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AIに負けない!「読解力」を身に付けるには②-小学生編-

 「AIに負けない!「読解力」を身に付けるには①-幼児期編-」の続きになります。

 こちらを読んでいない方は、ぜひ先に読んでいただけると今回の記事がわかりやすくなると思います。


読解力はいかにして身に付けるのか -小学生編-

 いよいよ今回は小学生編。子どもの読解力の乏しさを実感し、どう教えればよいのかに最も悩む時期ではないでしょうか?


 「意味がわかって読める」子どもに育つために、小学生のうちに身に付けたい力と身近な大人にできることを「AIに負けない子どもを育てる」(著 新井紀子)から紹介していきます。

 今回も、筆者が主観と論理から導き出したことに加えて、僕の主観や教師の経験も踏まえて自由に書きますので、参考になるところだけを切り取って読んでいただければと思います。悪しからず…。


➣子どもの発達について

 まず前提として認識しておきたいことは、子どもたちの発達は実に分散されており、個人によって様々であることです。特に低学年では、上手に字が書けない子、落ち着かない子、他の子の身になって考えられない子、教師の指示の聞けない子は、ごく普通にいて、それが顕著に表れます。

 筆者は、

「子どもが標準以上に発達していないと、保護者は『自分の育て方に問題があったのではないか』とすぐに落ち込む。が、睡眠・食事・排泄に気をつけていて、ネット・ゲーム依存にさせず、十分に体を動かしていて、日々母語で話しかけているなら、親ができるのはそれくらいだと大らかに構えたほうがいい。

と、温かいお言葉をかけてくださっています。加えて「この時期の発達の早い・遅いは中学生以上の成績を左右しない」とも述べています。僕も本当にそうだと思います。

 大切なことは、定期的に働きかけて、発達の機会を見逃さずに適切な課題を与えることで、他の子との差を少しずつ縮めていくこと。そうすれば、高学年になると発達の差は縮まっていきます。


➣書くことについて

 低学年の頃は「見守る」ことが特に重要です。まずは、長く書くことが苦痛にならない持ち方で鉛筆を持ち、マスの中におさまるように丁寧に字を書けているかを見守ります。濁点や半濁点、「きゃ、きゅ、きょ」などの拗音、「きっと、やっと」などの促音、「おかあさん」などの長音、「コーヒー」などの長音符はつまずく子が多いです。焦らず、諦めずにほどよい距離で見守り、手助けをしていきます。𠮟りつけたりドリルをさせすぎたりして、勉強への苦手意識を植え付け、自己肯定感が下がるようなことにならないよう気をつけたいところです。

 中学年では、少しずつ穴抜けプリントを使う機会を減らし、高学年にはリアルタイムで黒板が写せるようにしていきます。

 そのため、低学年では書くことへの抵抗を無くしつつ、「速く正確な字」を身に付けていく基盤をつくることが大切ではないでしょうか。


➣読むことについて

 読むということは、みなさん実感があるように読解力を身に付ける上で大切なことです。幼児期の絵本の読み聞かせから始め、中学年には自分で読書をするように奨励していきたいところです。読書が苦手な子は、前の日に習った各教科書を読むことを勧めていきます。

 中学年では国語以外の科目、特に社会や理科の教科書を音読するのも良い経験となります。この時期の教科書からは、「~とは、・・・である。」のような定義がたくさん出てきます。このような個所は繰り返し音読をしていきます。

 高学年では、新聞のニュースにも触れるよう奨励するとさらに効果的です。いくつかの記事を用意し、興味のある記事を選ばせて読ませるのが良いそうです。

 僕は子どもの頃、読書嫌いでしたが、社会人になって少しずつ本を読むようになり、今はとても好きになりました。それに伴ってか、読解力もついてきたような気もしますし、世間や世界のニュースにも興味を持つようになりました。(これをもっと早くやっておきたかった笑)

 ここから分かるように、読解力は国語で身に付けるだけでなく、社会や理科を学ぶ中でもかなり身に付いていきます。子どもたちの興味のある分野から知識を広げていくと良いですね。


➣説明することについて

 読解力が身に付いているかの1つのバロメーターになるのが、「説明できるかどうか」ではないでしょうか?筆者は「わからない人がわかるように説明できたときに、初めて『わかった』なのです」と言っています。

 低学年では、主語・述語・目的語を使って、見たことを短い分で説明する練習をします。「パパがおすしを食べた」のような簡単な文章も、見たことの説明ですよね。中学年になると、観察や実験、社会見学など、見るものが少しずつ難しくなっていきます。しかし、ここも低学年と同じで、見たことを正確に文章にすることを大切にします。

 家や学校であった出来事を話すだけでも説明の練習になるので、親は興味をもって子どもの話に耳を傾けることが大切なんだそうです。

 高学年では、どうして夏から秋にかけて頻繁に台風がくるのか、といった論理的な説明ができるようになると望ましいと筆者は述べています。また、算数や理科、社会で扱われる定義や専門用語を覚えていても、意味を理解していない子も多くいます。定義が出てきた時に、「~とは」という言葉で繰り返し説明する練習をすると良いそうです。

 なんだか高学年で一気に難しくなった気がしますね。それだけ、低・中学年での経験や積み重ねが重要になりそうです。


➣暗記することについて

 中学年からは、生活科の学習が社会や理科に分かれます。生活科という自分の生活体験の枠を超えて、社会的な「抽象概念」へと枠組みを広げていく時期です。自分中心の世界で生きてきた子どもたちにとって、この「自分の枠を超える」という概念は非常に難しいところ。

 しかし、この時期に穴抜けプリントやドリルなどの暗記に頼りすぎると「論理だけで考えぬく力」が身に付いていきません。テストの点数などでプレッシャーをかけすぎると、成績が良い子ほど暗記で何とかしようとしてしまいます。暗記で良い点を取ると、その成功体験を繰り返し、論理的に考えることから逃げてしまいます。筆者は、暗記以外の方法で学べなくなると、この後の伸びしろが小さくなるので注意が必要だと述べています。

 高学年では、漢字・計算テストや単元末テストを乗り切れても、期末・学年末テストの成績が振るわない子が出てきます。この場合、暗記とドリルに頼り切っている証拠だと言えます。上記の「書くこと」「読むこと」「説明すること」といった基礎的なスキルの部分を1つずつ見直していくと良いそうです。


まとめ -「論理で考える」が重要-

 僕は「読解力と言えば読書」というくらい、「読むこと」に気を奪われていましたが、ここまでをまとめると、単に読むことを頑張ればよいわけではないことが分かりました。特に「説明すること」は、読解力を育てる上で大事な役割を担っています。子どもたちの口で、言葉で、どんどん説明する機会を増やしていきたいですね。

 僕の経験からも感じるのですが、小学校4年生から学習内容が一気に難しくなっていく実感があります。筆者は「小学校4年生くらいから学力に差が生じやすくなる」と言っています。ここで、ドリル・暗記型になるか、論理で考えられるかの分かれ目がきます。子どもは必ず暗記型に頼ります。論理で考えるよりも、暗記の方が楽で成功しやすいからです。

 しかし、その成功は目先のものでしかありません。筆者は、

重要なのは小学生時代に「暗記すれば点が取れた」「論理的に考えるより人の真似をした方が楽だった」という成功体験をなるべく積ませないことです。

と述べています。本当にその通りです。

 ただ、やっぱり目に見えて成長を実感できるテストの点数に目がいってしまいますよね。論理を身に付けるにはやっぱり時間がかかります。目先の結果だけを追い求めていては、子どもも暗記に頼るに決まっていますよね。大人も子どもと一緒になって根気強く向き合う必要がありそうです。テストの点なんてなければいいのですが(あまり大きい声で言えませんけど…)。


 端的にまとめるつもりが、今回も長文になってしまいました。本書では、小学校低・中・高の成長段階に分けて、全部で27個も助言を授けてくれています。ここでは書ききれないこともたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください!



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