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読書の記録 イアン・リード『もっと遠くへ行こう。』坂本あおい訳
「非凡な自分でありたいという凡庸な願いが、替えの利かない地獄を生む。」斜線堂有紀さんの帯の推薦文に惹かれて買いました。
近未来の都会から離れた田舎に住む夫婦のお話。夫のジュニアと妻のヘンは幸せに暮らしていますが、ある日、テレンスという謎の組織の人間があらわれて、ジュニアが宇宙への一時移住計画の候補になったと告げます。ヘンと離れて宇宙旅行するなんてことは考えられないと突っ撥ねるのかと思いきや、なんやかんや、テレンスの言いなりになって動くジュニア、ヘンの様子も何かおかしい。何か夫婦の間に流れる空気に違和感があるのですが、それが何かはわかりません。
平凡な、それでも幸せな結婚生活を送っていた夫婦に特殊な事情が舞い込んできたことにより、当たり前としてあった前提が覆されていく。「実はおかしかったんじゃないのか」「夫婦って何?」「本当は私たちの関係ってものすごくおかしかったんじゃないのか」「おれは凡庸な人間と思っていたけどそんなことはないのか」・・
それにしても、物語の根底にずっとへばり付いて離れない気持ちの悪さ、居心地の悪さときたら何なんでしょうか。終盤「あ、そういうことやったんや!」とわかるんですが、わかってからもやっぱり何か気持ちの悪さがへばり付いていて、これ、たぶん、2回目3回目と繰り返し読むごとにその気持ち悪さの正体が解明できるような気がします。どんどん気持ち悪くなっていくような気もします。読めば、こっちがもっと遠くへ行ける気がする。
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