伊勢の神宮「神嘗祭」ご存じですか? 神話は今も生きている ことの葉綴り五九四
新穀を天照大御神様に奉る「神嘗祭」
おはようございます。神無月も半ばになりましたね。
神社にお参りしても、虫の音も、風も、鎮守の杜も、どこか深みのある緑で“静けさ”を感じられる季節ですね。
日の暮れも、ほんと早くなりました。
まずは暦です。六曜は「赤口」で昼前後の正午が吉。
十二直は、開き通じる「開」運を開くための神社仏閣へのお参り、祭祀、建築、開店開業、婚礼、引っ越しに吉。
二十八宿の中で、いちばんの大吉日「鬼」に、さらにご神事に吉日の「神吉日」です。
さて十月十五日は、伊勢の神宮でも、もっとも重要な祭祀の一つ「神嘗祭」がとりおこなわれます。
今回は、そのことをご紹介してみますね。
このご神事を定められたのは、今から約二千年前、伊勢の地に皇祖神の天照大御神さまをお鎮めになられた、倭姫命さまです。第十一代、垂仁天皇の皇女で、この間まで綴っていた、悲劇の英雄、倭建命さまの叔母にあたります。
<ことの葉綴り>全体のご案内
この「言の葉綴り」は、神話の物語を神さまごとに「マガジン」に分けて、すべて読めるようになっています。
「神さまも“失敗して成長した”」と、魅力的な神さまごとに18のマガジンに分かれています。
倭建命(日本武尊)さまの物語です。
よかったら倭姫命さまの物語もご覧下さい。
興玉神祭と御ト
まず、十月十五日の夕刻十七時。神嘗祭の奉仕が無事におこなえるようにと、内宮(皇大神宮)御垣内の西北の隅にご鎮座する、地主の神さま「興玉神」さまをお祭りします。
次に、神宮の神職さん方が、心身を浄め白い斎服を観にまとい、奉仕の直前に、大神さまの御こころにかなうかどうかをおうかがいし占う儀式、御トがとりおこなわれるのです! こちらで、祭典をご奉仕できるかどうかが決まる……すごいですよね。
浄らかな闇の中の「神嘗祭」
その年の新穀を、皇祖神の天照大御神さまに奉り感謝する、神宮で最も由緒深いお祭り。この祭典は、二度、とりおこなわれます。
まず、外宮(豊受大神宮)にて
十五日の午後十時「由貴夕大御饌」
さらに、夜が深まり日付がかわった十六日の午前二時
「由貴朝大御饌」
このとき、この年に、神宮神田で収穫された新穀のごはん、塩、お神酒をはじめ伊勢湾のアワビや、伊勢エビ、野菜、海の幸山の幸の三十以上のご馳走「大御饌」をお供えするのです。
日が昇った十六日の正午には、天皇陛下が「勅使」をお遣わしになられて、幣帛を奉納される「奉幣の儀」が。
日暮れの夕刻午後六時からは、神々を和めるための「御神楽」の奉納がおこなわれます。
さらに、内宮(皇大神宮)にて、ご神事は続きます。
十六日の午後十時 「由貴夕大御饌」
日付がかわった真夜中の二時「由貴朝大御饌」
日が昇り正午には「奉幣の儀」
日暮れの夕刻午後六時「御神楽」の奉納
これで、伊勢の神宮、両宮のご神事は終わりですが、さらに、十月二十五日まで、すべてのお社で、ご神事は続くのです。
神宮の一年間のお祭りは、この「神嘗祭」を中心に巡るともいわれる、重要な祭典!
ご奉仕も、とてもとても大変ですよね……頭が下がります。
「五大祭」に奉仕する神宮祭主 黒田清子さま
伊勢の神宮では、年間千五百以上ある祭典の中で、もっとも重要な五つのお祭り「五大祭」で、ご奉仕されるのが、神宮祭主。
天皇陛下の代理として、「神嘗祭」をはじめ、「五大祭」で祭祀を司られているのです。
この「五大祭」は、十月の「神嘗祭」、六月と十二月の「月次祭」、二月の「祈年祭」、そして十一月の「新嘗祭」をいいます。
現在の神宮祭主は、天皇陛下の妹の黒田清子さま!!
平成29年(2017年)に、上皇陛下のお姉さま(昭和天皇の第四皇女)の池田厚子さまから、黒田清子さまに代わられて「神宮祭主」につかれました。
それ以来、神宮の重要なお祭りには、伊勢に赴かれて、ご奉仕されていらっしゃいます。
倭姫命さまから受け継ぐ祈り
これらの祭祀、ご神饌などの元を決められたのも、遥か二千年前の倭姫命さまです。
天照大御神さまの孫神、瓊瓊杵尊(邇邇芸命)さまが、天上の高天原から天孫降臨され、地上に降りられるとき、天照大御神さまは、高天原の稲穂を授けられます。「斎庭の稲穂の神勅」……この神話に基づいているのです。すごいですよね。
それが、今も、受け継がれていること……。
神話は、本当に生きています!!
さらに、時代が巡り、斎王という形ではありませんが、祭主として、皇女が皇祖神の天照大御神さまに奉仕されている……ただ、ただ感動です。
神話が生きていて、そのご神事が、二千年前から続き、今もとり行われていること。
多くの方はご存じないかもしれませんね。
でも、毎年毎年、幾星霜、先人たちが尊び大切にしてきたご神事があることを、頭や心の片隅にでも知ってもらえれば幸いです。
今日は、お米、お野菜など、秋の実りに感謝して手を合わせたいです。そして、秋の夜長、伊勢の神宮では、静謐な浄闇の中で、感謝のご神事「神嘗祭」が執り行われていることに、想いを馳せたいです。あ~伊勢の神宮、お参りしたい~!!!(^^)
ありがとうございました!(去年から伊勢の神宮にお参りできていないので、神宮の写真が過去と同じになってしまいました。ごめんなさいね)
―次回へ
#一度は行きたいあの場所
#私の作品紹介