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5月14日 予言されていた!?日本のワクチン供給の問題点
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。
→今回のことで、新しいワクチンを開発、製造のスピードが重要になった。なぜ欧米中露が先行し、日本は遅れたのだろうか?
1796年のこの日、イギリスの外科医ジェンナーが初めて種痘の接種に成功した「種痘記念日」です。
種痘というのは簡単にいうと予防接種で、ジェンナーさんが予防しようとしたのは、当時最も恐ろしい病気の1つだった天然痘です。発症すると、高熱に引き続いて、全身に化膿性の発疹ができるため、運良く治った人もあばた面になったそうです。
経験的に、一度天然痘にかかった人は2度とこの病気にならないことが知られていたことから、病気にかかった人の手の水泡から取ったものを近所の子供の腕に接種したところ発症したがすぐに治り、その後感染しなかった、そうです。
最初は学会は認めなかったものの、効果はあることから、次第に認められ、接種が進み、1979(昭和54)年にWHOは天然痘の根絶を確認しました。
詳しくはこちらの国立感染症研究所のホームページをご覧ください。
種痘、予防接種の始まり、なんですね。
予防接種といえば、まさに今話題のワクチン接種。
各種ワクチン市場について調べてみました。
まず、富士経済によると、「パンデミック関連抗ウイルス薬・ワクチン製剤」の市場規模は、2021年4,600億円から徐々に増加し、28年には5,956億円になると予測しています。
これはもちろん、コロナを想定している数字ですが、ずっと続く、ということが想定されている数字と言えます。
では、従来のインフルエンザワクチンの市場はどれくらいだったのでしょうか?
金額で市場規模を示したものはなかなかないのですが、厚生労働省の「ワクチン産業ビジョン」という資料に、2003年のワクチン市場規模はのデータがありました(下図)。
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また、厚生労働省が公表した「季節性インフルエンザワクチンの供給について」という平成30年の資料に昭和61年からのインフルエンザワクチンの製造量と使用量の推移データがありましたのでご紹介します(下図)。
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一度大きく減ったワクチンの製造量が伸びている理由ですが、
☑️ 平成6年(1994年)予防接種法改正
☑️ 平成13年(2001年)インフルエンザワクチンの高齢者への定期接種化
というのが要因とされています。
今回のワクチンは製造方法が異なるようですが、これまでのインフルエンザワクチンの製造は非常に時間がかかるものです。厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会「わが国のワクチン産業と市場の動向」のなかに生ワクチンの製造期間がありました(下図)。
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1年以上、2年近くかかるんですね…
もちろん製造そのものにも時間はかかるのですが、やはりお役所の審査にかなり時間がかかることが分かります。
しかも、ワクチンは保存期間というか使用期間が短く、審査の分だけ有効期間は短くなります(下図、出典:厚生労働省 研究開発および生産・物流部会「ワクチンの安定供給に向けて」)。
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これについてはメーカーからも改善要望がだされていたようですが特に改善はされていないようです。
想定外だった、と言われるものも、実は過去指摘がされていた、というのはよくあるパターンですね…
→今回のことで、新しいワクチンを開発、製造のスピードが重要になった。なぜ欧米中露が先行し、日本は遅れたのだろうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
一昨年の7月からこのような投稿をしております。
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