「心因性嘔吐症(神経性嘔吐症)」とは何か? 「心因性嘔吐症」の治し方
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、心因性嘔吐(しんいんせいおうと)についてお話したいと思います。心因性嘔吐(神経性嘔吐)とは、嘔吐の原因となる明らかな異常がなく、心理および社会的なストレスが原因で嘔吐することを言います。
私(竹内成彦)も極度に緊張すると、「オエッ」となったりしますが、心因性嘔吐は、比較的、子どもに多い心の病です。
心因性嘔吐は、不安や緊張を伴う場面で発生することが多いのですが、本人的には心理的ストレスを自覚していない場合がよく見受けられます。
また、車の中で嘔吐してから、車を見ただけで嘔吐するようになるなど、特定の場所や時間に症状が出現する「条件付け」が関係している場合もあります。
続いて、嘔吐する原因ですが、
嘔吐は、脳の奥深く、延髄にある嘔吐中枢への刺激によって発生します。大脳に伝わった、心理社会的なストレスを上手く処理できないと、不快な感情が誘因となって嘔吐中枢を刺激します。
子どもの中枢神経系は未成熟なので、様々な刺激によって影響を受け、身体症状が発生しやすいと言われており、嘔吐もその一つです。
心因性嘔吐には、「気持ち悪い」「ムカムカする」といったものが主で、実際には嘔吐しないもの、繰り返し嘔吐するもの、食後など決まった時に習慣的に嘔吐するものなど、様々なタイプがあります。
一般には、数日から数ヶ月持続しますが、不安や緊張を伴う場面から離れると、自然に改善することが多いです。
学校に行くことに心理的ストレスを感じている子どもが、不登校気味の子が、毎朝登校前に嘔吐するという事例は比較的多いです。そんな子どもは、土日は嘔吐することなどなく、元気に過ごすことが多いです。これが心因性嘔吐の代表的な例です。
また、心因性嘔吐は、腹痛や便通異常など他の身体症状は少なく、体重の減少や成長障害が発生することも稀です。それが特徴です。
心因性嘔吐は、診察、血液・尿・便の検査、頭部画像検査や腹部エコー検査などを行い、嘔吐の原因となる他の病気がないかを確認し、さらに、症状の発現に心理社会的なストレスが関連している場合に、心因性嘔吐(神経症嘔吐症)と診断されます。
嘔吐の原因となる病気はたくさんあり、慢性の嘔吐や繰り返し嘔吐を認める場合は、「消化器疾患ではないか?」「内分泌・代謝異常ではないか?」「神経系疾患ではないか?」「接食障害などの精神疾患ではないか?」など、注意する必要があります。
心因性嘔吐は、実際には吐かないことも多いのですが、嘔吐がたびたび繰り返されると、胃酸のために食道粘膜が障害されたり虫歯が増えたりするので注意が必要です。
また、嘔吐を怖れて食事が食べられなくなり摂食障害へ進行する場合や、人前で吐くことを心配して嘔吐恐怖症になる場合もあるので、これまた注意が必要です。今言った、嘔吐恐怖症については、また次の機会に詳しくお話したいと思います。
心因性嘔吐症は、子どもに多い心の病です。
大人になるにつれ改善されることが多いです。
安心感を持つ。安心感を持たせる。ストレスをなくす。ストレスを上手に処理する。というようなことをやっていけば。心因性嘔吐は自然に治っていきます。
症状が激しい場合は、心療内科に行って、お医者さんに相談すると良いでしょう。また、カウンセリングに通うなどして、将来、嘔吐恐怖症にならないよう気をつけることも重要です。
では、今日のまとめです。
心因性嘔吐症は、
①ストレスそのものをなくす。
②ストレス対処能力を向上させる。
③ストレス解消に励む。
ということをやっていけば、自然に治っていきます。
周囲の人が、必要以上に心配すると、本人がさらに緊張を高める結果になってしまうので、あまり深刻にならないようにすることも大切です。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋