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君と出会って

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君と出会ってⅦ

君と出会ってⅦ

「なーに読んでるんですかっ!」

○:うわっ⁉︎
あ、井上さんか

井:小説ですか?

○:うん、まぁ
読んでみてって勧められてね

井:へぇ〜

○:井上さんも本読むって言ってたよね?

井:たまにです
最近はアニメばっかりなので!

○:そっか

井:にしても、○○さん本読んでるの意外と似合いますね?

○:バカにしてる?

井:とんでもない!
スーツ姿で本読んでるの雰囲気あっていいなって思い

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君と出会ってⅥ

君と出会ってⅥ

11:30
集合時間の30分前。
お店の前で集合は恥ずかしいからと近くの公園で集合することになっていた。

少し早く来すぎたかもしれないな

そう考えながら周囲を一度見渡すと、僕が立っていた噴水から少し離れた木陰にあるベンチに写真の彼女はポツンと座って本を読んでいた。

○:あの…

さ:は、はいっ…!?

○:さくさん…ですか?

さ:あ、えっと…は、はい…
○○…さん…ですよね…?

○:○○

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君と出会ってⅤ

君と出会ってⅤ

ピピッ

井:今日はありがとうございました!
長居しちゃってすみません

○:大丈夫
僕も井上さんとたくさん話せてよかったよ

井:私もです!

○:じゃおやすみ

井:はい!今度お洋服洗ってお返ししますね!
おやすみなさい!

結局、また夕飯を食べるまで一緒にいた。
案外時間というものは過ぎるのが早いらしい。
井上さんは僕の貸した白いシャツと黒いパンツを履きこなして僕とファミレスに行った。

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君と出会ってⅣ

君と出会ってⅣ

翌朝を迎えた。
とりあえず昨日するべきことは全部してから眠った。
井上さんをベッドに寝かせていたこともあって昨晩は床に眠ったせいで体がガチガチに痛い。
起き上がって伸びをしてから机の上に置いておいた水を確認したが減っている様子はない。
今も彼女はぐっすりと眠っている。
だから井上さんが起きた時のためにインスタントの味噌汁でも作ることにした。

――

○:熱くない?

井:はい…大丈夫です…

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君と出会ってⅢ

君と出会ってⅢ

ピロンッ

「割となんでも読むんですけど、ミステリーが多いと思います。」

○:ミステリー…

井:ん?なんか言いました?

○:え?あ、いや。
なんでもない。

井:そうですか

○:うん

井:そうだ
今日は焼肉を予約しました!

○:お、焼肉
いいね

井:でしょ!
食べたいなぁーってずっと思ってたんです!

○:僕も久しぶりに食べられて嬉しいかも

井:よかった〜
ほら、早く行きましょ!

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君と出会ってⅡ

君と出会ってⅡ

「いいねが届きました」

1ヶ月やってきて初めての通知。
僕は恐る恐る相手を確認した。

「さく 28歳 東京」

本が好きです。
休みの日は一歩も外に出ないことが多いです。

簡素なプロフィール文に顔の写っていないプロフィール画像だけ。
見たところいいねの数もそれほど多くない。

きっとアイツなら

「やめとけ!そういう人ほど上手く行かずに終わりだし、もし上手くいって会う事になっても顔見たらお前

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君と出会ってⅠ

君と出会ってⅠ

前の彼女と別れてからもう数年が経つ。
就職してからお互いに忙しくて、すれ違うことも多くて。
このままじゃダメだと思って僕から別れを切り出した。

初めは嫌だ別れたくないと何度も言っていた彼女も途中で諦めてそのまま別れることになった。

同:お前さ、そろそろ彼女とか作らないの?

○:うーん、まぁ歳も歳だしそろそろ結婚とかも視野にしなきゃいけない歳だよね…

同:なんかないの?

○:いや、まったく

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