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記事一覧
ジンジャーハイボールと彼 21 ~最終話②~
〜最終話①の続き〜
日下部さんに住所を送ると、すぐに“そんなに遠くないね。20分くらいで着くから”と返事が来た。
日下部さんは、ほとんどスタンプを使わないのに、これ以上は泣かせてはいけないと思われたのか珍しくスタンプも届いた。
大丈夫かな。なんだか、面倒くさい女になっている気がする。
私だって、今までそんな素振りしてこなかったのに、変な質問して勝手に泣き出して、こっちにまで来てもら
ジンジャーハイボールと彼 20 〜最終話①〜
小樽市の小樽協会病院は海の近くにあった。最寄りの南小樽駅は、駅舎が古く趣のある雰囲気を醸していた。
そこから歩いてすぐだったので、道を間違えることなく見つけることが出来た。
お見舞いの花は、長い入院ではないと聞いたので小さなサイズのものを用意していた。
「女将さん、来ちゃいました」
「あら!百合ちゃん、本当に来てくれたのかい」
「はい、息子さんからお店で聞いてから、行かなきゃと思
ジンジャーハイボールと彼 18 〜新しい感情〜
さっぽろ駅近く、東急百貨店のテラスでリゾートビアガーデンが開催されていた。
リゾート地をイメージしたおしゃれな雰囲気で料理もそれなりのものが出るだけあって、通常のビアガーデンよりお値段が高めに設定されている。人気があるのは明らかだった。
日下部さんと伊藤さんが先に席をとっておいてくれていた。
「香澄、こっちこっち!」
伊藤さんが笑顔でこちらに手を振る。横の日下部さんも笑顔で軽
ジンジャーハイボールと彼 17 ~Z世代の育成~
外から職場に入ると気温の変化に体が追い付かない。この季節に黒いパンツスーツの上下はきつい。
今日は、少し職場に行く足が重かった。
先日、職場から届いたメールに私が担当している新人が大きな失敗をしたとの連絡があった。
お客様への謝罪についてと、今後のためにその後輩へ指導をするよう長谷川さんから連絡が届いていた。
私にとって、仕事はまだ好きだと思えるものだった。悩むことはあれど辞めたいと
ジンジャーハイボールと彼 16 〜ピエロになった〜
二人は夏休みに入ってからランチによく来ていた喫茶店に入った。
そこは、今の子たちが言うところのエモい(エモーショナル)雰囲気をした、カフェと言うより喫茶店と言いたくなる店だった。
大手コーヒー店には、生徒たちが部活後に来ていることや親御さんが来ていることもある。
ここは人通りが少なく、車でなければ来られないので二人にとって穴場の店となっていた。
「昔風ナポリタンと水出しコーヒー」
「え
ジンジャーハイボールと彼 15 〜疑惑の2人〜
Instagramは友人と遊びに行ったときの様子や外食時の料理を載せることが多かった。
最近では、購入した観葉植物や部屋のインテリアを載せることもあった。
もう一つ、友人とは一切つながっていない裏アカウントがあり。そこには大好きなハン・ヘギョの画像やドラマの神回のシーンを載せていた。
いつの日か、コメントが想像以上に届くようになった。
“このシーン大好き💛”
“いつも良い画像あ
ジンジャーハイボールと彼 〜第九話〜
六月中頃には珍しく、暑い日が続いていた。
急にきた夏の気温、この時期の北海道には珍しく30℃近くの日が続いた。
月末となり、徐々に気温も下がったため今日は過ごしやすい日となりそうだった。
だが、俺の鼓動は気温の下降とは裏腹に、どんどん上昇している。初めて教壇に立ったとき以上に緊張していた。
まさか、憧れの人とデートをすることになるなんて。
今日のデートコースは、南区の定山渓と中山峠
ジンジャーハイボールと彼 第八話
今朝は夏が近いことを感じさせる気持ちの良い青空だった。気づくと、季節は六月になっていた。今年の春は、桜を見に行く機会も作られずに終わってしまった。
「皆さんおはようございます。とうとう六月です、忙しさで心がなくなってしまうこともあるかも知れません。上手く発散し、楽しんで仕事に挑めるようにお互いに励ましあって、体調にだけは気を付けていきましょう」
上司の長谷川千夏さんが背筋をピンっと伸ばして