Matti🇫🇮

フィンランドに生息する生物学研究者。現地の生活を通じて感じたこと、気づいたことを書き留めます。

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フィンランドに生息する生物学研究者。現地の生活を通じて感じたこと、気づいたことを書き留めます。

マガジン

  • Mattiのこだわり旅行記

    フィンランド在住のMattiが旅先で見聞きしたことを綴った旅行記。歴史オタク、自称食通によるガイドブックには載らないようなこだわりの思い出を集めました。

  • コネなしポスドク就活記

    国内で博士号を取得、その後ヨーロッパで行ったポスドク就活の体験記。コネもフェローシップもない状態から手探りでポストを得た記録です。

最近の記事

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北欧ポスドクの自己紹介

Mattiが何者なのかをまとめました。 ①経歴学歴、職歴 ・東京大学大学院  博士課程修了 (農学) ・東京大学 農学特定研究員 ・フィンランド ヘルシンキ大学 2023年~ 研究者としてのキャリアに魅力を感じ、学部卒業後は東京大学大学院に進学し博士課程を修了しました。いわゆる学歴ロンダリングというやつです。 現在はヘルシンキ大学のとある研究室に雇ってもらい、ポスドク (=期限付き研究員) をしています。 日本にいる頃から研究室での毎日には変わらないのですが、 日本

    • ホワイトボードと研究者の特権

      フィンランドで生物学を研究しているMattiです。 最近、研究室のオフィスにホワイトボードを置いてもらいました。 ホワイトボードがあれば、ちょっとした時にイラストや数式でもって研究の話ができるからです。 数人が掛けられるようなテーブルと椅子も、研究棟で余っていたものをちゃっかり拝借。 自分だけのアイデアを持ち、自ら出した実験データをもとに仲間とあーだこーだ話し合うのは研究者の特権です。そういう時間を心から楽しむような研究生活をこれからも送りたいものです。 せっかく設

      • 言語に隠された文化と心

        一時帰国の折 ヘルシンキから東京に向かう機内にて 着陸後にフィンランド語、英語とアナウンスが続き、最後に日本語が。 「当機をお降りになった後も、目的地までどうかお気を付けていってらっしゃいませ」 日本語にだけ、この一言が添えられていました。 自分たちの言語にだけ、敬語で。 ほっと安心する心のこもった気遣い。 これだよこれ。 身に染みるなあ、帰ってきたなあ。 日本語ってなんて良い言語なんだ。 言語の本質は、それらに反映された独自の文化や精神性ではないでしょうか?

        • 南イタリアにあるリノベ歴2500年の大聖堂がすごかった

          先日、南イタリアへの出張がてらシチリア島の古都シラクサを観光しました。 イタリア半島のつま先に隣接する島、シチリア島。今回訪れたシラクサはこの島の中でも特に古い歴史を持ち、その起源はなんと紀元前734年。 2700年の歴史の中で、数々の文明の交差点を担ってきたシラクサ。 歴史というのは時に残酷で、支配勢力の交代はしばしば破壊や略奪を意味します。このような歴史の喪失は、古今東西を問わず普遍的な現象です。 ですが、、、 なんとシラクサの大聖堂は2500年前に建造された古

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        • Mattiのこだわり旅行記
          4本
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        記事

          2024年10月 ふりかえり

          徐々に日が短くなり 気づいたらサマータイムが終わり 冬に向けてまっしぐらなフィンランドです。 今月は出張だらけで、気づいたら紅葉が終わっていました。そのためか去年よりも秋のスピード感がありました。 それでは今月のふりかえりです。 メンタル的に良い仕事量を知る精神的に安定する最適な仕事量について。 現在の研究環境的に、思いついた実験をぱっとやるのは中々難しいことがあります。日本では狂ったように実験ができたので、実験量が少ない日々が続くとかなり調子が狂います。 実験量と

          2024年10月 ふりかえり

          国際線の遅延と乗り継ぎ失敗から得た教訓🇩🇪

          先日の出張の帰り道、フライトの遅延により乗り継ぎができませんでした。 本当はドイツのフランクフルト経由でその日のうちにヘルシンキに帰ってくるはずでした。 ただ悪天候による大幅な遅延により、フランクフルトに着いたのはヘルシンキ行きのフライト搭乗終了時刻…。 あー終わったーーーー そう思いつつも一縷の望みにかけてターミナル内を猛烈ダッシュするも願い叶わず。 カウンターには係員すらおらず、虚しくも乗るはずだった機体が滑走路に向かうのをただただ呆然と見るほかありませんでした

          国際線の遅延と乗り継ぎ失敗から得た教訓🇩🇪

          シチリア旅行記② 古代史オタクによる街歩きツアー後編

          先日、出張で南イタリアに行ってきました。仕事の日程を消化した後、シチリア島を2日間観光してきました。 今回はシチリア第ニの都市、カターニアでの思い出を綴ります。 前回分も読んでくださると嬉しいです。 旅先で知り合った方に古代遺跡巡りに付き合ってもらった思い出を書いています。 2世紀頃の古代ローマ時代の面影を辿れるカターニアの街並み。 古代ローマ都市はいくつかのテンプレがあるために、例え埋もれていたとしても発掘調査の知見をもとに机上で街並みを再現できることを前編で指摘し

          シチリア旅行記② 古代史オタクによる街歩きツアー後編

          シチリア旅行記① 古代史オタクによる街歩きツアー前編

          先日、出張で南イタリアに行ってきました。仕事の日程を消化した後、シチリア島を2日間観光してきました。 今回はシチリア第ニの都市、カターニアでの思い出を綴ります。 テーマ: 古代ローマ時代の街並みを辿るシチリア島はイタリア半島のつま先のお隣にあり、地中海の真ん中に位置します。地理的要因から、紀元前からフェニキア文明、古代ギリシャ文明、古代ローマ文明という一大文明の狭間で激動の歴史を歩んできた土地であり、歴史好きにはたまらない場所です。 ローマ帝国崩壊後も、ノルマン人やムス

          シチリア旅行記① 古代史オタクによる街歩きツアー前編

          差別・偏見の境界を分けるものは何か。海外での実体験をもとに考えること。

          フィンランドで研究者として働いているMattiです。 最近、ヨーロッパ出身のある方から人種差別とも取れるようなことを言われました。 センシティブな内容であると同時に興味深いとも思い、考えを記録・公開することにしました。 この記事では ・自分の身におきた人種差別的経験 ・発言を受けて感じたこと ・偏見/差別が何から生じるのか ・そして何がどうなったら差別になるのか これらについて内省録的に書いています。 どなたにも起こりうることかもしれませんが、当事者にとってはこころの

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          差別・偏見の境界を分けるものは何か。海外での実体験をもとに考えること。

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          ヨーロッパで考える「限られた時間」の使い方

          僕は日本で博士号を取得し、フィンランドで研究者として働いています。 日本とヨーロッパの研究者に共通すること。それは、並々ならぬ情熱を研究にそそぐ才能を持っていることです。 一方で「限られた時間」の使い方に対する考え方は大きく異なるなと感じています。 個人的経験かつ研究職という条件付きではありますが、今回はヨーロッパと日本の「限られた時間」に対する考え方と仕事へのアプローチについて書こうと思います。 時間をうまく使いたい「時間」、それは平等に与えられた有限な資源です。

          ヨーロッパで考える「限られた時間」の使い方

          元気が出るのはいつもちょっとした一言から

          僕はフィンランドで現地就職し、研究者として働いています。 背中を押してくれる言葉って案外ちょっとした一言だったりするものです。 今回は仲間がいつもかけてくれる一言の中から、特に元気をもらっているものを紹介します。 You are amazing!ミーティングで印象的なプレゼンをした時 提案したアイデアがうけた時 You are amazing! That's super cool! みんな必ずこの一言をかけてくれます。シンプルに嬉しくなります。 また、落ち込んでい

          元気が出るのはいつもちょっとした一言から

          2024年9月 ふりかえり

          今月を振り返ります。 去年の今頃、朝晩は息が白くなるほど冷え込んでいましたが、今年はまだ最低気温が10度を超える日が多いです。 それでも1日あたり5分ずつ日が短くなっており、着実に冬が近づいているのを感じます。 それでは、2024年9月のふりかえりスタート! ポジティブが与える影響力はすごい今月は研究室での進捗報告会がありました。 ポジティブな気持ちを維持し、人を巻き込み仕事をする大切さを実感したので書き留めます。 僕の研究室では週に1回の全体ミーティングがあり、

          2024年9月 ふりかえり

          ヘルシンキの老舗"豚小屋"レストランに、親しみを込めて

          先日、日本にいた頃からお世話になっている知人たちと、何の巡りあわせかヘルシンキで集まる機会がありました。 これまで観光地のことは書いてきませんでした。 良い機会ですので、たまにはガイドブックにも掲載される有名レストランを紹介します。 ただし、フィンランド在住者として、そしてこの国を愛する一人の人間として。 レストラン Sea Horse伺ったのはレストラン「Sea Horse」。かなり有名なお店で、日本人観光客もたくさん訪れる場所です。 後ほど詳しく書きますが、フィ

          ヘルシンキの老舗"豚小屋"レストランに、親しみを込めて

          パンケーキ、カモノハシ、プラトンは元々同じ単語

          フィンランドで研究者として働いているMattiと言います。 パンケーキはお好きですか? 北欧では、薄くてもちっとしたパンケーキが老若男女を問わず愛されています。 今回は、そのレシピを紹介するとともに、パンケーキの名前の秘密を探っていきます。 もちもちパンケーキの正体日本と北欧のパンケーキの大きな違い。 それは、ベーキングパウダーを使わないことです。生地が膨らまないので、弾力がある食感になります。 バターの風味が効いた生地に、クリームやアイスクリーム、そしてジャムをか

          ¥0〜
          割引あり

          パンケーキ、カモノハシ、プラトンは元々同じ単語

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          フィンランドの職場で体験 -ゆるり対話の時間-

          僕は日本で博士号を取り、 今はフィンランドの研究機関で働いています。 この夏一番の思い出は、サマーコテージでの研究室旅行です。 研究室の仲間と心地よい時間を過ごしました。 前回の投稿ではサマーコテージでのドタバタと自然の中でのアクティビティーを紹介しました。ぜひご覧ください。 コテージには遊び100%でいったわけではなく、職場に関して気になることを話し合うのも大きな目的でした。 今回は、湖畔で行ったミーティングの様子を投稿します。 話し合いをしたロケーション、議論の

          フィンランドの職場で体験 -ゆるり対話の時間-

          湖畔のサマーコテージ、何もない幸せを噛みしめ仲間と語らう🇫🇮

          僕はフィンランドで研究者として働いています。 この夏一番のラボのみんなとの思い出 8月の研究室旅行をふり返ります。 所属している研究室では 夏に教授のサマーコテージで研究室旅行を開催します。 フィンランドではサマーコテージはとても身近な存在です。人里から離れた森の中、湖畔にある別荘的なものです。フィンランドには数えきれないほどサマーコテージがあります。 家族代々受け継がれてきた場所で、喧騒から距離をおいてひと夏を過ごす。これがフィンランド人にとって慣れ親しんだ夏の過ご

          湖畔のサマーコテージ、何もない幸せを噛みしめ仲間と語らう🇫🇮