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#詩
【詩】かがみのせかいのいりぐち
鏡面世界の入り口は
或る夏の日の物語
なかなか彼を構ってくれなくなったお母さんに嫌気が差して
彼は少し家出することにしたのです
家出先はお風呂場の中
ふと足を滑らせて浴槽に飛び込んだ彼は
左右全てあべこべの
不思議な世界に迷い込んでいたのです
お風呂場を飛び出した彼の目の前には
やはり左右あべこべの部屋が広がっていて
しかしどこを探してもお母さんはいませんでした
でもそのかわりに
初めて
【詩】妖怪フラストレーション
僕は今
フラストレーションの妖怪だ
当たり前な毎日の中で
少しずつ膿ができていくだけ
気づいたってどうしようもなくて
きっと僕が曖昧にしていたことが
今このからだを縛っているだけさ
「どうしようもないほどダメな僕だ」
とでも呟けば救われるか
やるべきことに手を出せないだけで
手を出せばほんとすぐなのにね
僕は今
フラストレーションの妖怪だ
特別な事情なんて無くて
中二病に成りたがってるだ
【詩】あらゆるところで輝けるもの
上を見ると、星があった
綺麗とはいえないけれど、力強く瞬いていた
前を見ると、星があった
同じように、力強く瞬いていた
下を見ると、星があった
どこを見ても、星があった
そんなわけ、ないと思った。
星に、雲がかかった
どの星にも、雲がかかっていた
雲に、囲まれていた
必死で抜け出そうとして、手でかき分けても、雲は全く動かなかった
気がつくと、あらゆる方向から雨に打たれていた
【詩】彼女は物語を大事にしていた。
彼女は物語を大事にしていた。
その先に物語のある世界を選んで、歩む道を決めていた。
自らが綴られる、お気に入りの物語。
どんな危険や困難も、其の物語に組み込まれさえすれば、
彼女は満足していた。
僕は彼女の物語から外れてしまったから、
此れから話すことについて、真偽の程はわからない。
けれど、きっとそうだったのだろうと思う。
彼女はいつも、ここではない世界を見ていた。
好きな漫画
【詩】死ねない私が生き恥を晒す理由、そして私の絶望と希望
私にとっての絶望は、人から産まれる。
人との断絶は、私にとって、死に値する。
だから、私と繋がる人がいなければ、
私は直ぐにでも、生きることを止めるだろう。
私が死を意識する時は、私の愚かさを晒した時だ。
「この程度の人なのか」
「こんなこともできないのか」
「こういうことしてしまう人なんだ」
「残念だね」
例え其れが事実で有ろうと無かろうと、
いや其れが事実であるからこそ、
私は其れを深
【詩】産まれる言葉に祝福を
君が産もうとした言葉は
確実に誰かを傷つける
君が育てようとした言葉は
確実に誰かを妨げる
君が大切にしようとした言葉は
確実に誰かを蔑ろにする
それでも
君が産もうとした言葉は
確実に誰かを微笑ませる
君が育てようとした言葉は
確実に誰かを支えてくれる
君が大切にしようとした言葉は
確実に誰かを愛してくれる
あなたの言葉が、
可能な限り、
幸せに紡がれますように