熊本熊

1962年 埼玉県蕨市生まれ 今思うことのあれこれの備忘録 忘れちゃってもいいんだけど なんとなく、ね。

熊本熊

1962年 埼玉県蕨市生まれ 今思うことのあれこれの備忘録 忘れちゃってもいいんだけど なんとなく、ね。

マガジン

  • 読んだ・観た・聴いた

    本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、自分の中でつながっていることに間違いはない。たまに観る映画のことも同様に。

  • 2024年

    2024年に投稿した記事

  • 帯に短し襷に短歌

    素朴に歌を詠むということへの憧れがある。素朴に詠めるようになりたいと思うのである。とにかく詠んでみないことにははじまらない。「こんなものは短歌とはいいません」なんて言われたっていいじゃないか。

  • 怪我病気備忘録

    単に備忘録として。

  • 2023年

    2023年に投稿した記事

最近の記事

蛇足2 『すべての、白いものたちの』

白とか命とかの話を読んだら、それを汚すもののことが思い浮かんだ。わざわざ汚い話を書き記さなくてもよさそうなものだが、書きたくなってしまうのである。我ながらガキだなぁ、と思う。ジジイなのに。 美しい色艶で、食欲を唆る香りを漂わせた、これ以上は望むことができないほど美味いものを食べても、結局は糞になる。なんと残酷なことだろう。残酷、己の低俗と無力を実感し確信する過程を人生と呼ぶのかもしれない。世に薄っぺらなキレイゴトが溢れているが、あんなものを本気にしているうちは生きることはま

    • 蛇足1 『すべての、白いものたちの』

      blancとblackは同じ語源であるとのことだが、英語(ゲルマン語系)のblackの語源がフランス語(ラテン語系)のblancだという。語源としては「色がない」ということで、ないことを白で表現するか黒で表現するかという違いだそうだ。 見出しの写真は佐賀県小城市にある須賀神社だ。撮影したのは2015年12月3日。国立民族学博物館友の会の学習会で甘味の日本伝来を考えるという企画があり、主に佐賀県内を巡った時のものである。この写真を撮影している立ち位置に村岡羊羹本舗があり、代表

      • ハン・ガン 著 斎藤真理子 訳 『すべての、白いものたちの』 河出文庫

        「たまごって白くて丸いよね」と言うとき、その「白」や「丸」は人によって違うはずだ。「白」はどのような白さなのか。質感はどうなのか。「丸」はどのような丸味なのか。そもそも「たまご」は何のたまごなのか。「ねぇ、タマゴ買ってきてよ」と言われて、どこで何を買うか。スーパーでパックに収まって並んでいる鶏卵か、鶉の卵か、まさかエスニック食材店で「特別入荷」のダチョウの卵を買うなんてことは想像しないだろう。一個で約60人分のオムレツができるらしいので、状況によってはあり得ないことではないの

        • 東直子 『とりつくしま』 ちくま文庫

          『広辞苑』を紐解いてみたら、「とりつくしま」という見出し語はない。「とりつく【取り付く】」という見出し語の下に「取り付く島もない:たよりとしてすがる手がかりもない。云々」とあった。この辞書では「とりつくしま」という何か特別に意味のある言葉ではないらしい。 よくオカルト映画とかSFに登場する化け物は、なんだかんだ言っても人間の姿をベースにしていることが多い気がする。たぶん、そうじゃないと怖くないからだろう。例えば、古井戸から貞子が出てくると怖いけれど、古井戸そのものが貞子であ

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        • 2024年
          87本
        • 読んだ・観た・聴いた
          247本
        • 帯に短し襷に短歌
          147本
        • 怪我病気備忘録
          10本
        • 2023年
          52本
        • 2020年
          30本

        記事

          山川方夫 著 日下三蔵 編 『長くて短い一年 ショートショート集成2』 ちくま文庫

          総じて『ショートショート集成1』よりも個々の話が長めになっている。長くても面白ければいいじゃないか、と思わないこともないが、何事もサイズというのは思いの外大きく作用するものだ。昔、LPレコードのジャケットがそのままCDのジャケットになると「こんなはずじゃ、、、」というのはよくあった。それは同じ画像の話だが、文章でも尺というのは読後感に影響があるのではないか。そんなことを思いながら本書を読了した。 表題作品集の『長くて短い一年』は14篇の短編を内容の季節感で12ヶ月に割り振っ

          山川方夫 著 日下三蔵 編 『長くて短い一年 ショートショート集成2』 ちくま文庫

          山川方夫 著 日下三蔵 編 『箱の中のあなた ショートショート集成1』 ちくま文庫

          たまに行くマッサージ店が入居している駅ビルにある書店で購入。ここはいつも何かしらミニ企画のようなことをやっていて、そこに並んでいるものを手に取ってしまう。このマッサージ店に足を運ぶようになったのは5月に入院した後のことなので、まだ習慣になるほどではないのだが、ここでこんなふうに購入した本を読んで既に何本かこのnoteを書いている。 あまり本を読むほうではないのだが、特にこういう文芸系のものを読むと、若い頃にはこういうものを楽しめなかっただろうと思う。今だから、平凡なりにそれ

          山川方夫 著 日下三蔵 編 『箱の中のあなた ショートショート集成1』 ちくま文庫

          たまに短歌 いろはにほへと

          あかさたないろはにほへとちりぬるを 一夜人世に出逢う必然 あかさたな いろはにほへと ちりぬるを ひとよひとよに であうひつぜん 9月20日に日本民藝館で林家たい平の講演を聴いた。芹沢銈介の企画展が開催中で、たい平が芹沢への想いを語るというものだった。話自体は他人事で、一緒に聴いたツレは「あれは、ちょっとねぇ」と不満気だったが、それはそれで私は面白いと思った。 たい平はもともと教師になりたかったのだという。高校生の時の担任がたまたま東京藝術大学の油絵科を卒業した人で、そ

          たまに短歌 いろはにほへと

          たまに短歌 誰もいなくなる

          思うこと口に出したら罪になる やがて哀しき浮世の暮らし おもうこと くちにだしたら つみになる やがてかなしき うきよのくらし 職場でパワハラ・セクハラ研修があった。講師は大手法律事務所の弁護士。1時間半たっぷり語った。実際の訴訟で認定された損害賠償額は数十万円規模が多いようなので、訴訟にかかる費用を考えると、その手の訴訟はカネの問題ではなさそうだ。しかし、刑事事件となる場合もあるので、そうなるとタダ事ではない。尤も、刑事犯になることをどのように捉えるか次第だが。 セク

          たまに短歌 誰もいなくなる

          夏目漱石 『こころ』 新潮文庫

          『痴人の愛』とともに手元に残った一冊。 若いなぁ、というのが本書を読んでの感想。漱石は49歳で亡くなっているので、若いには違いないが、漱石のみならず漱石が生きた時代もそういうものだったのだろう。自分が初めて漱石を読んだのも若い頃だ。そのとき何を思ったのか、まったく記憶にないが、あらすじには覚えがある。しかし、今こうして再読すると、本書が執筆された時代と今との間につながるものが見えてくる気がする。 学者ではないし、その時代を生きたわけでもないので、単なる感想に過ぎないのだが

          夏目漱石 『こころ』 新潮文庫

          たまに短歌 同窓かい?

          「よ、しばらく」親しき会話交わしつつ しばらくかかる記憶発掘 よ、しばらく したしきかいわ かわしつつ しばらくかかる きおくはっくつ 先日、中学の同窓会に出席した。実家が中学時代から変わっていないので、そこに郵便で届いた案内に返信することができた。担任の先生を含めて14名が出席した。公立のごく普通の中学で、卒業後も付き合いのある人はひとりもいないので、こういう場から声がかかることが滅多にない。その後の進路でも後々まで続く付き合いがないので、結局は現在進行形の付き合いしか

          たまに短歌 同窓かい?

          たまに短歌 滋賀県長浜市・彦根市 2024年9月29日から10月2日 備忘録エンドロール

          いつになく記し置きたいこと多く 駄文重ねる秋の夕暮れ いつになく しるしおきたい ことおおく たぶんかさねる あきのゆうぐれ 見出しの画像は地元在住の松居清恵さんが趣味で描いたスケッチ画の作品「長濱浪漫ビール」の絵葉書。10月1日に歌を詠んで10月2日に投函。10月7日に手元に届いた。 わずか三泊四日だったが、長浜と彦根で楽しい時間を過ごすことができた。関係者の皆様に感謝する。noteのネタとしては他に琵琶湖が人類よりも古いことも取り上げようかと思い、歌も一応用意したが

          たまに短歌 滋賀県長浜市・彦根市 2024年9月29日から10月2日 備忘録エンドロール

          たまに短歌 滋賀県彦根市 2024年10月2日 主流派の矜持

          昔から暮らしのなかで城仰ぐ 背筋が伸びて遠くが見える むかしから くらしのなかで しろあおぐ せすじがのびて とおくがみえる 宿をチェックアウトし、長浜駅を午前9時5分に発車する普通列車に乗る。米原駅で加古川行きの列車に乗り換えて、午前9時28分に彦根駅に着く。そのまま彦根城へ向かって歩く。天守が間近に迫ったところに滋賀縣護國神社があったので、とりあえず参拝する。神社の裏手に佐和多聞櫓を再現した建物があり開国記念館として無料で公開されている。平日午前中の中途半端な時間とい

          たまに短歌 滋賀県彦根市 2024年10月2日 主流派の矜持

          たまに短歌 滋賀県長浜市9 2024年9月30日 絵に描いたような安直

          神仏出世大名天下人 賽銭だけであやかるつもり かみほとけ しゅっせだいみょう てんかびと さいせんだけで あやかるつもり 天下人一夜限りの宴にて 明日は落武者夢の随に てんかびと ひとよかぎりの うたげにて あすはおちむしゃ ゆめのまにまに 見出しの画像は地元在住の松居清恵さんが趣味で描いたスケッチ画の作品「木杭に波打つびわ湖畔に佇む秀吉の居城・長浜城」の絵葉書。9月30日に歌を詠んで10月1日に投函。10月4日に手元に届いた。 長浜城は、1573年、羽柴秀吉が城持

          たまに短歌 滋賀県長浜市9 2024年9月30日 絵に描いたような安直

          たまに短歌 滋賀県長浜市8 2024年10月1日 観音の里

          観音を守る人在る里に住む 人の居る里心ある里 かんのんを まもるひとある さとにすむ ひとのいるさと こころあるさと 白洲の『かくれ里』にはこうある。 私の場合は、菅浦から長浜市街へ向かう途中で高月に立ち寄った。その前に、長浜市街から余呉湖に向かう途中、木之本駅の踏切を渡ってすぐのところに大きな寺があるのを認め、帰りに参詣することにしていた。菅浦から高月に至る前にその浄信寺にお参りし、門前の角屋という菓子店で菓子とコーヒーをいただいた。東京で暮らしているから尚更そう感じ

          たまに短歌 滋賀県長浜市8 2024年10月1日 観音の里

          たまに短歌 滋賀県長浜市7 2024年10月1日 かくれ里

          誰が為に仏を守り神祀る 誰が為でなく我が為でなし たがために ほとけをまもり かみまつる たがためでなく わがためでなし ここで竹生島と菅浦の位置関係を確認しておく。琵琶湖の北側の湖畔はかなり入り組んでいる。43万年前に形成された世界屈指の古代湖の一つで、地形としては丸くなってもよさそうなものだが、日本列島周辺の地殻活動はよほど活発らしい。湖底の地形も複雑だ。湖の最深部というのは、漠然と真ん中あたりだと思い込みがちだが、高島市を流れる安曇川の河口沖で、水深104mである。

          たまに短歌 滋賀県長浜市7 2024年10月1日 かくれ里

          たまに短歌 滋賀県長浜市6 2024年10月1日 スガへいってくる

          入り江にて幾歳続く営みを 沖の白波ただ見つめおり いりえにて いくとせつづく いとなみを おきのしらなみ ただみつめおり 再び梅棹忠夫の『行為と妄想』から引用する。 これは先日noteに書いた同書からの引用部分のすぐ後に続く文章だ。竹生島に行こうと思うなら、菅浦にも足を伸ばそうと思うのが自然かもしれない。しかし、私はそう思わなかった。地図を見ると菅浦に続く道が一方通行なのである。おそらく公共交通機関では行くことができないだろうし、レンタカーを借りたとしても、不案内の土地

          たまに短歌 滋賀県長浜市6 2024年10月1日 スガへいってくる