雑感記録(268)
【PVごっこの話】
些か唐突な話だが、僕は自己肯定感が高い。
今日、僕は明日から始まるイベントの設営準備の為に会場に行った。それで様々に準備をして(と言っても僕は全く以て大したことはしていない)帰った。帰り途中、先輩のうちの1人が「タバコ、吸いに行きませんか?」と声を掛けて下さった。それで先輩と喫煙所でタバコを蒸かした。
喫煙所というのは本当に不思議な空間で、普段あまり話さない人と少しだけれども込み入った話が出来る空間だ。その先輩はいつも声を掛けてくれる訳だが、しかし僕は毎回毎回緊張してしまい冷たい態度…というかそっけない態度を取ってしまう。如何せん、美しい女性にはどうも緊張してしまうものである。だが、不思議と喫煙所だとどことなく話しやすくなる。
それでタバコを蒸かしながら色々と話をした。
とは言え、精々話す時間はタバコの寿命と同じで5分程である。「いつも休日何してるんですか?」と聞かれて、僕は普段通りに「本読んだり、映画見たり…あと散歩してますね」と言った。「それ、愉しいんですか?」と聞き返された。そこで何となくだけれども、自分の中で愉しいのだけれども、改めて「何で愉しいのか」ということをふと考えてしまったのである。
それで僕はかつて散歩について書いたことを思い出した。
この記録では偉そうに「自己との対話」ということを偉そうに書いている訳だが、その実、違う様な気がしてきている。それは前回の記録で書いたが社長さんとの会話の中で気づいたことである。
その時に僕が言ったのはこうだ。「僕は音楽を聞きながら散歩するのが好きで、流れて来る曲に合わせて1人でPVごっこをするのが大好きなんですよね。」と。その時に僕は気づいてしまった。そうか、僕は僕が好きなんだなと。厳密に言えばこうだ。「カッコつけている自分に酔っている自分が好き」ということなのである。
僕はお酒を飲むことが好きだ。それはその飲み会の場が好きという訳では決してない。何なら飲み会の場は嫌いだ。ワイワイ人と飲むのはあまり好きではない。こじんまりと少人数で飲むのが好きだ。何なら好きな人としか飲みに行きたくないのである。結局のところ、僕はお酒を1人で飲むのが何だかんだで1番好きな訳だ。それは簡単な話で「お酒に酔っている自分に酔っているのが好き」なのである。
もう1度言おう。僕は僕が好きである。カッコつけている自分が好き。
それで自分がカッコつけられること、それも誰にも迷惑を掛けず、自分自身に酔えること。それが僕にとっては音楽を大音量で流しながら、その音楽に合わせて僕が主人公になった気でPVの如く街中を歩く。散歩である。つまり僕は毎週、所謂「PVごっこ」をしながら街中を歩くのが好きである。自分でここまで書いていて些か恥ずかしい訳だが…。
だが、自分で偉そうに言えた訳ではないが、こういう経験というか自分に酔うということは大切なことであると思う。自己陶酔とでも言えば良いのだろうか。これは肝心であると思う。
最近という括りで纏めることが出来るのかは分からないが、自己肯定感が低い人が多いような気がする。何か苦しいことがあったら「俺なんて」「私なんて」と落ち込む人が居る。と書いたが、これは至極当たり前なことであって僕だってそうなる。寧ろそう思えること自体が素晴らしいことだと僕は思う訳だけれども、だがそこから這い上がれるための手段は必要だ。もっと平板化して言えば、「自分の機嫌は自分で取る方法」ぐらいは持っておく方が良いということだ。それが僕にとっての「PVごっこ」なのである。
わりとこれはオススメしたい。
GW中、僕は夜に地元の街を散歩して「PVごっこ」をした。田我流の中で1番好きな曲である『センチメンタル・ジャーニー』を聞きながら商店街を闊歩していた。
偶然にも、このPVのロケ地の一部が僕の育った街が映っていたこともあり、そこを夜に訪れてみようと思った訳だ。カッコつけて歩く。聞いている時は僕しかいないので、ある意味で僕が主人公な訳だ。それでカッコつけて街中を歩く。だが、僕以外の人は僕になぞ関心は1ミリもないのだから関係ないし、すれ違っても「ただ音楽聞いている人が歩いている」という印象しか持たれない。誰を不愉快にするでもなく、自分だけが満足することが出来る。
ここ最近のお気に入りはSUPER BUTTER DOGの『明日へゆけ』と『サヨナラCOLOR』を交互に聞きながらカッコつけて夜の街を散歩することである。別に別れたでも何でもないけれども、それを勝手に演じて悦に浸る。冷静に考えて気持ち悪いことこの上ない訳だが、しかし、再三に渡って書くが「誰にも迷惑を掛けていない」のである。
今日も先輩とタバコを蒸かした後、僕はこの曲を聞きながら帰宅する。
はてさて、何の話を書きたかったのかよく分からないが、とにかく「PVごっこ」はオススメだ。自己肯定感を爆上げする。この良いところはとにかく誰にも迷惑を掛けないところだ。全てが自己完結する。「カッコつけている自分に陶酔する」というのは「自惚れ」でもある訳だが、しかし自惚れたっていいだろう。
それで自分の生活の平穏と愉しさが担保されるのならば。
トコトン馬鹿になれ。トコトン堕ちて行け。
よしなに。