再掲載:短編小説「ドキュメンタリー」
「こんなの使い物にならないよね?」椅子に深く腰掛け、1枚の画像が映るパソコンを見ながら番組プロデューサーの女性は呟いた。言葉こそ普段の女性と何ら変わりはないが、節々に怒りの感情が込められているのを、机を挟んで直立する男性ディレクターは感じ取っていた。
それもそのはず、今女性が見ている画像は男性本人が撮ったものである。自信のあった企画が最後の最後、他人の手により台無しになることはこの業界ではよくある。男性自身も経験がある分、心の底から申し訳ない気持ちと、この企画会議室に自