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二十四節気の養生法【2024 啓蟄】
弥生三月、いよいよ草木萌動く季節になってまいりましたね。
一昨日は上巳の節句で雛人形を飾ったり雛あられや菱餅をいただいて子どもたちの穢れを祓い健やかな成長をお祝いされたでしょうかね。
今日は春の3番目の節気「啓蟄(けいちつ)」です。「蟄虫啓戸」厳しい冬の間、大切な正気を漏らさないよう土の中で冬ごもりをしていた虫たちも地上に出て来る季節ですね。
また立春が過ぎると大気が不安定で雷が鳴ることがあり、この雷を「虫出しの雷」と言うそうで、雷に驚いて虫たちが這い出てくるので中国では「驚蟄(けいちつ)」と書くそうです。
暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也」とあります。
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各地で梅の花も満開になり甘い香りが小鳥たちを引き寄せています。まもなく桃の花もつぼみをほころばせ桃始笑う(3/10)ころになります。地域によって多少の違いはありますが日本の花鳥風月はどこも本当に素晴らしいですね。
3/11は数九寒天(冬至から9日間ずつ9回数える一年で最も寒い時期)の最終日で出九といい、冬至から毎日1枚ずつ赤く塗った梅の花も満開になり、ようやく厳寒の時期も終わりを迎えますね。
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今月の癒しの庭園 梅宮大社「梅宮神苑」
今月は四条通りの西、梅津というところにある梅宮大社の梅宮神苑をご案内します。梅宮大社というぐらいなので梅の花が見どころですが、今回初めて神苑の中に入らせていただきましたが大きな池の周りにさまざまな木や花が植えられ四季折々に楽しむことが出来るようです。
四条通りから椿が満開の生け垣が連なる細い参道を通ると朱に塗られた大鳥居があります。
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鳥居をくぐって石橋を渡ると神社には珍しいすごく立派な楼門があります。江戸時代の文政13年に建てられ京都府登録有形文化財となっている随身門という入母屋造の楼門です。梅宮大社の祭神は酒解神(さかとけのかみ)で酒造の守護神で楼門にはたくさんの酒造メーカーの酒樽が供えられています。
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楼門をくぐった左手に龍の手水舎があります。龍の口から滴り落ちる聖水で穢れを清めてお詣りします。
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神苑入り口から東神苑に入ると左に紅梅、右に白梅と満開の梅が迎えてくれ、目の前には咲耶池と呼ばれる大きな池が広がります。
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咲耶池の周りには、菖蒲やカキツバタが植えられてあり6月ごろにはとても綺麗に見ごろとなります。
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通路を奥に進むとあちこちに梅が咲きほんのりと甘い香りが漂い気分が癒されます。よそ見してると池に落ちそうになる石橋を渡っていると大きな鯉が寄ってきます。
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島の中には「芦のまろ屋」ともよばれる平安時代の梅津の里の風景を歌った百人一首
『 ゆうされば かどたのいなば おとずれて
あしのまろやに 秋風ぞふく
大納言 源 経信 』
の歌の古里として、今に残る唯一のかや葺きの茶席「池中亭」があります。
池にはたくさんの錦鯉が悠然と泳ぎ回り、時々大きな音を立てて飛び跳ねています。
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鯉のエサを狙っているサギがいます。大きな木の枝にたくさんの巣があるのでそこにはヒナたちがエサを待っているのでしょうかね。
茶席「池中亭」を通り抜けると相撲の土俵がありさらにその奥に勾玉に形どられた池がありその周りに花菖蒲、八重桜、平戸つつじ、あじさいなどが植えられた北神苑があります。藤棚もあるので5月ごろには見頃になるでしょうね。
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北神苑からさらに通路をすすむと西神苑がありそちらに梅園があり、ラッパ水仙なども道路に沿って咲いています。
梅の花の蜜を吸いにメジロがたくさん寄ってきていました。
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神苑は、本殿の周りをぐるっと囲むように東神苑、北神苑、西神苑と廻ってきます。梅も綺麗ですが椿も神苑全域に約50種300本が植えられこの季節を彩っています。楼門の横には立派な五葉松が聳えています。
また境内には猫ちゃんたちがたくさん遊んでいますが、NHKBSの「岩合光昭の世界ネコ歩き」(「京都の四季」「神社のツキ」編)でも紹介されたそうです。こっちを向いて欲しいなぁとカメラを向けて待っていましたが、なかなか向いてくれませんでした。自由気ままでのんびりしてていいですね。
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啓蟄の養生法
旧い暦書には「斗が丁を指すと驚蟄になる。雷が鳴ると蟄虫たちは震えて姿を現わす。それゆえに驚蟄と名付けられたのである。」と書かれ、「立春」が過ぎて気候が少しずつ暖かくなり凍っていた大地が緩む頃、春雷が初めて轟いて土の中で冬眠していたいろいろな虫たちが驚いて目を覚まして土中から這い出てきます。いよいよ本格的に春の訪れですね。
奈良東大寺二月堂では「お水取り」と呼ばれる修二会が行われ、春を告げる行事として有名です。3月16日は「十六団子の日」で山の神様に16個の団子を備えて五穀豊穣を祈る古くから田植えの前に行われる年中行事で、いよいよ田植えや農業が本格的に始まります。
春の夜、降る雨を喜ぶ
恵みの雨は降るべき時を知り
まさにこの春に万物の成長を促す
風を伴い夜になっても降り続き
音も立てずにシトシトと万物を潤す。
野の小径も雲も闇に埋もれ
川船の灯りだけが明るく
夜明けには雨に濡れた赤い花が咲き、
錦官城(成都)で重たげな花を見れるだろう。
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春の養生は「風」と「肝」がポイント
陰陽五行の法則からみると、春は「木(もく)」に属する季節です。木の性質は「曲直(きょくちょく)」と言って、幹は天に向かってスクスクと伸び、枝や葉、蔓(つる)などは横に横に伸び広がり、また根は地中深く伸びていくように、伸び伸びと伸び広がっていく特徴があります。
このように伸び伸びと伸び広がる性質を持ったものは「木」のグループに所属し、「春」も木のグループで万物が生まれ伸びやかに育つ季節で、新陳代謝も活発になり、体内の陽気も動き始めます。「風」と「肝」も春と同じ木のグループなので、春の養生法は「養陽防風」と「疏肝理気」と言い「風」と「肝」がポイントになります。
最近では眼精疲労など目の症状を訴える人が多いです。中医学では目は肝竅と言い、肝と目はとても密接に関係していると考えます。
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眼がお疲れなのは…?
最近は大人も子どももほとんど近業作業と言われる目を酷使する生活習慣が多くなっています。ほとんど毎日パソコン作業をしたり、子どももタブレット授業が増え、スマホでゲームをしたりメールやネット検索やネットショッピングなど一日中近業作業で目を酷使して過ごしています。
歩き過ぎると足が疲れるように、目を使い過ぎると目が疲れます。眼の疲れが慢性化すると痛みを感じたり目がかすんだり、ひどくなると頭痛や肩こり、吐き気など目以外にも不調が引き起こされるようになります。
しかし眼精疲労と言っても目の病気とは言えない感じで、検査に異常が無ければ薬が出されることもなければ特に治療するようなこともありません。検査と言っても定期健診では視力検査ぐらいでよほどの異常が無い限り眼底検査など受けたことはありませんね。
目が疲れる原因は目の酷使以外にも家事や残業、夜更かしや睡眠不足などの身体の疲れ、ストレスやイライラ、ムカムカなど精神的な緊張などによっても眼精疲労が生じることがあります。
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「肝」は目に開竅する
黄帝内径 素問 陰陽応象大論篇 第五に、「東方生風。風生木、木生酸、酸生肝、肝生筋、筋生心。肝主目。其在天為玄、在人為道、在地為化。化生五味、道生智、玄生神。神在天為風、在地為木、在体為筋、在蔵為肝、在色為蒼、在音為角、在声為呼、在変動為握、在竅為目、在味為酸、在志為怒。怒傷肝、悲勝怒。風傷筋、燥勝風。酸傷筋、辛勝酸。」とあり、また霊枢 脈度篇には「肝気通于目、肝和則目能辨五色矣。」と書かれています。
中医学では、目は「清目」とか「肝竅」などと呼ばれ「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言い、目は肝の経絡が外に通じる竅(あな)で中医学の蔵象学説では目の現象は肝の状態が体表に現れた現象と考えます。目がどうしたこうしたと訴える目に関する症状は、肝の働きが低下していると考え、中医師はその治療にはまず肝を健やかにすることを考えます。
肝の働きは、「蔵血を主る」と「疏泄を主る」と言い、主(つかさど)るとはコントロールするという意味で、肝が血を貯蔵して気の推動作用により必要なことろに血を送り届ける働きを主導しており、目は肝血が送り届けられて滋養され物を見ることが出来て色や形をはっきり識別することが出来るのです。そしてまた目の焦点を合わせるのに交感神経と副交感神経の自律神経系が作用しているのですが、肝の五主(五蔵が主る器官)は筋で、筋肉の緊張や弛緩の制御をしており、遠くの物も近くの物も見た瞬間にピントが合うのも肝の働きが関係しています。
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瞬時にピントが合うって凄いこと!
ちょっと話が逸れますが…
遠くの物を見ていて手元の書類やスマホを見た瞬間に文字が読めたり、その逆に手元のスマホや本や新聞などを見ていて誰かが入ってきた瞬間にその人にピントが合って誰が来たのかわかりますよね。これは自分が意識してピントを合わせようとしなくても自律神経が正常に働いているからです。この目と同じ精緻な自動焦点装置(オートフォーカス)をカメラで作るのはとても困難だそうで、私たちは無意識に物を見てちゃんと見えていますが、これは本当に凄いことなんです!
そのメカニズムは、目に毛様体筋という筋肉があり遠くを見た瞬間に交感神経が働いて毛様体筋を緩めて水晶体というレンズが薄くなりピントが合います。その時に急に手元を見ると今度は副交感神経が働いて毛様体筋を収縮させて水晶体のレンズを分厚くして手元にピントを合わせます。
そして近業作業と言われるスマホやパソコン、読書など近くの物にピントを合わせた状態を長時間続けていることは、毛様体筋がずっと緊張しっぱなしの状態となり筋肉疲労を起こしそれが眼精疲労になるのです。
重たい荷物を持ち続けていたりパソコン作業などをしているとずっと腕の筋肉は緊張状態が続くのでやがて筋肉疲労を起こし肩や首が凝ってくるのとおなじことが目で起こっているのです。
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目の症状が気になる人は、まずはパソコンやスマホ、テレビ、読書など近業作業を出来るだけ減らして目の緊張状態を和らげましょう。
肩こりなども同じですが、筋肉の緊張状態が1時間も続くと血行が悪くなり疲労物質が溜まって重だるいや痛みなどの症状が現れます。これがいわゆる肩こりの症状ですが、目でも同じ状態が起こり近業作業を1時間も続けていると眼精疲労が起こります。
1時間ぐらい近業作業を続けたら、少し遠くを見たり出来ればホットタオルを目の上に置いたり、目の要穴をやさしく刺激したりして、目の周りの緊張をほぐし気血の巡りを調えましょう。また目の玉だけを動かす目の玉体操も効果的です。仕事中なども出来ることを取り入れて時々目の緊張をほぐしましょう。
パソコンの画面の位置なども毎日の作業をすることで、とてもカラダに影響します。真正面に置くようにして少し目線が下になる位置で作業をすると負担がマシです。画面を左側や右側において作業をし続けると、片側に負担がかかり異常が起こりやすくなります。たまには画面の位置なども見直してみましょう。
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目の養生は肝を健やかに
肝を健やかにすることが、眼精疲労や目の症状を予防するのにとても有効です。過労損傷や夜更かし、睡眠不足、不規則な食事など普段の養生していないと肝血はどんどん消耗し肝血虚(かんけつきょ)になります。目に十分な血を巡らせられず目を養えなくなります。特に眼精疲労や目のかすみ、ドライアイ、まぶたがピクピク痙攣するなどの症状は肝血虚が原因です。肝血を補う薬膳でしっかり肝血を補うとともに、生活習慣を見直し肝血を消耗しないように心掛けましょう。
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目の気血を巡らせ肝血を補う薬膳
肝を健やかにして目の気血を巡らせる食材を摂りましょう。薬膳では「明目(めいもく)」と言いますが、栄養素的にはビタミンAやビタミンB群、ポリフェノールの一種のアントシアニン、DHA、EPAなどが豊富に含まれる食材がオススメです。
そして、肝血を補う養肝補血の食材も積極的にとりましょう。
食べ物には温・熱、平性、寒・涼の五つの性質があります。自分の今の体質をチェックして寒熱虚実の傾きを把握し、その傾きを中庸に調えてくれる食材を選んで摂ることが大切です。
どんなに「カラダに良い」と言われる食べ物でも、今の自分の体質に合ったものを食べないと症状がひどくなったり、逆効果になったりする場合があります。必ず自分の体質を把握して傾きを治してくれるものを少しずつ様子を見ながら摂り入れることが大切です。しんどいからと言って急激な刺激は食べ物でも運動でもマッサージでも禁物です。急激な刺激は、必ず急激な反応を起こします。カラダはそういうものです。ムリせず焦らずゆっくり調整するようにしましょう。
毎日飲んでコーヒーなど(嗜好品)をクコの実や菊花をブレンドした薬膳茶や決明子を使ったハブ茶などに変えてみることもオススメです。
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京都伝統中医学研究所の"啓蟄におすすめの薬膳茶&薬膳食材"
1.「清肝明目」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、理気明目茶、気血巡茶、茉莉龍珠茶、麗香龍珠茶、五望茶、カラダ潤し茶など。
薬膳食材では、枸杞の実、菊花、桑の実、白きくらげ、山査子、はと麦、緑豆など。
2.「養肝補血」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、そろそろダイエット茶、プレママ応援健やか茶、増血美肌茶などですが、なんと言ってもイチオシはなつめ薬膳茶。
薬膳食材では、新彊なつめ、竜眼、金針菜、蓮の実、黒きくらげ、茉莉花(ジャスミン)、マイカイ花、紅花など。
3.漢方入浴剤
ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」も、芳香浴で気の巡りを調え疏肝理気作用があるのでオススメです。
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂 本店公式サイトhttps://www.kyotorakurakudo.com
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/
次回は、3月21日「春分」ですね。「暑さ寒さも彼岸まで」 いよいよ本当に春の訪れですが、年度末から新年度に替わる最も忙しくて環境が変わる時節です。慌てないようにしっかり準備して心も身体も余裕を持って過ごしましょう。まだまだ気候が荒れやすいので毎日のお天気にも気をつけてください。