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演劇感想(~2023)

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ハカランダの犬『暴力(仮)』 の感想

ハカランダの犬『暴力(仮)』 の感想

構成/森田諒一、ドラマトゥルク/大塩誠(会場:おんがくのじかん)
レストランでのライブ。演奏と友人達との食卓が交互に描かれる。が、そこに暴力を語る謎の存在が現れて。

おお、やったぞ変な演劇だ。
食事とライブと暴力論が断片化されランダムに配置されている。
楽しい食事風景や絵しりとりなど男女四人が戯れる。カップルになる前の男女の友人二組のような姿が描かれる、カレーがぬるいと文句を言ったりハンバーグを

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ザジ・ズー『ZAZI・ZOO JAPAN TOURE 2023 FINAL 』 の感想

ザジ・ズー『ZAZI・ZOO JAPAN TOURE 2023 FINAL 』 の感想

作・演出/アガリクスティ・パイソン(会場:BUoY)
フットボールの試合と同時刻に起きた悲劇、謎の連続殺人、文豪へのラブロマンス、古典アレンジ珍道中。オムニバスで描かれるカオス。

ザジ・ズーは過去にショーケース劇的で短編二本見た。作品ごとに主導するメンバーが変わる集団創作なのでテイストが違った。じゃあ、本公演はどうかというと、意外と真っ当に演劇やっている。
 今回はメンバーの故郷を巡りその地で新

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即席麺企画『メシア』 の感想

即席麺企画『メシア』 の感想

脚本・演出/山口夏寧(会場:明治大学猿楽町第2校舎1階アートスタジオ)

猟奇殺人で死刑の男。彼の支持者と批判者はドキュメンタリー監督に呼ばれる。男を取材している内に見えた男の正体とは。

過激な内容で血糊も使うので苦手な人は気をつけてください。Rー15指定、という注意書きに興味惹かれて見に行った。
 確かに、後半の男に監禁されている空間の血生臭さは良い。不快な音が響きカニバリズムが充満する。パン

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コンプソンズ『愛について語るときは静かにしてくれ』 の感想

コンプソンズ『愛について語るときは静かにしてくれ』 の感想

作・演出/金子鈴幸 (会場:OFF・OFFシアター)

古アパートに住む女はプロゲーマー。彼女は虚無な彼氏と過ごしているが、その関係に大変化が訪れる。部屋には隣人・友人・弟がやってくるが一癖ある彼らによって人間関係にカオスが訪れて、

コンプソンズらしい癖強めの人たちが入り乱れる人間ドラマ。テンポの良い会話で描かれる若者たちの生活。皆なんだか屈折してそうでオフビートな青春ドラマ。いつも通りサブカル

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大川企画『笑う』(作・演出/松森モヘー) の感想

大川企画『笑う』(作・演出/松森モヘー) の感想

作・演出/松森モヘー(中野坂上デーモンズ)、プロデューサー/大川望美
(会場:王子小劇場)

 とある異国のゲストハウス。そこには姉妹と二人の男が滞在している。街では祭りが行われているが、その国で起きた洪水による死者が弔われている。彼らは会話をするが噛み合っていなくて。

これは現代モヘー語会話劇。
噛み合わない会話はモヘーのお家芸だが、今回はよりその部分を煮詰めておりモヘー語と言うべき独特な言語

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優しい劇団『マイ・エクスプロージョン』 の感想

優しい劇団『マイ・エクスプロージョン』 の感想

作・演出/ 尾崎優人(会場:多摩川河川敷)

 嬉しいと物理的に爆発してしまう体質の少年は、無感情な青春を送ろうと決意するが 入学した高校で一人の少女と出会い・・・ 。

 名古屋の若手による東名野外演劇ツアー東京公演。
 一人芝居のはずなのだが突如草むらから女性が現れ絶叫バトル。

 叫ぶ作品を期待している東京人へのファンサービスだそうで、本編はちゃんと一人芝居でそこまでで叫ばないと前置き。

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東京学生演劇祭2023 の感想

東京学生演劇祭2023 の感想

毎年のお楽しみ、東京学生演劇祭の季節がやってきた。
ここから新たな才能が毎年登場する。昨年のは↓

全6団体、三組ずつABの2グループに分かれて上演する。
なので、AグループBグループの順番で感想を書く。

【Aグループ】

合法事務所UNION 『AZ-合わせ鏡のアイデンティティ-』
作・演出:柄澤慶
怪人と戦うヒーローAZ。ある日、助けた少女に恋をするが相棒からはヒーローに恋は御法度と注意され

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第67回岸田國士戯曲賞、候補作レビュー(どこよりも遅い!)

第67回岸田國士戯曲賞、候補作レビュー(どこよりも遅い!)

 私は主催している演劇クロスレビューという企画で毎年、岸田國士戯曲賞の候補作をクロスレビューしていた。今年もやる予定で書いていたが、一作だけ全編無料公開なしのため私しか全作読めなかった(掲載された悲劇喜劇を取り寄せて読んだ)ので、今年はポシャった。そうこうするうちに夏になったがようやく、選評が無料公開されたので世界一遅い岸田賞レビューとして掲載する。
夏休みSPだ。
勿論クロスしていないレビューな

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ゴキブリコンビナート「痙攣!瘡蓋定食」  の感想

ゴキブリコンビナート「痙攣!瘡蓋定食」  の感想

作・演出:Dr.エクアドル
7/28〜31(会場:埼玉県川口市某所)

女から分泌された体液を使うローション工場。そこに潜入したのは行方不明の女を探す男。そこで女は限界集落に行った聞き怪しげな村へ向かう。彼の脳裏には初めて出会った光景が浮かぶ。妹と共に経営していた体液クラブに現れた彼女。実は妹とは因縁のある人物で。

史上初、脚立に登って入場する演劇。
登った先には、螺旋階段状の客席があり最下層に

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第13回せんがわ劇場演劇コンクール の感想

第13回せんがわ劇場演劇コンクール の感想

若手演劇人三冠と私が名付けた三つの若手向けの演劇コンクール。それのトリを飾るせんがわ劇場演劇コンクールが行われた。

ノンジャンル色が強いこのコンクールで五団体が優勝を争う。その感想を書く。
前回の感想はこちら

TeXi’s 『夢のナカのもくもく』(東京・神奈川)
作・演出/テヅカアヤノ
 ある女性には双子の妹がいる。双子はお互いの間だけでのコミュニケーションを取り合っていて女性はその輪に入れて

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