#317 「感動」さえも測れる世界は…
今日(5月27日)の日経新聞朝刊の、ぜんぜん異なる2つの記事を読んで思ってしまったことを、メモ。
1、どんな記事?
ひとつは、「ソニー復活が示すビジョンの大切さ」という2面の社説、
もうひとつは、「良いDXはハピネス次第」という6面の記事、です。
「ソニー復活が示すビジョンの大切さ」は、ソニーグループの復調ぶりが鮮明であることを紹介した内容で、その要因として数値目標ではなく「感動」を掲げたことだとしています。
以下に該当部分を引用します。
吉田氏(ソニーグループ会長兼社長)は数値目標を語らない代わりに「感動」という言葉を多用した。吉田氏が参謀役を務めた平井一夫前社長時代から掲げる経営ビジョンである。
ユーザーに感動を提供するために、グループが抱える資産をどう活用すべきか。(中略)感動を求めるならコモディティ化した製品からは手を引き、映画や音楽といった、それまでは傍流と見なされていた事業の力をフル活用する。実にシンプルな方向性を定めたわけだ。
「良いDXはハピネス次第」は、現在のDXブームの中でプラットフォーマーとなるまでの成功を収めている企業はほんの一握りであることを指摘した記事です。その中で幸福感を分析する企業が紹介されていました。
以下に該当部分を引用します。
日立製作所が出資するハピネスプラネットの矢野和男最高経営責任者は、「生産性の高い働き方をもたらす最も大きな要素は、働き手が感じる幸福感(ハピネス)だ」とみる。
分析のやり方は、スマホに仕込んだアプリで働く人の動きをデータ化する。生産的な動きがない時を「0」(幸福を感じない時)、活発に動いている時を「1」(感じる時)で表し、0と1で成る「幸せの配列」を人工知能(AI)解析も使いながら定量的に割り出そうとするものだ。
2、測れなかったものが測れるようになると…
2つの記事はなんの関連もないのですが、ふと、
幸福が測れるなら、「感動」も測れるようになるのでは?
もしそうなったら、「感動」を経営目標におく企業は、例えば、KPIに「感動」が入ったり、従業員の評価項目にも「感動」が入ったり、するようになるではないか?
と思ったのです。
「感動KPIが目標を下回っている。何か対策は?」とか、
「あなたは当社の掲げる感動経営に対する感動度が全社員平均より低いので今期の評価はDです」みたいな…
3.まとめ(所感)
いかがでしたでしょうか?
数値、というのは、誰がみてもわかるものですし、1より2が多い、というのは誰がみても明らかです。
だから、長さや重さといったきちんと測れるもの以外も、なんとか数値化して比べよう、という努力が古くから行われてきました。
ミシュランの星の数とか、食べログとか、NPSとか、各種サーベイとか…
その延長として、「幸福度」や「感動」が個々人ごとに、リアルタイムで数値化されるようになると、いったいどんな世界になるのでしょうか?
各種マーケティングに使われる、というぐらいならまぁいいと思いますが、従業員の評価に使われる、となるとかなり抵抗感があります。
でも、人事が従業員のメンタル面のケアのため、という大義名分で導入すれば、数値が管理職に還元され、管理職はそれをみながらチームメンバーと接するようになるかもしれません。
目の前のメンバーではなく、数値化されたメンバーを見るようになる世界です…
社員はその時、どう思うのでしょうか?
会社という組織は、どうなるのでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
測れないものがあってもいいような気がしてしまうのは、私だけ、でしょうか?
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