大学院卒業式2

摂食障害寛解までの道④ - 大学院生活と就職活動

(画像はいろいろあった大学院卒業式、色々あった母が泣きながら撮ってくれた写真。)

この記事では、私が摂食障害の症状を強く抱えていた時から今までの気持ちの変遷、症状の変遷を書いていきます。読んでほしいのは、主に今摂食障害に苦しんでいる人、その家族や友人や恋人。後半になったら、摂食障害に限らず、何らかの“生きづらさ”を感じている人も、もしかしたら少しは参考に慣れるかもしれません。
あまり楽しい話ではないですが、少しでも”自分だけじゃない”、“自分も抜け出せる”そんな前向きな気持ちを持つ一助になれたらうれしいです。

摂食障害寛解までの道①:LINK
摂食障害寛解までの道②:LINK
摂食障害寛解までの道③:LINK

大学院生活

大学でもっと学び、職業に繋げたいと思える実学、日本語教育に出会いました。それからは就活を一切やめ、大学院受験のための勉強を始めました。

勉強と言っても、知識ゼロの状態から大学院に入るために、元々勉強してきた人たちに遅れないよう、先行研究や本を読んでいただけですが…笑

それでも、「私にもやるべきことがある」と言うことがとても救いになっていました。

無事に入学が決まり、大学院生活が始まった後も、毎日「やるべきこと」があり、同時に「やりたいこと」がどんどん出来ていきました。

今まで「どうせこれも出来ない、あれも出来ない」と選択肢を切り捨てるばかりだった生活から、
「これもあれもやりたい、出来るかもしれない、やってみよう」と思うことばかりの生活への転換は夢のようでした。

今までのコミュニティとは全く違う、「そんなにやり過ぎちゃって大丈夫?」と心配して引き止める人もいない、好きなだけ突っ走れる環境でした。

そんなわけで、それはもう、「ウリ坊に似てる」と言われるくらい突っ走りました。笑

朝は6時から7時半まで運営していた学生団体のミーティングや資料作成、
7時半から9時まで図書館で文献を読み漁り、
昼休みも学生団体の運営やイベント、
授業が終わってから学生団体、バイト、深夜まで文献講読…

そんな風に隙間を作らずに過ごせる毎日がまたやってきて、退院後の制限付きの生活に内心モヤモヤしていた私は
走り回っていました。

本当は、やりたいことがあるときこそ、
自分が絶対に失っちゃいけない身近な人への愛情や、自分への愛情を忘れずに過ごさなくてはいけない
のに
そこが少し疎かになっていたと思います。

就職活動開始

大学院一年目の夏ごろから、就職活動を開始しました。
元は「教師になる」と決心して入学した大学院ですが、やはり社会人として経験を積んでから教師になりたい、と思うようになったためです。
本当に少ないながら、実習でかかわった日本語教室に来る子どもさんや大人は、何らかの生きづらさを抱えていました。
それに学習支援と(ある種の)人道支援で関わるには、自分自身が「海外を含めた組織の中で働く」という経験が必須になると切に感じたのです。
加えて、私はどこかで、「会社で働く」という経験をすることで、まだ誰かに認められたかったのだと思います。

ここについては、書くと長くなるのでまた別途機会があれば書きたいなと思いますが、
とにかくこの就職活動が私の「ウリ坊生活」を後押しすることになります。笑

学部生3年目で細々とやっていた就活は、とにかく自信がなくやりたい事もなく、ただ「やらないといけないからやってる」程度の後ろ向きなものでした。
対して大学院で始めた就活には目標がありました。また、突っ走る中で恐れ多くも色んな方が下さったプラスの評価に後押しされ、面接やOB訪問で出会う人との交流も純粋に楽しむことができました。

色んな人に会い、その方の経験のお話を伺い、
そして自分よりも経験豊富な方々が自分の良いところを探そうとしてくださる。

こんなことってもうそうそうないのでは?!
と思い、とにかく色んな形で就職活動に打ち込みました。

寝ずに参加したインターン、
自分の過去を含め、辛かったことを含めて泣きながら話した面接もありました。

色んな方が、私の良いところ悪いところを沢山前向きに教えてくれました。

そのおかげで、私は「自分もやればできるんじゃ…?」と思えるようになっていきます。

就職活動は、本当に人生で初めて自分に自信を持つきっかけをくれました。

就職決定、論文執筆本格化、摂食再開。

そんなこんなで無事に第1志望企業に内定を頂いたのはなんと大学院2年になる一ヶ月前の3月。

就活に区切りが付くまでは!とお休みしていた執筆活動を爆速で再開しなくてはいけなくなります。

論文執筆は当たり前ですが結構しんどくて、学生団体の運営と相まって次第に余裕がなくなっていきました。

同時に、摂食の症状も顔を出してきやがりました…くうう。
はじめはご飯を食べる時間を惜しんで食べなくなり、次いで過食、その先に嘔吐。

授業のディスカッションでも、学会発表でも、面接でもインターンでも、学生団体の運営においてもバイトにおいても、ずっとそれなりに明るく保っていました。
なのに家に帰ると、
論文が書けないイライラと焦り、
学生団体運営スタッフの他のみんなとの比較で感じる劣等感

マイナスの感情ばかりで、食事もやっぱり「普通」にとれなくなって、

ぷつん、と糸が切れたように
大学院を休むようになってしまいました。

教授の激励

ある日教授の研究室に呼び出しされました。
このままじゃ論文提出が危うく、卒業が出来なくなることを案じて声をかけてくれたのでしょうが、
叱ることなく、焦らせず、ただ「最近、何か困っていることや、嫌なことはなかったか」と聞いてくれました。

初めのうちは、いつも通り明るく装ってテキトーに話を繕っていました。
何も困っていることはない、ただ少し忙しくて気分が乗らなくて、たまに体調が悪い時があって。
そんな風にへらへらと話をしていました。

「この前、生協の人から連絡があったの。生協でパンを袋に入れて、買わずにやっぱりいいですって戻してくる生徒がいるって。袋に入れられてしまうとお店に戻せず廃棄になってしまうから困っているって。身に覚えがあれば、正直に打ち明けてほしい。」

そう言われたとき、背筋が凍りました。
この当時、私は何度もご飯を買おうと生協にき、パンを取り、でも食べるのが怖くなってレジに戻して帰る、ということを繰り返していました。

食べ物を粗末にしていることが、尊敬している教授にバレていた。

とにかく見捨てられることが怖くて、つい一度嘘をつきました。「何のことかわかりません」と言った私に対して、教授はもう一度「本当に、あなたのことではないのね?大丈夫?」と問いかけてくださいました。

自分がやった悪いことにまで蓋をしたら、もっと自分が許せなくなる。もうこれ以上大好きな、尊敬している周囲の人に対して嘘をつくのはいやだ。

そう思って、正直にすべてを打ち明けました。

大学1年くらいから、摂食障害をはっきり自覚したこと。
最近また症状が出てきて、うまくご飯を食べられないこと。
でも、それと食べ物を粗末にすることは全く別問題なので、生協の人には謝りたいこと。
論文が書けるか、卒業できるかわからないけど、頑張りたいと思っていること。
家族にも完治したと言っているから、秘密にしておいてほしいこと。

自分が悪いことをしたのに、数々わがままを言いました。
それでも教授はすべて聞いて受け止めて、「頑張りなさい」と言ってくれました。

「普段は明るくて元気でいつも忙しなく走り回っている貴女を見ていたけど、前に一度一人で泣いている貴女を見かけたの。それからずっと、本当は何か苦しいことがあるんじゃないかって気になってたの。
だから話してくれてよかった。頑張りなさい。大丈夫だから。貴女には期待しているから」


ああ、自分が思っているよりも、周りは私を見て、不安に思うんだなと、もう一度気づかされました。
自分が明るく振舞っているつもりでも、危うさは出てしまうし、それは人を不安にさせてしまう。
就職活動中、必死でうわべを飾った私に対して掛けられた「期待してるよ」という言葉よりも
もっともっと、心から、本当に人からかけられる期待に救われた瞬間でした。

そんな教授の激励を受け、何とか書き上げた論文を提出したのは、提出締め切りの1時間前ぎりぎり。
入学当初に抱いていた壮大なビジョンとは裏腹に、「その研究意味あるの?」とたくさんの人に疑問を投げかけられるニッチな論文になってしまいました。(笑)
就活で途切れ、1年のみで仕上げた論文は内容の厚みも足りません。私の大学院生活の集大成は、研究者候補の端くれにも満たないような結果に終わってしまいました。
それでも、この大学院生活と就活を通じて、私はたくさんの自信をいただきました。そのおかげで、私はキラキラと成功体験を積んできた社会人同期の中に混じって、なんとか社会に出て、今も働くことが出来ています。

次はこんなことを書くよ!

次の章は、摂食関連の備忘録では最終回。
社会人生活を始めてからの摂食障害との付き合い方や、今何を考えているのかを書きたいと思っています。

最終回に改めて書くつもりだけれど、きっと人生はこういうことの積み重ねなんだと思う。

人に触れて傷ついて、怖くなって閉じこもって、
暴飲暴食でも、旅行でも、爆買いでも、男女関係でも、自傷行為でも、一瞬忘れられるツールにすがって、
ふっと「やらかしたー!!」って気が付いて後悔して、
誰かの優しさや厳しさに「こっちに戻っておいで」と元の道に誘導してもらう。

それでいつか、振り返ったときに「私も前に、つらい経験があったよ」と笑い、将来他の人にちょっこし共感できる幅を広くできるかもしれない。

とても自己満足な記事だけど、こうして書いているだけで、自分の心を整理して、自分がどうなりたいのか整理して、自分のちっぽけな前向きな気持ちを押し出すことが出来ています。
①からここまで読んでくださった方、もしいらっしゃいましたら、ありがとうございます。最後まで、よろしくお願いいたします。(笑)

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