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優しい劇団『マイ・エクスプロージョン』 の感想

作・演出/ 尾崎優人(会場:多摩川河川敷)

 嬉しいと物理的に爆発してしまう体質の少年は、無感情な青春を送ろうと決意するが 入学した高校で一人の少女と出会い・・・ 。

 名古屋の若手による東名野外演劇ツアー東京公演。
 一人芝居のはずなのだが突如草むらから女性が現れ絶叫バトル。

 叫ぶ作品を期待している東京人へのファンサービスだそうで、本編はちゃんと一人芝居でそこまでで叫ばないと前置き。
嘘、割と叫んでる作品だった。

 雑で荒い、それをパッションで乗り越えるロック演劇。
魂で語っていると、ト書き・状況説明を素の状態で語る。物語からの急なスイッチング。完璧に仕立て上げた作品というより演劇のデッサン、リーディングに近い趣もある。
 しかし、トホホな物語のせいもあって愛嬌として作用する。
優等生な少女と珍妙な体質の少年は、少女の路上ミュージシャンという秘密から交流が始まる。この作品は、音楽テーマとなっており劇中でもいくつもの楽曲が流される。演劇において劇中で有名曲使うのは大体ただのBGMで終わってしまうことが多い。なんだったらそのシーンの印象がこの曲っていつ聴いても名曲だなぁになることもある。しかし、この作品は見事なシンクロ率。 サンボマスター、Queen、MONGOL800等々の名曲が加速を付けて物語をよりドラマティックに。
少年を爆発させたがる友人も絡んでいって名古屋で青春を送る彼らのほんわかしつつも、ちょっとしたことでもすぐ爆発しちゃうという設定でトンチキラブコメとなっていく。
 しかし、なんの脈絡もなく隕石衝突危機によりスペクタクルな物語へと変わる荒唐無稽さ。伏線なし、それでも良い。シリアスな空気を出しつつもなりきれない朴訥さ。そして、音楽のちからを信じる大迫力のラストシーン。

馬鹿に見えて熱いメッセージを血管ブチギレそうに伝える。この熱さ優しい劇団は演劇界のサンボマスターかも。 


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