしおどろおどろしい、毒々しい内容をも
淡々と描くことでさらに薄気味悪さが増す
村上春樹はモダン、文字は軽やか
文字が存在から離れ