
口語句集「白い絵」50句 〜しゃべり言葉の作品集〜
口語句集「白い絵」50句
会話体を
基本にしてつくった口語句集です
冬の作品を集めました
一方では「俳句としての側面」を重視して、575の型、季感、切れなどを活かしました
一方では「一行詩としての側面」を重視して、自己性、思想性、比喩性などを活かしました
川柳との違いについては次のことに意識して取り組みました
・季語、切れを活かす
・四季折々の自然とその暮らしを詠む
・風情、格調、俳句理念など
・俗に片寄りすぎない
・詠嘆をして余情、余韻を生む、等々
創作を楽しみながら、試験的に行った取り組みをまとめたものです
楽しんでご覧いただければ幸いです
*作品はすべて既発表句です
*文語・口語の図を記事末に記しています
「白い絵」
口語句集
印象派ひかり描きますふゆのあさ
はくちょうがいた色彩の池の暮れ
雪の窓映るじぶんを見つめていた
このせかい溶けて落ちます冬夕焼
ふゆぎんが量子もつれの二人です
ゆきだるま転生をしてほほ笑んだ
しんしんと雪がきこえてくるか坂
生きざまをあいまいにして冬霧だ
羽ばたくさ波に揉まれる冬かもめ
まぼろしが舞いのぼります龍の玉
ふゆざくらただ満開というダダだ
クリスマスイブメタバース美術館
そらだったころ雪の花だったころ
門松立つ余所の御家のことでした
かえりますみちのまんなか年の市
川に立つ鷺もでしょうか年惜しむ
注連飾る家に向きあいながらです
わらいます悔いそれぞれに忘年会
らいねんはどこで暮れるか燗の酒
鳩ばかりです鳩小屋のとしのくれ
ふくらむかまるく地元の餅を焼く
九十歳目つむりませんとしを越す
目に見えるなにもかも元日でした
一家族よこならびですはつもうで
キュビズムのさびしいかおだ初鏡
すずめらもいのち楽しむ雪浴びだ
空という屋根のしたです日向ぼこ
目にちからとりもどしたか生姜酒
あかるいねすこし傾くオリオンが
一瞬で果てまでもですふゆぎんが
寒林檎ふと無知でしかありません
手をとろけ落ちてゆめです寒林檎
やわらかい地球をすくいとる雪だ
AIのうそ読みながすゆきつむ夜
シュプレマティスム暗黒の雪の夜
夜をひとり耳になりますおでん酒
春待ってまだ種でしかありません
かぜも香もとどまりません水仙花
寒すずめ法がまもっている路地だ
火生みます搔きあげるたび落葉焚
鳩はそらそらは鳩ですふゆひなた
画家に来る描きつづけていた春が
蝋梅よのろいがとけてゆくように
不幸もう求めませんよ日なたぼこ
白い絵のミニマリストの部屋よ冬
銀棒の渦巻くオブジェゆきぞらだ
ほくさいのそらです富士と正月凧
広重の江戸はましろよゆきの富士
雪折れになおふりつづく夜でした
嶺々までもましろだつづく雪合戦
▽俳句の読みくらべ▽
文語体・口語体・しゃべり言葉
▽口語句集▽
◇俳句、川柳、一行詩の大まかな特徴
俳句は発句。季語、切れ字、切れを常用して、四季折々の自然とその暮らし、風雅さ、余情、感動などをより突き詰めて「詠む」傾向があるそうです
川柳は平句。季語、切れ字、切れは常用せず、人情や滑稽さ、機知、風刺などをより突き詰めて「吐く」傾向があるそうです
一行詩は575の型、季語を用いる場合でも詩的な側面が重視され、自己性、社会性、思想性、比喩性など、また感性や繊細さなどがよりあらわれやすい特徴があるそうです
◇文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体
◇口語=口語体=現代語=書き言葉
∟==話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
*作品はnote、Xに投稿したものです
*試験的な取り組みとその作品をまとめた記事です
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
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