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朗読

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朗読ありの記事をまとめています。
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記事一覧

朗読LIVE 168 海の青と空の青(後半)

朗読LIVE 168 海の青と空の青(後半)

イカは白じゃない。透明である。
博多で新鮮なお刺身をいただいた時、びっくりした。そう、私のよく知る白いむにょっと噛み切りにくい物体ではなかった。透明でねっとりとしていた。あんまりイカのお刺身は好きじゃなかったけれど、一気にひっくり返った。
佐世保でいただいたお寿司も、つやつやと美しかった。うすーい青唐辛子が載せてあって、それはもう、別の食べ物だった。
熟成肉なんて言葉を聞くこともある。時間がおいし

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朗読LIVE 167 海の青と空の青(前半)

朗読LIVE 167 海の青と空の青(前半)


海の中には、変わった姿の生き物がいる。人間からみたら奇怪でも、生きていく理屈が違うんだから、それぞれに理由がある姿なんだろう。
ニンゲンは姿に関わらず、あれこれ食する。可食部だけにすれば美味しいと思ったとしても、やはり元の姿を思い浮かべると、どうも箸の進まないものもある。昆虫なんかは、やはり抵抗がある。蜂の子をガクブルしながら食べてみたら、案外いけちゃった経験があるのに、姿を見えなくしていてもあ

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朗読LIVE 166 かたい大きな手(後半)

朗読LIVE 166 かたい大きな手(後半)

金が貧乏を作り、貧乏は人を卑屈にする。じゃ、物々交換の世界なら貧乏は発生しないかと言えば、それは違う。
物価高がすごい勢いで進むこの頃、スーパー行っても溜息が出るばかり。しかしハラヘッタの口を封じねばならぬ。
せめて、隣の芝など覗かずに、そして、古き良き時代などと言って懐かしがってないで、今だからこそできることに目を向けていけたらと思うのだけど。

かたい大きな手(後半) 小川未明朗読は、1分15

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朗読LIVE 165 かたい大きな手(前半)

朗読LIVE 165 かたい大きな手(前半)

半日電車に揺られたら、まるで違う気候になる。
雲を運ぶ風、山や海といった地形によって、多彩な気候が作られる。
違うということを頭では理解していても、生活に根ざす部分までは中々分からない。どんよりとした北国から、からりと晴れた都会へ。
北国で根を張って暮らしてこられたおじいさんの胸中には、何が浮かんでいたのだろう。

基本的に晴れた地域で過ごしてきたので、雪の降るような気候に憧れはある。雪に温泉、な

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朗読LIVE 164 大きな手

朗読LIVE 164 大きな手

手は、便利な道具である。
こんなに器用に動く手がなければ、今の繁栄はありえない。
利己的に暴力的に動く手でも、人のために働く時、力強く、優しい。
つるりとした白い手は確かに美しい(それはそれで努力した手である場合もあるが)。しかしどんな風に働いてきた手かは、その手に刻まれている。
たくさんのシワが刻まれた、そして、皮膚が薄くなってその皺すらよらなくなった祖母の手を思い出す。田舎の山の中にあるお墓へ

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朗読LIVE 163 兎さんの本屋とリスの先生

朗読LIVE 163 兎さんの本屋とリスの先生

絵本や童話には、動物がよく登場する。人間から見た動物としてそのまま登場する場合もあるが、擬人化されることもよくある。
作家さんは、ストーリーを作る時に、どの役にどの動物を当てるのが良いかと考えるのだろうか。それとも、この動物を使いたいからとあて書きするのだろうか。
動物のイメージ(動物からしたら迷惑な話だが)は、どこからくるのだろう。その動物が当たり前にする動作を、人間の行動に置き換えたらどう見え

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朗読LIVE 162 つまさきチミーのはなし(後半)

朗読LIVE 162 つまさきチミーのはなし(後半)

ぷくぷく太ったら出られないよ、と言いながら、飲んだくれのような生活のチミー。道連れを見つけたとばかりどんどん食べさせるハッキー。
嵐が来なかったら仲良く冬中二人きりだったのかしら。

つまさきチミーのはなし(後半) ベアトリクス・ポター朗読は、1分ごろからです。

青空文庫ですが、テキストだけでなく、挿絵も楽しめます↓↓

↓アーカイブもあります↓

※この翻訳は「クリエイティブ・コモンズ 表示

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朗読LIVE 161 つまさきチミーのはなし(前半)

朗読LIVE 161 つまさきチミーのはなし(前半)

ある日森の中、りすさんに出逢いまして。
手渡しで胡桃を差し上げたりしまして。
もう、きゅうん。
記念にリスのお話を。ちょうどイギリスのお話だし!
(サムネイルはまさにその時のです)

つまさきチミーのはなし(前半) ベアトリクス・ポター
朗読は1分過ぎからです。

↓アーカイブもあります↓

※この翻訳は「クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンス」(http://creativec

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朗読LIVE 160 中納言殿まいらせたまひて

朗読LIVE 160 中納言殿まいらせたまひて

クラゲの話を集めていた時に検索に引っかかってびっくり。清少納言とくらげが結びつかない…。
あの時代の宮廷の女性が実物のクラゲを見たことがあるとも思えないが、しかし、ぷよぷよと骨のないものが海にぷかぷか浮いているということは共通認識としてあったということだろう。

圷さんという方の丁寧な論考を紹介した。同時代のクラゲの出てくる和歌を探して、どのようなイメージで使用されているか、それを踏まえて、なぜこ

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朗読LIVE 159 竜宮(後半)

朗読LIVE 159 竜宮(後半)

クラゲの次は、河童と馬子にお宝見つけた漁師さん。竜宮と行き来できる秘密のポイントというのがあちこちにあるようで…。

教訓めいたものが付けられていると、何となく鼻白らむ感じは、童話なんかでもそうだなぁ。別にまとめてくれんでいいというか、これが学んで欲しかったことです、みたいにいわれると、他の感動は一気に消し飛んでしまう。
どこから何を感じたっていいじゃないの。

竜宮(後半) 豊島与志雄
朗読は、

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朗読LIVE 158 竜宮(前半)

朗読LIVE 158 竜宮(前半)

🎵た〜いやひらめのまいおどり〜

という竜宮にまつわるお話と、その考察。

竜宮(前半) 豊島与志雄
朗読は、45秒あたりからです。

↓アーカイブもあります↓

(投稿されていなかった…なんで?)

朗読LIVE 157 或る母の話(4)

朗読LIVE 157 或る母の話(4)

遺書に経緯が認められてあった。
墓場まで持っていくはずだった嘘。松岡との関係も、智子との関係も、自分さえ黙っていれば良いはずだった。そのために、誰も知らない都会に出てきたはずだったのに。
黙って消えれば、大切な娘を不幸にする。そのために、今の自分が全て虚構の上にあると自ら暴かざるをえなかった。
20年以上頑張って作り上げてきた世界が、全て崩れてしまった。妻でもなく母でもない自分は何者かと問い、一か

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朗読LIVE 156 或る母の話(3)

朗読LIVE 156 或る母の話(3)

自分の恋人が、その本人の父親と自分が似てるって嬉しそうに言う。
うーん、どんな気分なんだろう。照れくさそうにした、ということは、嫌がってはないんだ。
俺の亡くなった母にあんたは似てるて言われたら…。ちょっと抵抗あるけどなぁ。

或る母の話(3) 渡辺温朗読は2分過ぎからです。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000020/card220.html

↓アーカイブもあ

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朗読LIVE 155 或る母の話(2)

朗読LIVE 155 或る母の話(2)

土砂降りの雨の中、もしかして車に乗せてくれるかも…、とドキドキしたのに、行ってしまった。でも、その後、タクシーを手配してくれて支払いまでしてくれていた。それゃ、惚れるて。
男性の方も迷ったんだろうなぁ、顔知ってるだけの関係で、いきなり車乗るかって誘って、怪しい人認定されても嫌だろうし。通りまで出て、タクシーすぐに探して、支払いもして。安全運転で帰れたかしらね。

或る母の話(2) 渡辺温
朗読は、

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