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お洋服を味方につけよ。

服が好きだ。なぜなら、ファッションは一番華やかで一番平和的な自己主張の形だと思うから。

ファッションは自己主張といったって、自分が着ている服を見た人がどう思うかは自由。ファッションは言葉による自己主張とは違って、自分の発信するファッションが りんご=赤い果物 のように、受け手にそのままイコールで理解されるわけではない。

なんかカッコいい。なんかそそられる。受け手にそう思ってもらえれば十分だ。

ファッションは、見る側(相手)と見られる側(自分)で、話が通じた、通じないではない。相手の心の中になにかしらの気持ちを生じさせた、かすかでもいい、自分を記憶に残した。そんな軽やかな情緒をもたらすものがファッション。

ネガティブな気分の時、おしゃれをしたら気持ちが軽くなるのはこれで説明がつく。これから他者に情緒を与えられるかもしれない、という"予感"めいたものが心を浮き立たせるのだ。

そしてファッションは見る人に主張を押し付けない。それがいい。誰だって押し付けられるのはイヤだ。

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服のいいところはまだある。

全身で自分を表現できるところだ。俳優でも画家でもない私たちが毎日全身で自分を表現できる手立て、それがファッションだ。

ここらで、我々の体は洋服という名の色彩をのせるcanvasだ、とカッコいいことを言いたくなるが、実はそれはちょっと違う。
canvasというのは大概白く、我を殺すことでcanvasたりえている。canvasは、自身の上で繰り広げられるアートを静かに見守っている。

一方で人間であるわたしたちは、我を殺すなど、敵から身を隠すとき以外は言語道断である。
自分を解放してこそ、ファッションは本来の力を発揮するのだ。

自分の心を解き放つことができれば、本人は無言であっても、ファッションが他者に "わたしはこういう人間だ" と表明し、"自分は尊重されるに値する存在だ" と示す。ファッションにはそういう力がある。

服があなたの魅力を引き出す、とは打って変わって、解放されたあなたによって服が息を吹き込まれるとでも言おうか。

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あなたも一度は経験があるだろうが、自分にしっくりこない服を着た時に、服に着られているように見えることがある。
服に「着られている」ように見えるには理由がある。装い手が、服に息吹を与えられていないのだ。
服が自分の魅力を引き出すのももちろんあると思うが、今回は、装い手が服のパワーを引き出すことについて注目したい。

服は、それを装う人の人間性が介入してこそ、力を発揮するものだと思っている。装い手の人間性が入ると、服は裸を覆うだけの機能製品から、装い手の意志を受け継ぐ作品(=ファッション)へと昇華する。
これが今回におけるファッションの定義だ。

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だからわたしは、自分にこう言い聞かせたい。
服を着せられたマネキンになるな。
服に過剰な期待を抱くな。服は万能薬じゃない。ファッションの効能は自分次第。
ファッションセンスを磨く前に人間性を磨け。
余計な自意識を振り払え。
コーディネートの失敗を恐れるな。
失敗しないなんて無理だということを受け入れろ。
装いにクリエイティビティを惜しみなく使え。
自分に似合う服の限界を自分で作るな。
ファッションがあれば性も国籍も時代も超えられる。
同じファッションに飽きたら自分のクリエイティビティ不足を疑え。
ブランドを身につけて満足するな、着こなしてから満足しろ。

服に息を吹き込むことができたならば、ファッションは自分の代弁者となってくれる。
そして自分をエンパワーしてくれるのだ。
あなたが持っている悩みの一助に、ファッションはなってくれるかもしれない。

ここでわたしが今まで、ファッションで自分をエンパワーしてきた具体的な例を紹介しよう。以下は、わたしが自身にかけてきたの心の声だと解釈してもらえればと思う。

強く出れなくても、弱気にだけはなるな。インパクトのあるプリントTを味方につけて、こうべを上げて吠えたてよ。
不満ばかりの毎日ならば、70年代のスカートを履いて、時代を飛び越え現実逃避すればいい。
声が通らないなら、声に頼るな。お気に入りのファッションに身を包み、全身で迫力を出せ。自分の勝てない分野では戦わない潔さを。
流行遅れを気にするくらいなら、メディアの作るトレンドに乗るな、トレンドを作れ。自分がメディアになれ。
お色気に頼るな、色気は「お」が付くようなしとやかなもんじゃない。やるなら堂々と色気づけ。自分が惹きつけたい人に照準を合わせよ。
恋はファッションをパワーアップさせるガソリンに、
虚しさはワードローブいっぱいの服で埋め合わせ、
悲しみは子供じみたポップな色を着る言い訳に。
雨の日でも、心にまで雨を降らせる必要はない。鮮やかカラーのワンピースで、自らが灰色の景色のアクセントになればいい。

ほんの一例だが、ファッションが装い手を勇気づけるシーンをお見せできたと思う。
ここまで読んでくれた方は、ファッションを自分の味方につけることに意味を見出せただろうか。
そうだとしたら、次はあなたがファッションに後押ししてもらう番だ。


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lipika |ライター
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