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蟲惑暇(こわくいとま)。書くのが好きです。趣味はオープンしたお店の1人目の客になること…

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蟲惑暇(こわくいとま)。書くのが好きです。趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。 ネットショップ「暇書房」にて書籍『1人目の客』販売しております。 https://kowaquicki.base.shop/

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最近の記事

閉店を嘆くなら開店を祝え

 閉店のニュースがあると「学生時代よく通ってました。悲しい」とか、「最近行ってなかったけどいい店やったよな」といった惜しむ声が出てくるのですが、どうして閉店するかといえば「みんな最近行ってない」からなんですよね。  四条大宮を歩いておりますと、マツモトキヨシの看板が光り輝いており、あそこは数年前までブックファーストであったことを思い出しておりました。掛布さんなら「ブックフォアスト」と言うかもしれないとも思っておりました。  当たり前にあった書店もどんどんなくなっております

    • よくある発想

       自民党総裁選の9人の候補者のうち誰が選ばれるのか、消去法で考えてみたら全員消えて「そして誰もいなくなった」というオチをいろんなところで見かける。人の考えることなんぞ結局似たり寄ったりなのである。  以前、アメリカのペロシが来日した際に私はツイッターに「そんなペロシに騙されて」とつぶやいたのだが、その後「そんなペロシに騙されて」で検索してみたらアホほど同じツイートが出てきた。  面白いか面白くないかというのは発想だけで決まるものではない。むしろ発想なんぞは誰しもそこまで差

      • 柘植駅と長野経由

         先日のライブで「終電を寝過ごしたときのJR野洲駅は何もない」という話をしたところ、ライブ後の軽い打ち上げの際、共演した方たちから「野洲駅もそうだけど、柘植駅は本当に絶望的に何もない」という話がありました。JR草津線の終着駅・柘植駅はどうやら恐ろしいところらしい。だいたいこれで「つげ」って読むところからして恐ろしいではありませんか。  ライブでは青春18きっぷで東京へ旅する際の静岡県は長すぎて終わりが見えないという話もしました。実際には浜松駅から熱海駅までが二時間半くらいで

        • そういう部分

           何か面白いものを創ろうとするときには人間に注目をするわけですけど、このとき私はどうしても「こいつ、ほんまにどうしようもないな」っていう人に注目をしてしまいます。魅力的な人物を観ていても「すごいな、素敵だな」と思うことはあってもなかなか創作の種にはなりません。そういう人は創作の種というより糧になります。  種になるのは自分にとって不可解な行動をする偉い人です。そういう人たちの存在はしばしば激しくストレスになるのですが、そういう人たちがあってこそ面白いものができるのであるから

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        • 太陽日記〜コロナ禍の記憶〜
          888本
        • 1人目の客ルポ
          104本
        • 短編小説
          162本
        • 読書の記録 読書の記録
          243本
        • 趣味は新聞コラムを読むこと
          235本
        • 英語日記と短歌
          142本

        記事

          残暑、京都お散歩日記

           食事は残さず食べなさいと幼い頃から何度となくいわれてきました。どれだけ苦手な食べ物があっても給食を残すことは許されませんでした。嫌いで嫌いでたまらなかった茄子の煮浸しは丸ごと一本分を丸飲みして牛乳で流し込みました。うまく流し込めなかったらあの日の給食後に僕は死んでいたかもしれない。生と死を分つ分岐点をそうやって知らずうち、ギリギリのところで生を選び生き抜いてきたのかもしれない。  僕でさえ、あれだけ命懸けであのくそまずい茄子さえ残さず食べてきたのに夏の野郎は暑を残しすぎな

          残暑、京都お散歩日記

          昨日の思い出プラス告知

           昨晩は木屋町DEWEYでライブでした。 昔はバンドをやっていまして、ライブといえばもちろんバンドの演奏会だったのですが、その後バンドは活動を休止し、弾き語りでのライブを経て、近頃の私はついにギターを手放してしまいました。  昨晩は私がバンドをしている頃からのお付き合いであるイシダストンさんにお誘いいただき、そのイシダさんとよしこさんの「よしこストンペア」主催のイベントに出演させていただきました。  イシダさんとよしこさんは今回、よしこストンfamというバンド形式でのライブ

          昨日の思い出プラス告知

          台本ちょっとだけ

           9月15日、三連休の真ん中の木屋町DEWEYでございます。今日のイベントは三組出演するんですが、その三組のうちの1人目の出演者が私です。 (着ている1人目の客Tシャツを指差して)  1人目の客って書いてありますけどね。今日は1人目の出演者でございます。  いつもは1人目の客なんですけどね。  どういうことかといいますと、ご存じの方もおられるかもしれませんが、私、新しくオープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしてるんですよ。  なんでもいいんです。居酒屋、ラーメン屋

          The cafeteria is busy today

          The cafeteria is busy today. これを皆さん、どう訳しますか。 テレビCMでもおなじみの英語学習アプリ「デュオリンゴ」で出題された問題です。 まず「cafeteria」が「食堂」だということに私はびっくりしたんですが。 日本の「カフェテリア」って「食堂」っていう感じではありませんよね。京都でよく見る「◯◯餅食堂」を「cafeteria」と紹介して英語圏の人は納得するのでしょうか。 まあ、別にそれはいいんです。 問題は The cafeteria

          The cafeteria is busy today

          五年前の今日1人目の客になれた話

          facebookの「過去のこの日」にあがってきました。noteを検索してみたところ、この日のことはnoteには書いていなかったみたいです。 ※※※※※※※ 涌井慎です。 趣味はオープンしたお店の 1人目の客になることです。 10時20分頃、 私は四条烏丸から河原町方面へと 歩きながら迷っていました。 河原町OPAは河原町通り沿いの表口と 反対側から入る裏口とがある。 どちらから入ればスムーズだろうか。 普段は裏口から 入ることのほうが多い。 だいたい烏丸方面から来る

          五年前の今日1人目の客になれた話

          面白くないおっさんの話

           正直なところ、若い人たちの感性にはもう敵わないんですけど、そこであきらめちゃったら本当に敵わなくなっちゃいます。  まず大切なのは何より若い人たちの感性を認めることです。もう「認める」なんて言ってる時点でちょっとやばいんですけどね。  若い人たちに無くて私にあるものといえば経験くらいのものでしょう。それにしたって今はどうやって儲けているのか知りませんけど、高級フレンチにお友達同士で気軽に食べにいけちゃう若い人がたくさんいますし、もうそれ、私の経験を追い越してしまってます

          面白くないおっさんの話

          三連休の真ん中はライブです

           ライブ告知はしつこいと嫌がられるのであまりしないほうがいいのですが集客をするには告知をするしかないという事情もある。告知なんてしなくてもお客様の側が自ら私の出演情報を検索し、ライブ情報を入手し、チケットを購入し、ふらっと見に来てくれるようになれば私も「売れた」と言ってよいでしょう。いまはまだ「売れる」と宣言しているところなのでライブ前には執拗に告知をすることお許しください。今回は久しぶりに「涌井大宴会」以外のイベントにお招きいただいての出演です。しばらく「涌井大宴会」しかし

          三連休の真ん中はライブです

          短編小説 へたくそなトランペット

           十四年ほど前の秋の夜だったと思います。ABC放送のビルの隣の大きな川、あるでしょう。あの川の畔でトランペットの練習をしているおじさんがいたんです。きらきら星だったと思うんですけど、とにかく調子っぱずれだったから確証はありません。ルイ・アームストロングのこの素晴らしき世界だったのかも。サッチモの声で聴かず旋律だけだったらきらきら星に聞こえないこともないですよね。なんにせよ下手くそでした。でも、それが却って郷愁を誘うというか。上手くても全く心に響かない演奏ってあるじゃないですか

          短編小説 へたくそなトランペット

          私の仕事とは

           他のお仕事のことを知らないので今から書くことがお仕事一般に通じることなのか、それとも私の仕事だからこそのことなのか、はわからないので、「仕事とは」と主語を大きくしてしまわずに「私の仕事とは」ということで書くんですけど、私の仕事っていくらでも手抜きができるしいくらでも凝ることができるんです。  数字であらわすことなんて本来できないことなんですけど、ゼロから百まであるとして、ゼロで仕上げることもできるし百でやることもできるんです。しかもキャリアを重ねるごとに誰かに何かを言われ

          スマホって言いたくない人

           文章はスマートフォンのメモ帳アプリに打ち込んでいます。もはや文字は書くものではなく打つものです。英語の場合はスマートフォンに打つのであっても変わらず「write」でよいのでしょうか。これが通常になったら書き順なんかも覚える必要はなくなってしまうんでしょうね。  しかし、いざ電気が使えなくなり、スマートフォンに文字を打ち込んでいる場合ではなくなったら、何かに文字を「書く」ことになる。そのときにちゃんと他人にも読解可能な文字を書ける能力は持っておかないといけません。近頃スマー

          スマホって言いたくない人

          1人目の客になれた話 京福西院駅近く編

           趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。コロナ禍前から続けているこの趣味についてまとめた本を今年2月に発売いたしました。暇書房というウェブショップにてお買い求めいただけます。  生活圏内で無理なく続けておりますので自然、京都市右京区西院界隈のお店が多くなります。鰻屋、バー、焼き鳥屋、居酒屋、コンビニ、タピオカ店にお蕎麦屋さん、西院にオープンしたいろんなお店の1人目の客になりました。1人目の客になることでお店への愛着が生まれます。一つのお店に愛着が生まれ、その愛着

          1人目の客になれた話 京福西院駅近く編

          面白い仕事

           ラジオ番組の制作に限った話ではないと思いますが、面白いことを面白がりながらやってお給料をいただけるお仕事というのは、そのお給料の額によっては最高でしかないのですが、意外と実はこの「面白いことを面白がりながらやる」というのが難しい場合もある。  いちばん面白いのは、その仕事に携わる全ての人が同じ「面白い」に向かっていることであり、そうなればいちばんよいのですが、なかなかそうもいかない場合も多い。厄介なのが声だけ大きくて妙に発言力のある人が面白くないという場合です。誰もその人