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ロンドンでの映画体験を供養する

加速せよ、さもなければ減速せよと現代文明は言う。おぉ、それら幽霊たちよ、どうか私たちの歩みを止めることなかれ。

そしてまたOnce Againを歌い出す

約49日間のサマーが終わり、オータム[Autumn]になるのかフォール[Fall]になるのか分からない秋が訪れいる。もう、ウィンターに突入しているのかもしれない、私1人だけを取り残して。
北欧旅行から帰ってきてすぐに新学期が始まり、大量の課題図書をこなしながら新しいリズムを獲得しようと努力していたら、結構時間がかかってしまっていた。そして気がつけば、10年以上定期的に書き続けてきた地元の雑誌のコラムの締切をしっかり忘れていて、ギリギリ間に合わずに少しだけ迷惑をかけてしまった。
小さなプライド[うぬぼれ]がもうこれ以上傷つかないように「締切はもちろん覚えていたんだけど、今回はいつも以上に熱量を込めて書いていたから遅れてしまった」というテイにしたかったので、割とネジを外した隠し事の多い文章を書いてしまっていた。そしたら編集者から「編集部で話し合った結果、いくつか文章の意図についての説明が欲しい」と言われた。ほとんど初めてのケースだったので驚いた。たまには腹落ちしていない、つまり身体性をまだ獲得できてない言葉で文章を書いてみるのもアリかも、と思った。
そんなこんなでこのザマである。ここNoteでは、また1ヶ月以上も記事を更新せずに放置してしまっていた。Noteの執筆ペースが掴めてきていたと思ったのだが、また一から書く習慣を身につけ始めていくしかない。ここが元・落ちこぼれグローバル人材たる所以である。判断力がマルチタスクをこなす類推[アナロジー]はシンギュラリティーの夢をもう一度見るか?


ロンドンの映画事情について私が知っている2、3の事柄

(漢数字はアラビア数字に置き換えてって言ったはずでしょ!)
もうロンドンにきて1年が経ったのか。こないだ映画館の「年パス」の更新(£150、なので約2万9,610円)をしてきた時にふと思った。約3万円で1年間映画館で映画を観放題なので本当に重宝している。通常、大人料金は安くても2,860円(£14.49)ぐらいするので、月に1回ペースで映画館に行く人なら「年パス」購入をオススメしたい。ちなみにその映画館のアプリによると私は1年間で74回この「年パス」で映画を観たっぽいので、1チケットあたり400円を切った計算だ。うーん、かなり得した気分だ。

〇〇周年記念上映

新作はもちろんのこと、〇〇周年記念上映みたいな回があったり、映画シリーズ連続公演の回があったりするのも地味に嬉しい。ここでも書いたが、50周年記念上映で『悪魔のいけにえ』が観れたのはよかったし、20周年記念上映での『ショーン・オブ・ザ・デッド』もよかった。一部の観客は大体のセリフを覚えているようで、盛り上がってくると映画と一緒になってセリフを叫んでいた。あー、ロンドンで、私がロンドンをロンドンとして初めて認識した映画を、そのロンドンで見れているーと思えて、なんだか感動した。

こちらもあとで書くつもりでいるのだが、『となりのトトロ』の再公開もあった。特に、メイとさつきとお父さんが3人でお風呂に入っているシーンで、一部の観客が悲鳴を上げているのが印象に残っている。そうだよね、2024年のイギリスだとアウトだよね、って思いながら。エンドロールでお母さんと3人で入っているシーンをようやく見れてその観客たちも安堵したのかもしれない。それに、1番遠いように見えるが、『悪魔のいけにえ』と『となりのトトロ』は共通点がいくつかあることが見えてきたのもよかった。

あとは、『パルプ・フィクション』も30周年記念上映をやっていた。あれって、何度見ても時系列がわかんなくなる。「あれ、円環になってるんだっけ、これ?」とか一瞬思ってしまう。学生の頃見た時はヘロインとコカイン間違ってオーバードースするミアのヤバさに感情移入してたけど、落ちこぼれグローバル人材を挟むと、ヴィンセントに感情移入してしまうなー、やっぱり。だってあれ、出張中か何かで相手ができない「社長」に代わってご家族を接待している時に、最悪の粗相をしてしまうって話だものね。マジで殺されてたと思うわー、あの売人とアドレナリン注射がなかったら。あ、でも、ヴィンセントって結局殺されたのか、最後。人ん家のトイレでくつろいでたりするから。。。

いやぁ、映画館で観る名作映画って本当にいいもんですね。

映画シリーズ連続公演

あと、映画シリーズ連続公演(イギリスだとSeasonって使う、'Spidey Season'、'Star Wars Season'とかって感じで。)の回は、『スパイダーマン』シリーズでは、サム・ライミ版とマーク・ウェブ版だけ参加し、ジョン・ワッツ版は遠慮させてもらった。やっぱり『スパイダーマン』はサム・ライミ版が1番好き。キルスティン・ダンストが好きだからというものもちろんある。なんなのだろうか、あの「強力な[Gewaltig]男は好き、でもそんな男からも自立していける女性はもっと好き、だからそういう女性に私はなる」的な感じ。時代や脚本に抗っている何かが、キルスティン・ダンスト演じるMJにはあったように改めて思った。
久しぶりに見てサム・ライミ版の好きな順番を見直してみたんだけど、やっぱり2−3−1かな。もちろん1は好きなんだけど、物語としては完成しているのが2で、物語として完全に壊れているのが3だから、やっぱりこういう順番になってしまう。でも1がなければ、2は物語として完成しなかったし、2の完成がなければ、3の物語の破綻は生めなかったはずであるのは事実だとも思う。

その後だったかな、たしか、スター・ウォーズシリーズ連続公演に参加したのは。今回は1日目に1-3を見て、2日目に『ローグワン』から4-6を見るというスケジュールで動いてみた。毎回変わるけど、今回は5-3-6-4-1-2って感じだった。やっぱり『5/帝国の逆襲』が突出して好きだな。最初から最後まで完璧な映画な気がする。あと意外に『3/シスの復讐』って良い作品だと今回は思った。『ローグワン』ってアンソロジー映画の中では1番好きだったけど、久しぶりに観てみたら、あれ?って感じだった。シークエル、特に『7/フォースの覚醒』鑑賞後の「え、もしかして乗れるかも!」という興奮や期待があった時だったから、ボーナスポイントが付いていたのかもしれない。

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ちなみに、以下が去年の10月から1年間でイギリスで観た映画リストです。特に注意書きがない場合は、その年イギリスで劇場公開された映画です。「(2nd)」という表記は2度目の鑑賞の意味です。

  1. Expend4bles

  2. Oppenheimer

  3. The Equalizer 3

  4. Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem

  5. Killers of the Flower Moon

  6. The Marvels

  7. Saltburn

  8. Thanksgiving

  9. Aquaman and the Lost Kingdom

  10. Wish

  11. Hunger Games: The Ballad of Songbirds & Snakes

  12. Priscilla

  13. Wonka

  14. Ferrari
    -ここまで2023年-
    -ここから2024年-

  15. Poor Things

  16. Mean Girls (2024)

  17. Texas Chainsaw Massacre (1974, 50th Anniversary)

  18. Blue Giant

  19. Argylle

  20. Poor Things (2nd)

  21. All Of Us Strangers

  22. Wicked Little Letters

  23. Perfect Days

  24. Mothers' Instinct

  25. Ghostbusters: Frozen Empire

  26. Dune: Part Two

  27. Godzilla x Kong: The New Empire

  28. Evil Does Not Exist

  29. Kingdom of the Planet of the Apes

  30. Evil Does Not Exist (2nd)

  31. Dune: Part Two (2nd)

  32. Monkey Man

  33. Civil War

  34. The Fall Guy

  35. Furiosa: A Mad Max Saga

  36. Challengers

  37. Inside Out 2

  38. A Quiet Place: Day One

  39. Fly Me to the Moon

  40. Twisters

  41. Inside Out 2 (2nd)

  42. Kinds of Kindness

  43. The Zone of Interest

  44. Deadpool & Wolverine

  45. My Neighbor Totoro (1988)

  46. Spider-Man (2002)

  47. Deadpool & Wolverine (2nd)

  48. Borderlands

  49. Trap

  50. Spider-Man (2004, 20th Anniversary)

  51. Alien: Romulus

  52. Spider-Man 3

  53. Blink Twice

  54. The Amazing Spider-Man (2012)

  55. The Amazing Spider-Man 2 (2014)

  56. Pulp Fiction (1984, 30th Anniversary)

  57. Never Let Go

  58. The Substance

  59. Shaun of the Dead (1994, 20th Anniversary)

  60. Star Wars: Episode I- The Phantom Menace (1999)

  61. Star Wars: Episode II- Attack of the Clones (2002)

  62. Star Wars: Episode III- Revenge of the Sith (2005)

  63. Rogue One: A Star Wars Story (2016)

  64. Star Wars: Episode IV- A New Hope (1977)

  65. Star Wars: Episode IV- The Empire Strikes Back (1980)

  66. Star Wars: Episode VI- Return of the Jedi (1983)

  67. The Substance (2nd)

  68. Harold and the Purple Crayon

  69. Speak No Evil

  70. Megalopolis

  71. The Outrun

  72. Beetlejuice Beetlejuice

  73. The Critic

  74. Joker: Folie à Deux

まだ日本公開されてなくて、オススメなのは太字で書いたゾーイ・クラヴィッツ監督の長編デビュー作品『ブリンク・トゥワイス(原題:Blink Twice)』(劇場公開未定だと?)とデミ・ムーア主演の『ザ・サブスタンス(原題:The Substance)』(2025年5月予定)の2本は外せないのではないだろうか。

夏の終わりと世界時の始まり

熱湯を注いだばかりのイングリッシュ・ブレックファストが熱すぎて飲めなかったので、息を吹きかけながら片方から片方に何度か移し替えて冷まそうとマグカップをもう一つ用意しようと思ったその瞬間に、2021年の12月下旬に亡くなった祖母を思い出した。そういえばよくこの方法で淹れたてのお茶を冷まして猫舌な私に飲ませてくれたなぁと。
彼女の一方にはもう語ろうともしないキリスト教と共産党があり、他方には感謝の言葉しか述べないトヨタと電力会社がある。そのせいか、私はどうしても後者に足を向けて寝れない。宗教やイデオロギーには中指を立てることができるが、産業にはどうしてもそうすることができない。
だから、あれだけボロクソにルクセンブルクから批判されてもその主張を刷新しなかったベルンシュタインの気持ちがなんとなく分かる。たまにテレビゲームで遊ぶぐらいの関係にまでどうにか飼い慣らすことができないか、あの怪物的なゾンビを。まるで『ショーン・オブ・デッド』のラストみたいに。

従兄弟が東京で亡くなったという連絡を受けた。初めて従兄弟を亡くした。不慮の事故で急逝ということだった。享年を確認して改めて12歳も離れていたことを知る。小さい頃ゲームは買ってもらえなかったから、この従兄弟たちの家に行って一緒にスーパーファミコンをするのが夏休みの1番の楽しみだった。12も離れていたのに、よくゲームの相手もしてくれた思い出がある。

色んな死が私の周りに存在し、それらが私に取り憑き、見守っている。
私も死ぬ、いつかは。いや、もう死んでいるのかもしれない、何度も。それが、ヘーゲル-キルケゴール-フロイト-ハイデガー的な死、つまり「以前の形相[eidos]の死」である。恐れが不安になる瞬間である。

感情を押し殺すことなく、流されてみる。まるで水の中に水が存在しているように。「足りている側」になるまで、何かが満たされるまで。あと2時間ほどでイギリスでは正式に夏が終わり、1時間の間に2度午前1時を指し、1時間多い睡眠時間を確保しながら、世界時[Universal Time]に戻る。そしてあと、66日ほどで世界時[Universal Time]は100周年を迎える。
あー、私にはもうステキナミライしかない。それだけしかない。


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ペテンの配達人
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