ホワイトボードと研究者の特権
フィンランドで生物学を研究しているMattiです。
最近、研究室のオフィスにホワイトボードを置いてもらいました。
ホワイトボードがあれば、ちょっとした時にイラストや数式でもって研究の話ができるからです。
数人が掛けられるようなテーブルと椅子も、研究棟で余っていたものをちゃっかり拝借。
自分だけのアイデアを持ち、自ら出した実験データをもとに仲間とあーだこーだ話し合うのは研究者の特権です。そういう時間を心から楽しむような研究生活をこれからも送りたいものです。
せっかく設置したホワイトボードなので、何か標語のような言葉を書いておこうという話になりました (ヨーロッパの人ってかっこいいキャッチコピーをやたら好む気がします)。
みんなで選んだ言葉は、皆さんも一回は聞いたことがあるであろう近代哲学の祖デカルトのフレーズでした。
「我思う、故に我あり」
元々はラテン語で書かれた句です。
「Cogito, ergo sum」
実はこの句は後世に補足されています。
「Dubito, ergo cogito, ergo sum.」
「我疑う、故に我思う、故に我在り」
研究は新たな知を創り出し、常識をアップデートする営みです。通念や目の前のデータに批判的な姿勢がとても重要です。
彼が行った「方法論的懐疑」という手法は現代のすべての科学研究に通ずる基本的な指針です。
ホワイトボードを囲んで良いサイエンスができるようにとの想いを込めて、この句を提案し書いておきました。
自分はまだペーペーの研究者ですし、科学研究への貢献などという大げさな事は考えていません。
それでも一人の研究者として、まずは当たり前を疑うところから、研究者の特権を味わう毎日を送りたいと思います。