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「分かっちゃいるけどやめられない」に向き合う



はじめに

「分かっちゃいるけどやめられない」ことってありますよね。
今日はそんな誰もが抱える悩みについて、ある仏教の教えを通して考えていきたいと思います。
実は、この「わかっているのにできない」という人間の性質は、はるか昔から変わっていないんです。

七仏通戒偈とは

仏教には「七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)」という、とても重要な教えがあります。
「七仏」は七人の仏様、「通戒」は共通の戒め、「偈」は歌という意味です。
つまり、七人の仏様が共通して説いていた教えを歌の形にしたものなんです。

この教えは4つの句で構成されています:

  1. 諸悪莫作(しょあくまくさ)
    全ての悪いことをしないこと。つまり、悪い行いを避けるという意味です。

  2. 衆善奉行(しゅうぜんぶぎょう)
    たくさんの良い行いを実践すること。積極的に善いことを行うという教えです。

  3. 自浄其意(じじょうごい)
    自分の心を清めること。内なる心の浄化を説いています。

  4. 是諸仏教(ぜしょぶっきょう)
    これこそが仏の教えである、という宣言です。

簡単に言うと、「悪いことを避けて、良いことを実践すれば、心が清らかになる。
これが仏教の本質です」という教えなんですね。

仏教の究極の教え

みなさんは「仏教」というと、どんなイメージを持っていますか?

たとえば、厳かなお葬式や、静かに座る坐禅、お経を唱える念仏、荘厳な護摩祈祷...。
そんなイメージがあるかもしれませんね。

でも実は、仏教の教えをぎゅっと濃縮すると、先ほどの「悪いことを避けて、良いことをする」という、とてもシンプルな教えにたどり着くんです。

これは決して簡単すぎる解釈ではありません。
むしろ、これこそが仏教の究極の教え、基本の基なんです。
他の全ての教えは、この原則から枝分かれしていったと言っても過言ではないんです。

1300年前のエピソードが教えてくれること

この教えについて、とても興味深いエピソードが残されています。今から1300年以上前、遣唐使の時代の中国でのお話です。

ある日、老人が高名な和尚さんを訪ねてきました。
その老人は「仏教の極意を教えてください」と尋ねたんです。
和尚さんが七仏通戒偈の教えを説明すると、老人は少し軽蔑したような口調で「そんなことは3歳の子供でもわかりますよ」と言いました。

すると和尚さんはこう答えたそうです。
「その通りです。確かに3歳の子供でも理解できることかもしれません。しかし、80歳の老人でさえ、それを完全に実践することは難しいのです」

なんだか身につまされる話ですよね。
理解することと、実践することの間には大きな溝があるということ。
これって、現代を生きる私たちにも当てはまる話だと思いませんか?

現代人の「分かっちゃいるけどやめられない」習慣たち

スマホ依存の罠

いちばん身近な例が、寝る前のスマホ使用です。
「明日は早く起きなきゃ」と思いながら、ついついSNSやニュースをチェックしてしまう。
「あと5分だけ」が30分になり、気づけば深夜...。こんな経験、誰にでもありますよね。

画面の明るい光が睡眠を妨げることも、疲れ目の原因になることも、わかっているはずなのに。
でも、なかなかやめられない。
これぞまさに現代版の「分かっちゃいるけどやめられない」かもしれません。

とまらないSNSの誘惑

昔から「情報は命より重い」なんて言葉がありますが、現代ではSNSを通じて、常に誰かの情報が手に入る時代です。

たとえば、こんな経験ありませんか?
・友達の投稿が気になって、何度も確認してしまう
・自分の投稿へのいいねの数が気になって、頻繁にチェックしてしまう
・実際の生活には関係ないのに、知人の動向が気になってしまう
・暇つぶしのつもりが、気づいたら何時間も経っている

見なければいいと頭ではわかっているのに、指が勝手に動いてしまう。そんな経験、きっと誰にでもあるはずです。

克服できない先延ばし癖

「締め切り直前にならないと本気を出せない」なんて言いながら、実は単純に先延ばしにしているだけ...。
これも多くの人が経験している「分かっちゃいるけどやめられない」習慣の一つですよね。

早めに終わらせれば:
・余裕を持って見直せる
・修正の時間が取れる
・より良い成果が出せる
・精神的なストレスも少ない

こんなメリットがあるのは、重々承知のはずです。
それなのに、できる時間があってもなかなか取り掛からない。
これって、まさに冒頭で紹介した「3歳でもわかるけど、80歳でもできない」という状況そのものかもしれません。

より良い人生のための具体的なアプローチ

では、こういった「分かっちゃいるけどやめられない」習慣を、どうやって改善していけばいいのでしょうか?

1. 習慣の本質を理解する

まずは、その習慣の背景にある本当の目的や意味を理解することから始めましょう。

たとえば、早寝早起きが推奨される理由:
・朝型の生活で集中力が高まる
・心身のリズムが整う
・朝の静かな時間を有効活用できる
・体調管理がしやすい

このように、なぜその習慣が良いとされているのか、その本質を理解することで、改善へのモチベーションも高まります。

2. 環境づくりの重要性

人は環境の産物です。良い習慣を身につけるには、それにふさわしい環境を整えることが大切です。

たとえば:
・学習仲間を作って、互いに刺激し合う
・家族と目標を共有して、応援してもらう
・スマホを寝室に持ち込まない
・SNSの通知をオフにする時間を決める
・作業専用のスペースを確保する

3. 小さな成功体験を積み重ねる

大きな目標は、小さな目標の積み重ねでできています。

たとえば:
・「毎日3時間勉強する」ではなく、まずは「30分だけ」から始める
・「SNSを完全にやめる」ではなく、「使用時間を決める」ところから始める
・「完璧な生活リズム」ではなく、「15分だけ早く起きる」ところから始める

4. 振り返りと改善

定期的に自分の習慣を振り返り、改善点を見つけることも大切です。

・何がきっかけで悪い習慣が始まるのか
・どんな時に誘惑に負けやすいのか
・成功した時と失敗した時の違いは何か

こうした分析を通じて、より効果的な対策を見つけることができます。

おわりに

「分かっちゃいるけどやめられない」。
この悩みは、1300年以上前から人類が抱えてきた永遠の課題なのかもしれません。
でも、だからこそ、一つずつ丁寧に向き合い、改善していく価値があるのではないでしょうか。

完璧を目指すのではなく、少しずつでも前に進んでいく。その積み重ねが、きっと私たちの人生をより良いものにしていってくれるはずです。

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