2023.12月(5冊ログ)
毎月、読んだ本から「5冊」紹介しています。
1. #私を整えるごはん
『食事作りは応援エネルギー』と本書にあるとおり、誰かに対しても自分に対しても、ごはんを作ることは応援エネルギーであるということ。もし自分自身にごはんを作る役割があるとしたら、それはあたたかい自分だからできること。
仕事が終わり、キッチンに立ったら消化試合スタート!というスピード重視の食事作りに疲れているなら、この本を読むことで視点が変わるかもしれない。私自身がそうだったので。
キッチンに立ったらまず深呼吸、口角を上げて、姿勢を正す、料理をスタート。作業に集中すれば瞑想に近い状態となる。
感覚と心地よさで料理をすること、臨機応変を楽しみ、犠牲感がなくなる手料理の紹介もある。本当に何もできないときは、おにぎりを握るだけでいい。手のひらを使った料理が自分への癒しになる。手のひらで包み込むようにやさしく握るだけ。急におにぎりが食べたくなったなぁ。
2. #イヤシノウタ
吉本ばななさんならでは。なんていうことのない日々に宿る奇跡を、かけがえのない記憶とする綴りが人のこころを癒していく。
私が吉本ばななさんのエッセイを好きな理由がこの本で明確になった。曇り空の下にいる感覚が心地よく、書くこと話すことに価値観の交換があるからだ。光り輝く青空の下にひっぱり出されることもなく、共感だけでは弱く、ただそこに存在価値がいつだって誰かにだってあることを教えてくれる。
父・吉本隆明さんとの対談「書くことと生きることは同じじゃないか」は、私が理想とする会話の展開だった。近況や日々の生活、過去の記憶、それはその時何を想ったかが中心にある。それがない会話はゴシップに思えるほど。
男女、夫婦、子育て、お金、家族、育った環境。どれにおいても「自慢しろって言われればいつでもできるんだぞ。」くらいに自分が思っていれば、それでいいのだと。事実である必要すらない。誰のものさしでもなく、自分がそういうテーマを持っているだけで、生き続けるための自信をくれるんだと。
3.#女と男の品格
伊集院静さんが相談に回答する本。『よく食べる女性はイイ女なんです』という一文を読んだ瞬間、もうこれだけでこの本の価値はすばらしい!と声が出た。生きる活力がたっぷり詰まっている。
『わからないものに不安を抱くことほど愚かなことはない。』『つまらんこと考えてないで、今晩も思い切り飲みなさい。』なんてのを読んだ時にはこれを書初めにしようかと思ったくらい。
歳を重ねていいことは、「そんなこともある。」「そんな人はゴマンといる。」「さっさと忘れなさい」と言ってあげられることだと思えた。かっこいい、ひたすらにかっこいい。この本に寄せられた質問は、相談という名の「誰にも言えない、こんな自分を許して欲しい」が多かった。
4. #小さないじわるを消すだけで
大きな平和の手前に、まずは自分ができることを。自分のなかにある嫉妬や、興味のなさや、コスパやタイパを考えた、ほんの些細な反応は、目の前の相手の平和を崩し、それが自分のこころも蝕んでいく。
自分の存在価値が不安で、つい自分を嫌いになりそうな時は、もう記憶にはないほどの過去の嫉妬や、誰かにかすり傷を負わせてしまったことが押し寄せてきているのかもしれない。
ただ、ひとにやさしく。ただ、わざと嫌なことをしないこと。
それだけで、今までの自分を信頼できることの積み重ねで自分の中にある平和が自分を救ってくれる。きっと安全を感じてぐっすり眠れたりする。
5.#40歳がくる!
こじらせ女子の教祖、と私が想う人、雨宮まみさん。事実、『こじらせ女子』を新語、流行語にした作家である。命がけでこじらせ、こじらせを生業とし、官能の世界も見事に魅せるライターだった。
ずっと死について考えて、その前提で毎日をどう生きてきたのか。雨宮まみさんが40歳を迎えた7年前のクライマックスは、作品のあとがきになったように思う。
こじらせればこじらせるほど、こじらせ満期になって溢れ出す自伝的エッセイは、まさに文豪。そしてまた何度も何度も書くためにこの世に戻ってくるはず。そして今は生き続ける作品がまだまだ羽ばたくに違いない。
おわり。
今月も、今年も読んでくださってありがとうございました。来月も、来年も書きますので良かったら遊びに来てください。