![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169404240/rectangle_large_type_2_d1043e38c65edba79fdaa9c68f6c55dc.png?width=1200)
Photo by
yoko0marly
てすりの星屑 _ 詩
いつもの冗談はある日表情を変えた
あれれ、いつも何をどんな言葉で話してた
雪の夜道みたいに知らない世界
交代制の優しさは今日は不在で
いとも簡単に機嫌を損ねてみせたぜ
まだ会って十五分も経ってないのに
階段をのぼる時もおりる時も
その左手はてすりに添えて
あれから大きくなった今でも
この左手は宙を彷徨って
誰かに恋した時も心悩める時も
その左手を導いてくれるような
鈍く空に輝くあの星屑のような
今夜いっぱいは降り積もるそうで
だったら雪もたいしたことないな
この胸の悲しみにはかないっこないな
停電したままの記憶の配線
ブレーカーを上げればいいってわかってる
そんなことはずっとわかってる
病める時も健やかなる時も
その左手はてすりを知っている
どんなに救われたことだろう
どんなに簡単なことだろう
今度は君が手をとってあげてね
あの左手が迷わないように
海の藻屑と消えないように
馬鹿みたいな話だけれど
僕は誰かのてすりになりたい
馬鹿みたいな質問だけど
僕は上手にてすりになれてるかい
いつでも僕をつかんでほしい
いつか必要じゃなくなっても
星屑を見て思い出してほしい
そうでなくても進んでほしい
君よ、真っ直ぐ進んでほしい
その瞳の輝きの向かう、
この世界の優しさの彼方
了