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読んだ・観た・聴いた

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本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、…
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#内田百閒

カール・マルクス著 長谷部文雄訳 『賃労働と資本』 岩波文庫

たぶん「価値」というものは観念であって、それを恰も実体であるかのように認識するところから…

熊本熊
6か月前
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内田百閒 『蓬莱島余談 台湾・客船紀行集』 中公文庫

昨年後半に百閒を随分読んで一旦は打ち止めにしたのだが、何かの拍子にこんなふうに目につくも…

熊本熊
2年前
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山田風太郎 『戦中派不戦日記』 角川文庫 その2

昭和20年は夏を境に多くの人の立場が大きく変化した。人は社会性のある生き物だ。立場で物事を…

熊本熊
2年前
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山田風太郎 『戦中派不戦日記』 角川文庫 その1

昭和20年の日記。内田百閒の『東京焼盡』と時期が重なる。何故かわからないが、あの戦争のこと…

熊本熊
2年前
11

内田百閒 『御馳走帖』 中公文庫

「御馳走」といって何を思い浮かべるか、というところにその人の人となりとか生き方のようなも…

熊本熊
2年前
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内田百閒 『立腹帖』 ちくま文庫

鉄道に纏わる随筆を集めたもの。腹を立てたことばかりを書いたものではない。個々の作品の元に…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『百鬼園随筆』 新潮文庫

本書は内田百閒の随筆集として最初のものだそうだ。初版は昭和8年10月に三笠書房より刊行されたとある。昭和初期の随筆ブームの先駆けとなった作品らしい。古い作品を読むといつも思うことなのだが、人の考えることというのは多少時代を遡ったところでそれほど変らない。それは『徒然草』(岩波文庫)を読んだときにも感じたし、モンテーニュの『エセー』(岩波文庫)を読んだときにも思った。時代と共にテクノロジーをはじめとして様々な変化が絡み合って生活様式が変容してきたが、新たなテクノロジーを考案する

内田百閒 『ノラや』 中公文庫

生き物を飼ったことがない。子供の頃は生き物が嫌いだった。怖かった。犬猫も虫も爬虫類も魚も…

熊本熊
3年前
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蛇足『阿房列車』

どうでもいいことなのだが、『第一』と『第二』に収載されているものの初出はいずれも「小説新…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『第三阿房列車』 新潮文庫

本でも映画でも続き物というのは難しいと思う。受け手の側はどうしても既読・既視聴の印象の残…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『第二阿房列車』 新潮文庫

ざっくりと『第一』の二、三年後のようだ。やはり国鉄現役職員の平山氏が同道しているが、職務…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『第一阿房列車』 新潮文庫

また内田百閒だ。この調子だと今年は内田で暮れる。以前、だいぶ若い頃、どこかの書店で立ち読…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『冥土・旅順入城式』 岩波文庫

『東京日記』の後に読んだので、どうということなく読了したが、いきなり本書を手にしていたら…

熊本熊
3年前
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内田百閒 『東京日記 他六篇』 岩波文庫

何かの対談記事だったか講演だったかで俵万智が歌は順番が大事だと語っていたのを思い出した。30とか50のまとまった数の歌を投稿したり、連歌を詠んだり、歌集を編むときのことだ。順番を変えることで全体も個々の歌も変わったものになるというのである。 「朝三暮四」は「目前の違いにばかりこだわって、同じ結果となるのに気がつかないこと」の意で用いられる言葉だが、「朝に三つ、暮れに四つ」と「朝に四つ、暮れに三つ」では大違いということが生活の中にはある。 音楽のアルバムがレコード盤だった時