コロナ後遺症になった時点を0歳としてもう一度生まれたことにしている
実年齢で考えるとまるで退化
体は動かないし頭は働かない。箸が持てない日なんてザラにあるし、1+1がわからない日もあります。
これまでの記事を読んでくださった中に「そんなこともできなくなるのか!」と驚かれた方がいるかもしれません。僕も最初は「こんなこともできなくなってる!」とショックでした。
せっかく身につけたはずの今までの能力がほとんどリセットされてしまったんですから当然です。ステータスをカンストさせたはずなのにレベル1の初期装備。
ある日突然そんなことになったら誰でもつらい。これからもずっと成長していけると思っていたのに退化している。取り戻せそうにもない。普通はここで落ち込んだままなんですが、
赤ん坊の頑張りに勇気づけられた
生まれたてってめちゃくちゃ頑張ってるじゃないですか。よくわからない世の中、戸惑うばかりで何もできないのに。諦めるという選択肢なく必死に泣いている声を聞いて感動しました。命がけで表現していて、迫力がすごい。これぞ生命の輝き。
正直、今の寝たきりの状態だと僕は、いつでも出歩ける一般の方にはあまり共感できません。自分とかけ離れすぎているからです。その点、赤ん坊になら共感できました。動けなかったり会話が無理だったり、出来ないことが似ています。よく考えたらとても似ていました。
一般の方からすると逆に赤ん坊が違和感ですよね。少なくとも、自分とは違う。重ねて考えることもあまりない。あの子何も出来ないよね、なんて赤ん坊に対して思いませんよね。年齢が違いすぎるし、赤ん坊はそういう生き物だと元から知っているからです。一般の方と赤ん坊ぐらいの違いが、一般の方と今の僕との間にはあります。コロナ後遺症患者もそういう生き物だと思ってもらえたほうが、僕個人としては楽です。
0歳にしてはよくやってる
僕はコロナ後遺症患者として0歳なんだと考えるだけで、スーパーハイスペックになりました。自分でごはん食べてトイレ行って寝れるなんて天才です。まだコロナになって0歳なのに要領をつかんですごい。体調に振り回されるなんて当然のこと。
大人ならある程度赤ん坊の困りごとの解決法がわかるけど、コロナ後遺症のほうは医者はおろか、世界中まだ誰も解決法を理論上すら見つけられていないんです。
実践なんてもっと大変です。赤ん坊が寝るはずなのに寝ない、オムツでもミルクでもないのに泣き止まない、なんてよくあることですよね。コロナ後遺症の重症患者の実態は想像を絶する大変さですが、今までの人生を頑張ってきたぶん、赤ん坊よりはリーチがあります。我ながらよくやってると思います。
1歳~4歳。うん。えらい!
新型コロナウイルスが流行したのは2020年頃ですから、どんなに先輩でも4歳です。みんな、保育士が存在しない保育園のような世界で修行を積んでいます。この保育園には自分しかおらず、友達はできません。症状すら一貫しないので同じ病気同士でも共感が難しく、第一自分のことで精一杯なのでお互い協力が得られません。
それでも季節が一周以上して、0歳の時よりはなんとか自分の体の声が少しなら聞けるようになってきました。偉い人が運動しろってアドバイスくれたけど真に受けてやったらヤバそうな感じがするからやめておこう、でも今は動けそう、みたいな要領やタイミングがちょっとずつ掴めてきました。
自分の保護者も、保育士も、医者も研究者も操縦士も、自分が一手に担っています。えらい。立派すぎる。もっと失敗したっていいぐらいです。
老後の予習ともいえる
僕は自分を0歳だ1歳だと思うことに何ら抵抗がないのですが、保育園児はちょっと抵抗が⋯⋯という方には、現在の状況を老後の予習に利用するのもおすすめです。
これだけ修行を積んでいれば、実際に老後を迎えて老人ホームで暮らす頃には無双できそう。同年代と比べて心身の不調や寝たきり生活に身を任せることがたぶん大得意になっていることでしょう。人生2周目みたいになると思います。
そんな未来があったら楽しいなと思いつつ、コロナ後遺症になった時点を自分の紀元として今日も生きています。
せっかくもう一度生まれたのだから、あのままなら選ばなかったような新たな人生を謳歌したいです。
また明日。