眠れない だけど眠りたい
眠れない
だけど眠りたい
どれだけ目を閉じていても
寝返りをうとうとも眠れない
瞼の裏で弾ける光が気になり
眠りの底に落ちていけない
光は常に形を変えて
時には見知った人の顔になり
時には学校の長いリノリウムの廊下になり
時には青空にたなびく飛行機雲になり
本物か偽物かどうかは関係無くて
いつか見たであろう
〜見ていなかったとしても関係なくて〜
そのどれもが僕の脳みそにとって
刺激的で魅力的で目を逸さずには
いられないものばかり
穏やかな眠気を拒みながらも
僕の意識はされど眠ろうと
頑張ろうとするから
なんだか休んでるのに
疲れていくと言うジレンマ
ぐるぐると彩り点滅
頭の中で取り止めもなく流れていく
TVのCMの様な映像を見るともなく
眺めている僕は一人夜のしじま
真っ暗な夜の底でじりじりと
眠れない時を過ごし
ひっそりと四畳半に体を投げ出し横たわる
いつのまにか
きっといつの間にか
功を奏したのかどうか
TVを見ている内に寝てしまったりする様に
僕もまた気づけばその様に
一瞬だけど意識は
どこか遠くに飛んでさっきまで何を考えたか
思い出そうにも思い出せない
きっとそうなのだ
そうかもしれないのだ
記憶がぽっかり抜け落ちたかの様な感覚は
少しの間だけ眠る事が
できていた証拠かもしれない
頭の中にどろりとした微睡みが
残っている内に僕は再び微睡みの深みに
潜っていこうと思う
今ならまだ戻れそうな気がする
このまま安らかに眠る事ができたら幸せだ