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ある日突然、大切な奥歯をなくした。喪失感と向き合いながらも、自分の“喜び”を大切にできるようになるまで  

 2024年11月8日、大事な左下の奥歯がぬけた。

 千葉で生まれた私は、幼い頃から魚をたくさん食べた、骨せんばいも焼いてもらったし、外房の海で防波堤釣りを教えてもらったし、誕生日プレゼントには『竿』や『リール』などの釣り具をもらった。
魚を食べる習慣を続けていたからだろうか、幼い頃から虫歯はなかった。
中学生のときには、健康な歯で学校の代表になったこともある。

「虫歯になりにくい。歯の色や唾液だね。」とコンテストの審査員に言われたことが、ずっと自慢だった。

 そんな奥歯が、抜けた。

「なんの歯無しですか」
「オクの歯無しです」ということ。

 突然のことだった。

「そろそろ、歯の点検をしてください」と人間ドックでアドバイスされたときに「今年は予定詰まっているから、2025年に行く」とスマホのカレンダーへ予定をいれて、数か月後の出来事。抜けた歯を見たとき、ただ涙が出た。

 そして徐々に、私のなかにいろんな感情が溢れてきた。
「新型コロナウイルス禍でも、きちんと通院すればよかった」という後悔。「自然に抜けるほど酷使してしまったのは自分のせいだ」と自分を責める気持ち。

 歯が抜ける3か月前、歯が痛く、顎までいたくなったことがあった。ストレスのためと勝手に考えていた。

 幸い翌日の土曜日に予約できた。

「虫歯」とたった一人で向き合うのか、一緒にサポートしてくれる人がいるなかで向き合うのかで心強さは違う。


 歯科医院ではレントゲン結果に基づいて、丁寧に状況を説明された。
子どもの頃に虫歯がなかったために、歯科医院へは歯石の除去のために通っていただけだった。

 ただ、それすら中断していた。

 一日丁寧に歯を磨かなければ汚れは残り、汚れは積み上がり歯石となる。
歯間ブラシがまだ残っているということは使用頻度も低いということである。

歯を大切にする練習を


 それから2週間、“ちゃんと歯を大切にする”ことに取り組んだ。
毎日歯を磨いた記録としてカレンダーに印をつける。

 1日の食事ごとにきちんと磨いていたかを振り返って、自分がどんな時にかまけてしまうか知り、歯を大切にする想いのエネルギーが回復しやすい方法を探る。

自分がキチンと思い出す方法は、最初は抜けた歯の写真を眺める以外は見つけられなかった。
でも、カレンダーの記録を続ける中で自分の覚悟につながる方法に気づくことができた。

 この記事を書いて、自分のコピーロボットとして残すことができる。
そして、この出来事を他の方にも共有することで、どなたかの糧になってほしいと思う。

 糧とかいうほどではないかもしれないけど、でも歯は二度と戻ってこない。

 この先、老いが進んでも喜んで生きられるために歯を大切にしたい。
「どんどん歯が抜けていく」とつぶやきそうになっていたけど、私は、できるできないとか関係なく、ただ歯を磨いていきたい。

 私は、漠然と幸せでいたい、私にとっての幸せってなんだろうって考えると、おいしくお酒をいただき、ゆっくり食べることだ。

奥歯が抜けたことで考えはじめることができた。

いやでも、奥歯が抜ける前に気づくべきだった。
できることは残っている歯を大切にすること。
そして毎日の記録をきちんととっていくこと、

カラダの調子、食事のときに感じる香り、料理の彩り、流れる時間、今この瞬間を味わう。

そのときにあった方法を探してみることで、歯を大切にしやすくなり、自分が自分であることを楽しめるようになる。

その視点を大切にして暮らしていこうと思う。


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