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【短歌】 名作古典の引用



こんにちは🌞まりもです。


先日、
初心者向けの短歌の作り方の本を詠んでいたら、
おもしろい箇所がありました。

「有名なフレーズを使って世界観も引用しよう」

というアドバイスです。

有名なフレーズを引用すると、
その人のイメージや時代背景、意味など、
関連する多くの情報も併せて伝えることができるというのです。

それならさっそく!ということで、
わたしもあの有名な名作古典から一文を引用させて頂き、
短歌を詠んでみました。

“行く河の流れは絶えず…” 葦原に立つ人の影縮んで伸びて

(ゆくかわのながれはたえず… あしはらに たつひとのかげ ちぢんでのびて)


おそらく
日本人はどこかで必ず聞いているであろう、
中学生のときに暗記させられたであろう、あれです。

「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。」

鴨長明さんの「方丈記」の冒頭部分を
引用させて頂きました。

河辺の、葦原に立って
無常観を悟る長明さんを気取ってみたよ、っていう短歌です。

影は時間によってその長さが変わるので、
刻々と進む時間と、それに伴い変化しないものはない
ということを表現してみました。

あと、河辺なので葦原という言葉を入れましたが、

「古事記」では、神代の日本(地上界)を

「葦原中国」(あしはらのなかつくに)

と呼んでいたことから、

短歌に入れた「葦原に立つ人」は
わたしだけでなく「日本の全ての国民」
という意味を含めてみました。
(かなり分かりづらいですが…笑)


ちなみに、
地上界に対して
天上界のことは「高天原」(たかまのはら)と
呼んだようです。
太陽の神様である天照大御神などがいらっしゃるところですね。

神代から人代へ、
古代から中世、近代、現代と
時間はただただ前へ進みます。

全ては変化していくからこそ、
生ある今を大切にしたいと思いました。
もう死にたいなんて今は思わなくなりましたし…

平安時代末期、20代だった長明さんは
立て続けに大火災、飢饉、竜巻、大地震を経験します。

そして無常を悟ったのでしょうか。
下鴨神社という名家出身でありながら、
跡を継ぐことを辞退し、
山里に小さな庵を構えて暮らします。



***


今回はのわたしの短歌のテーマは、
有名フレーズの引用でした。

実は鴨長明さんもこの方丈記の中で、
ある万葉歌人の歌を少し形を変えて引用しています。

その万葉歌人とは、
沙弥満誓(さみまんぜい)というお方です!

……誰????
という声が聞こえてきそうですが…笑

長明さんの生きた時代から500年ほど前に遡った、
奈良時代の万葉歌人です。

この沙弥満誓さん、
太宰府(今の福岡県)で
筑紫歌壇という文学サロンのメンバーでした📚

筑紫歌壇は
都から遠く離れた地で結成されましたが、
沢山の作品を作り300首余が万葉集に載っています。

筑紫歌壇のメンバーは
大伴旅人(万葉集を編纂した大伴家持のお父さん)を中心に、山上憶良小野老(おののおゆ)など著名な人たちがいました。
大伴坂上郎女(さかのうえのいらつめ)という、
女性もいたそうですよ👘✨

ちなみに、
新元号の令和の出典元となった「梅花の宴」も、この筑紫歌壇で読まれています。

こんなにすごい歌人たちが
都から離れた所なのに、
何故か太宰府に集結していたんですね😲


もしかして、
福岡出身の歌手とか有名人が多いのって
この頃からの名残なんでしょうか???
以前から、多いなあとは思っていたんですが…
時代を超えたロマンを感じてワクワクです✨


すみません。
話がかなり逸れてしまいました…。笑
気を抜くといつも万葉集に引っ張られてしまいます。

もう少しだけ、お付き合い下さい。


沙弥満誓さんの歌に、以下のものがあります。

世間を 何に譬へむ 朝開き 漕ぎ去にし船の 跡なきごとし

(よのなかを なににたとえん あさびらき こぎいにしふねの あとなきごとし)
万葉集三五一 沙弥満誓

現代語訳 : 世の中を何に譬えようか。港に泊まっていた船が夜明けに漕ぎさってしまったあとにはその痕跡さえ残らない、人生もそんなものだろうか。


満誓さんは仏門に入って剃髪もしているけど、奥さんや子どもがいたそうです。

この和歌も、
仏教を学んでいる人らしく
「無常観」の香りが漂っていますね。

つまりそれは、
方丈記のテーマと同じです。
長明さんが彼に魅かれたのもよく分かります。


方丈記の中には
満誓さんの歌を(少し形を変えて)引用したあと、

「満沙弥が風情を盗み…」 (訳: 沙弥満誓の風流をまねて…)

という文章がみられ、
とっても憧れてたんだろうなあと思われます。

***

一つのことを語るのにどれだけ寄り道してるんだっていう文章になってしまいました。
読んで下さってる方々、毎回毎回すみません。


それはそうと、(また寄り道!)

2年半前に友人と京都旅行で下鴨神社にいきました。

長明さんが住んでいたという方丈庵(復元)があり、
とっても感動したのを覚えています。

彼はこの庵で琵琶を弾いたり、和歌をよんだりしていたんだなあ、と思うとしばし長明さんの生きた時代にタイムスリップしたような気分になりました。

有名な場所なので、
行ったことがある方は多いかもしれませんね。
もう一度みにいきたいなあ。


長くなりましたが、
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました♪
よろしければまた覗きにきて下さいね✨

それでは!


22/11/05   まりも

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