【小正月】台所めぐり #1 青森県 『けの汁』
世界の台所をめぐってその土地の文化を知る【台所めぐり ~Local Kitchens~】初回は青森県津軽地方の郷土料理『けの汁』です。
由来は諸説ありますが、津軽では『粥』を『け』と呼ぶことから、『かゆの汁』とされています。米が貴重だった時代に、野菜や山菜、油揚げ、凍豆腐などを米に見立てて細かく刻んで煮込み、味噌や醤油で味付けした汁物です。
青森市の春枝さんを訪ねました。息子夫婦と孫娘と暮らしており、その台所は現代の日本のスタンダードとも言える使い勝手の良いきれいなシステムキッチン。
「正月に女性が休むために沢山作っていた」
『けの汁』はもともと小正月の料理でした。(※小正月……旧暦の1月15日、その年最初の満月の日)正月に来客対応や家族の為に料理や家事に忙しくした嫁が、小正月に里帰りする際に、男衆のためにつくりおきしていたそうです。ゆっくり休むための、家族への作り置き料理だったんですね。
それにしても、7~8種類もの具材を全て細かく刻んでいく、とても手間のかかる料理です。時間がかかるので、前日から下準備してくれていました。
「具だけにしたものはずっと冷凍しておける」。
温めた出汁に冷凍して置いた具を入れ味噌を加えればいつでも誰でも簡単に『けの汁』が食べられます。
最後に、オマケで郷土料理をもう一品作ってくださいました。
『貝焼き味噌』
ホタテ貝を鍋代わりにし、ホタテや魚、麩などを味噌を加えて煮て、卵でとじた料理。ホタテの貝殻からホタテの出汁が出て旨味を味わうものでしたが、養殖で大ぶりのホタテが手に入らなくなった現在では各家庭に『貝焼き味噌用』として大きな貝がらが保存されているんだとか。
ご家族にお邪魔してわいわいと小正月気分を味わいました。素敵な台所とお料理、ありがとうございました。