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【読感】『傲慢と善良』
作品:『傲慢と善良』 著:辻村深月 氏
本投稿は、上記作品を読んだ読書感想文(通称:読感-ヨミカン-)の内容となります。
本作では婚活をテーマに、人が何かを決断する際に感じる葛藤や迷い、判断のものさしとなる指標が見事に言語化されており、深い共感を得られる素敵な一冊でした。
私は職業柄、他人様の決断の瞬間に立ち会う機会が多いがゆえに、本作の主要人物らが抱える問題には、共感をはじめ、新たな発想・着眼点にハッとさせられる気づきの多い内容でした。取り扱っているテーマは「婚活」とやや重たいものの、個人的には身近に感じられる内容だったため、割りとサクッと(2日程度で)読了することができました。
■本作を読み、気になったキーワード:
#婚活は最後の手段ではなく、最初の手段である。
#婚活は「休むこと」ができる。しかし、休めるがゆえに苦しくなる。
#婚活がうまくいく人の特徴
#皆、謙虚で自己評価が低い一方で、自己愛が強い。
#「ピンとこない」の正体
#善良でいい子ほど、決断をする際に傲慢になる。
#不正解を避け続ける減点法の人生
人が選択する時、何をもって”自分の意志で選んだ“といえるのだろうか
私が、これまで選択してきた瞬間を振り返ったとき、純度100%に自分の意志だけで判断したことが思い浮かばなかった。
少なからず「周囲からの見え方」や「その選択をした未来」を想像して、決断してきたのだと思う。一見、主体的な選択にみえても、客観的な評価に基づいた他人の価値観を取り込んだ複合的な選択となる。
うまくいく人は、自分の欲しいものが分かっている人、自分の生活を今後どうしていきたいかが見えている人、そしてビジョンのある人
物事を自分事として捉えていながら、客観的な評価を意識し、俯瞰してポジショニングすることができる人。常に変化が生まれる現代において、その時流にだた乗っているだけでは、いずれ足元を掬われ攫われてしまう。
波乗りをするかのように、目線を先に送り、己の意志という体幹を鍛えることが”今”を生き抜くうえで必要なんだと思った。
(…波乗りをしたことも、日常的に筋トレをしているわけでもないが。)
身体的なトレーニングと違って場所を選ばず、頭の中で考えることができる「自分がどうしたい」という“意志”は、取捨選択を繰り返し生きる我々が求められていることの一つである。
手始めに「今日の夕飯は何を食べようか」と考え、それは本当に自分の意志で選択したのか、はたまた、誰か(何か)を気にして選んだものか。しがない一人暮らしの献立に思考を巡らせようと思う。